「野菜」と「果物」は、どちらも栄養が豊富で、私たちの生活に欠かせない食材です。
しかし、両者の違いを正確に説明するのは意外にも難しいものです。そこで、この記事では、「野菜」と「果物」の相違点について解説します。
☆「果物」「野菜」の違いをざっくり言うと……
野菜 | 果物 | |
---|---|---|
収穫形態での区別 | 畑で収穫、サイクルは1年 | 木で収穫、サイクルは永年 |
食べ方での区別 | 実以外の部分も、手を加えた状態で、おかずとして食べる | 実だけを、生の状態で、デザートとして食べる |
結論: “収穫形態” または “食べ方” で区別する
- 収穫形態で区別する方法
- 食べ方で区別する方法
【1】収穫形態で区別する方法
「野菜」と「果物」を区別する方法の1つ目は、収穫の形態で判断するというものです。
まず、畑で作られるのが「野菜」です。収穫後は茎やツルが枯れてしまうので、畑では違う作物を育てたり、同じ作物の苗を植えて初めから作り直したりするのが特徴です。
たとえばニンジンは、畑や家庭のプランターに苗を植えて育てます。
収穫したあとは、同じ畑にニンジンではない作物の苗を植えることができます。また、ニンジンを再び育てたい場合には、畑に新しい苗を植えなければ収穫できません。
ですから、ニンジンは「野菜」の定義に当てはまります。
一方、木に成る作物は「果物」です。作物を採取したあとも、翌年には同じ木に同じ作物が成ることも特徴です。
たとえば、柿は木に成ります。また、収穫後も、次の年には同じ木に柿が成りますから、「果物」の定義に当てはまります。
つまり、収穫形態で区別すると、畑で育てられ、収穫のサイクルが1年で終わるものが「野菜」で、木で育てられ、収穫のサイクルが何年も続くものが「果物」と分類されるのです。
【2】食べ方で区別する方法
「野菜」と「果物」を区別する方法の2つ目は、食べ方で判断するというものです。具体的には、次のような観点で区別します。
- 食べる部分
- 調理形態
- 料理としての特徴
以下、1つずつ詳しく解説します。
①食べる部分
実(み)だけでなく、その他の部分も食べる場合、その作物は「野菜」に分類されます。
たとえば大根は、実だけでなく、葉や皮も別の料理に使うため、「野菜」に分類されます。ブロッコリーも茎も含めて丸ごと食べることができますから、「野菜」ですね。
一方、実しか食べない場合、その作物は「果物」に分類されます。
たとえばミカンやブドウを食べるとき、皮や種を取り除いて実だけを口に入れます。ですから、「果物」に分類されます。
このように、実以外の部分も食べるのが「野菜」、実だけを食べるのが「果物」なのです。
調理形態
「野菜」は、火にかけたり、ドレッシングをかけたりと、何らかの方法で手を加えて食べるものです。
たとえば、タマネギは肉と一緒に炒めて火を通して食べます。また、生の状態でサラダに使う場合にも、ドレッシングなどをかけますね。
ですから、タマネギは「野菜」に分類されます。
一方、「果物」は、生で食べるものを指します。
たとえば、キウイは特に手を加えずに、実をそのまま食べます。火を通したり、上に何かをかけたりすることはありませんから、キウイは「果物」といえます。
このように、手を加えてから食べるのが「野菜」、生のまま食べるのが「果物」なのです。
料理の役割
「野菜」はおかずとして食べられます。
たとえば、キャベツやレタスはサラダなどに使われますから、おかずとして食卓に上りますね。また、ピーマンも肉料理などの一部として、おかずとなります。
ですから、これらは「野菜」に分類されるのです。
一方、デザートとして食べるものは「果物」です。
たとえば桃は、食事の最後に食べるのが一般的ですから、デザートといえます。また、ブルーベリーは、ケーキやパフェなどのスイーツの中に入っていることもあります。
ですから、これらは「果物」に分類されます。
このように、おかずになるのが「野菜」、デザートになるのが「果物」なのです。
区別の方法によって分類が変わる場合
ここまで、「野菜」と「果物」を区別する2通りの方法について解説しました。
収穫形態で区別する方法と、食べ方で区別する方法がありますが、どちらが正しいかということは決まっていません。「野菜」と「果物」のはっきりとした定義はないのです。
このため、どちらの方法を使うかによって、同じ作物が「野菜」の分類されたり「果物」に分類されたりする場合があるのです。その例として、メロン・スイカ・イチゴの3つが挙げられます。
収穫形態での区別
まず、収穫形態で区別する方法を使って、メロン・スイカ・イチゴが「野菜」なのか「果物」なのかを考えてみましょう。
メロンとスイカは畑で苗から育てられるものです。また、イチゴも、木に成る種類が存在するものの、基本的には畑やプランターで栽培されます。
ですから、これらはすべて「野菜」に分類されます。
食べ方での区別
次に、食べ方で区別する方法を使って考えてみましょう。
まず、私たちはメロンやスイカを食べるとき、種や皮を食べずに実だけを口に入れます。イチゴも、ヘタを取って実を食べるでしょう。
また、調理の形態を基準に考えると、メロン・スイカ・イチゴはどれも生で食べますね。一般的には火にかけるなどの加工はしません。
さらに、料理の種類で区別する方法を使うと、これらはすべてデザートとして食卓に上がります。ですから、食べ方で区別する方法を用いると、メロン・スイカ・イチゴは「果物」に分類されます。
つまり、メロン・スイカ・イチゴは、収穫形態で区別すると「野菜」に分類されるものの、食べ方で区別すると「果物」に分類されるのです。このような特徴をもつ作物は「果実的野菜」とも呼ばれます。
まとめ
以上、この記事では、「野菜」と「果物」の違いについて解説しました。あらためて、両者を区別する2通りの方法を表でおさらいしましょう。
野菜 | 果物 | |
---|---|---|
収穫形態での区別 | 畑で収穫、サイクルは1年 | 木で収穫、サイクルは永年 |
食べ方での区別 | 実以外の部分も、手を加えた状態で、おかずとして食べる | 実だけを、生の状態で、デザートとして食べる |
農作物が収穫される様子を見る機会がない方にとっては、食べ方をもとに「野菜」と「果物」を区別する方法が身近ですね。
しかし、ときには生産者の目線に立って、収穫形態をもとに両者を区別してみるのも楽しいのではないでしょうか。食べ方で区別する方法とは違う分類結果になるかもしれません。