平成16年に、「国立大学」が「国立大学法人」になりましたが、どのような点が違うのでしょうか。この記事で詳しく解説していきます。
結論:国の組織から独立しているかどうか
「国立大学」は、文部科学省の内部組織です。
「国立大学法人」をもっと詳しく
国立大学法人は、2003年に制定された国立大学法人法に基づき,2004年に 99の国立大学が 89法人に再編され設立されました。国立大学と呼ばれている大学は、現在、国立大学法人となっています。
これまで国の内部組織だった国立大学を大学ごと法人化し、各大学が今までよりも自由に運営を行うことができるようになりました。
そもそも法人とは、法律により特に権利を認められた、一定の社会的活動を営む組織体のことをいいます。
国立大学が国の組織の一部ではなくなったことで、経営に関することや研究内容、学部、学科の設置などを各大学で自主的に決めることができるようになりました。
しかし、各大学が完全に財務的に自立したわけではありません。法人化後も国が引き続き財政的支援を行っています。国民の税金に支えられており、授業料も定められた標準額の10%までしか超えてはいけないことになっています。
また、大学運営の透明性を確保するために、大学の外の人が運営に参加するなどの仕組みが導入されています。
「国立大学」をもっと詳しく
「国立大学」は文部科学省の内部組織で、現在は法人化されて国立大学法人となっています。
法人化される前、「国立大学」だったときは省令に従わなければなりませんでした。例えば、工学部に機械工学科や電気工学科を置くといったことも省令に書いていたため、学科名を変えるのにも省令の改正が必要でした。
不要になったポストの廃止や新しいポストの設置といった細かい変更をしたいときも、そのつど文部科学省に要求して、総務省や財務省と調整する必要がありました。大学が「こうしたい」と思ったときに直ぐに実現できなかったのです。
また、お金の使い道はとても細かく決められていました。研究を進めていく途中で更にお金が必要になった場合に、別に使う予定のお金から工面するといったことも簡単にはできません。
それから、国立大学の教職員は公務員なので、給与が一律に決められていました。成果を出したり、大学に貢献したりした人の給与を高くすることにも限界があり、民間企業との協力もしにくいところがありました。
法人化によって、このような点が自由になったのです。
まとめ
以上、この記事では、「国立大学法人」と「国立大学」の違いについて解説しました。
- 国立大学法人:国の組織から独立した、法人化された国立大学
- 国立大学:文部科学省の内部組織
どんな種類や制度であれ、私たちが勉強や研究に打ち込むことができる大学であってほしいですね。