ベンチャーの意味は?ベンチャー企業とは何かわかりやすく解説

言葉

ベンチャーとは「新しいアイデアや技術によって展開される新しいビジネス」という意味です。

近年、就職活動やビジネスの場で非常に注目されている言葉ですが、厳密な定義が存在しないので理解が難しくもあります。

この記事では、ベンチャーの特徴や類義語を詳しく紹介します。

「ベンチャー」の意味

ベンチャー

新しいアイデアや技術によって展開される新しいビジネス
例:IT業界でベンチャーが注目されている。

ベンチャーとは、それまでに世間に存在しなかった、もしくはわずかしかなかった新しい事業のことです。

また、始めたばかりで収益が未確定の新規事業全般についてもベンチャーと呼ぶことがあります。

ベンチャー企業の定義

ベンチャー企業は、会社法などの法律で定義が厳密に定められているものではありません。

「ベンチャー企業」の具体例


ベンチャーのイメージがしやすいように、具体的な企業名を挙げてベンチャー企業を説明します。

  • メルカリ
    フリーマーケットアプリの企画・開発・運営
  • サイバーエージェント
    Amebaを筆頭としたメディア事業、ゲーム事業、投資育成事業などの運営
  • グリー
    ゲーム事業、ライブエンターテインメイント事業、メディア事業、広告事業、投資事業の運営

これらの企業は現在とても知名度があり、事業規模も大きくなっているので、ベンチャー企業というイメージがなかった人もいるでしょう。

「ベンチャー」の使い方


ベンチャーは単体で使われることがほとんどなく、「ベンチャー企業」や「ベンチャービジネス」という形で使われることが非常に多いです。

  1. 近年では、ベンチャー企業が就職活動市場で人気だ。
  2. 彼は資本を使ってベンチャービジネスを始めるつもりだ。
  3. 大学卒業後に私はベンチャー企業に就職した。

「ベンチャー」の語源

ベンチャーの語源は英語の “venture” です。

英語の “venture” には、以下のような意味があります。

  • 冒険
  • 冒険的な企て
  • 投稿

「企業として全く新しい事業を始める」という冒険的な行為を表すために、このような単語が使われたと考えられます。

ベンチャーは和製英語

「革新的な経営を展開している小企業」を表すベンチャービジネスは和製英語です。

そのため、 “venture company” “venture business” などの表現は英語圏では通じません。

英語では、”startup company” “startup” などと表現するので注意しましょう。

ベンチャービジネスという和製英語は、現在の日本ベンチャー学会特別顧問である清成忠男(きよなり ただお)らによって作られました。

「ベンチャー」の関連語


「ベンチャー」の関連語には以下のようなものがあります。

  • ベンチャー企業
    新しいアイデアや技術によって、これまでにないビジネスを展開する企業
  • 社内ベンチャー
    既存の企業が社内に新規事業部門を立ち上げること
  • ベンチャーキャピタル
    将来成長が見込めるベンチャー企業やスタートアップ企業に投資する組織
  • ネットベンチャー
    インターネットを中心にビジネスを展開している新興企業
  • ジョイントベンチャー(合弁会社)
    新しい事業を行うために、複数の企業が互いに出資してできた会社
  • 大学発ベンチャー
    大学の教官や学生の研究成果を事業化する会社

「ベンチャー企業」の特徴

ベンチャー企業には、以下のような特徴があります。

  • 設立から間もない会社が多い
  • 向上心の強い従業員が多い
  • 中小規模の企業が多い
  • 知人・縁故の採用が多い
  • 新しい技術やアイデアを用いる
  • 年功序列ではなく成果主義

ベンチャーとは本来、ベンチャー・キャピタルなど、投資家側を表す言葉として使われていました。

そしてベンチャーキャピタルから投資を受けた企業側を、ベンチャー企業と呼ぶことになったのです。

ベンチャーキャピタルが投資する企業はハイリターンを狙って、野心的で新しい技術やアイデアを用いている企業であることが多いです。

ここから派生して、投資を受けていなくとも、上記のような特徴を持つ企業をベンチャー企業と呼ぶようになりました。

「ベンチャー」の類義語


「ベンチャー企業」の類義語を紹介します。

  • スタートアップ
    新的なアイデアや独自性で新たな価値を生み出し、社会にインパクトを与える企業
  • 中小企業
    経営規模が規定以内の中小規模の企業
  • メガベンチャー
    ベンチャーとして出発し、成長して大企業となった企業
  • ユニコーン企業
    評価額が10億ドル以上の未上場のスタートアップ企業
  • 新興企業
    設立から間もなく、規模や経営基盤などが小さい企業

まずは類義語同士の関係性を以下の図で理解して、それぞれの意味を見ていきましょう。

[出典:KOTORA JURNAL]

「スタートアップ」の意味

スタートアップ企業は新しいなアイデアや独自性なアイデアによって、社会にインパクトを与える企業のことです。

社会課題の解決という目的を持っていることがおおく、資家から資金調達して事業を開始します。

また、短期間で急激に成長し、最終的に株の売却で大きな利益を得るという流れを狙います。

一方でベンチャー企業は「新しい技術やノウハウを駆使して事業を拡大する中小企業」という特徴を持ちます。

 

つまり、スタートアップにはベンチャー企業にはない「短期間で急激に成長する」というスピード感と、「大きな利益を得る」というゴールが存在するのです。

また、近年ではIT業界を中心に、ベンチャーという言葉の代わりに英語圏でも通じる「スタートアップ」を使うことが増えてきています。

そのため、このような違いを意識していない人も多いです。

「中小企業」の意味

中小企業とは、経営規模が規定以内の中小規模の企業のことです。

中小企業の定義は、従業員数や資本額によって厳格に定められています。

 

ベンチャー企業の特徴は、新しい技術やアイデアから事業を始めた会社を表す言葉です。

ベンチャー企業には近年できた企業が多いため、規模的に中小企業に当てはまることが多く、類義語と言えるでしょう。

つまり、会社の規模を表す中小企業というくくりの中に、「新たな事業を行う」などの特徴があるベンチャー企業が含まれているのです。

「メガベンチャー」の意味

メガベンチャーとは、新しい技術を用いたベンチャー企業として出発し、規模を拡大して大企業となった会社のことです。

大企業の定義は、従業員数や資本金によって定められています。

ただし、ベンチャー企業には厳密な定義が存在しないので、メガベンチャーの定義も明確に定まっているわけではありません。

一般的にメガベンチャーは、以下のような企業だと言われています。

  • 楽天
  • リクルート
  • サイバーエージェント
  • LINE

「ユニコーン企業」の意味

ユニコーン企業とは、評価額が10億ドル(約1250億円)以上で、非上場のベンチャー企業を表す言葉です。

幻の生物であるユニコーン並みに見ることができない、という意味でユニコーン企業と呼ばれています。

「新興企業」の意味

新興企業とは、設立から間もなく、規模や経営基盤などが小さい企業のことです。

ベンチャー企業は、それまでになかった新しい技術やアイデアを用いる企業なので、新興企業であることが多いです。

つまり、新興企業という大きなくくりの中にベンチャー企業が存在するのです。

「ベンチャー」の対義語

ベンチャーには以下のような対義語があります。

  • 大企業
    中小企業の基準を超える企業
  • 老舗企業
    先祖代々にわたって伝統的に事業を行っている企業

「ベンチャー企業」の歴史

ベンチャー企業は、もともとアメリカで急成長したことで知名度を向上させました。

その後、日本にも流入したベンチャー企業という企業体形は、以下のような歴史をたどってきました。

  1. 第一次ベンチャーブーム(1970年代)
  2. 第二次ベンチャーブーム(1980年代)
  3. バブル経済崩壊後(2000年前後)

歴史➀:第一次ベンチャーブーム

1963年に中小企業投資育成会社が設立されたり、株式会社東京証券取引所が運営する日本の株式市場が創設されました。

また、1971年(昭和46年)に日本ベンチャー・ビジネス協会が設立されました。

これらの動きによって、ベンチャーの創業が活発化したのが第一次ベンチャーブームです。

歴史➁:第二次ベンチャーブーム

1980年代には、エレクトロニクスやメカトロニクスなどのハイテクブームが起きたことによりベンチャーの創業が活発化しました。

このブームが第二次ベンチャーブームです。

エレクトロニクス・メカトロニクスの意味

メカトロニクスとは、機械工学や電気工学、電子工学、情報工学などの知識や技術を融合させて、新しい技術を生み出すことです。

またエレクトロニクスとは、電気や磁気、光などの研究を行う工学分野です。

歴史➂:バブル経済崩壊後

バブル経済が崩壊してしばらくすると、再び企業の操業が活発化しました。

この要因は、経済構造の変化や情報技術の進展、規制緩和などさまざまなものがあります。

バブル崩壊後のベンチャー企業

バブル崩壊後には、渋谷に本社を置くベンチャー企業が非常に多かったことが有名です。

「ベンチャー」のその他の意味


ベンチャーは、ボーイスカウトの隊の名称としても使われます。

ボーイスカウトはキャンプやハイキング、募金活動などを行う教育プログラムです。

年齢ごとに隊がわかれており、それぞれに以下のような名称がついています。

  • ビーバースカウト
    小学校1年生~2年生
  • カブスカウト
    小学校3年生~5年生
  • ボーイスカウト
    小学校6年生~中学生2年生
  • ベンチャースカウト
    中学校3年9月~17歳
  • ローバースカウト
    18歳~25歳

中学校3年生の9月から17歳までの間に所属する隊が「ベンチャースカウト」なのです。

「ベンチャー」のまとめ

以上、この記事ではベンチャーについて解説しました。

英語表記ベンチャー(venture)
意味新しいアイデアや技術によって展開される新しいビジネス
語源「冒険」という意味の英単語 “veture” から
類義語スタートアップ
中小企業など
対義語大企業
老舗企業など

ベンチャー企業の定義は複雑ですが、重要な言葉なのでこの機会にしっかりと理解しておきましょう。