今回ご紹介する言葉は、カタカナ語の「トレーサビリティ(traceability)」です。
「トレーサビリティ」の意味や使い方、語源、類義語、「トレーサビリティ」の分類についてわかりやすく解説します。
このページの目次
「トレーサビリティ」とは?
「トレーサビリティ」の意味を詳しく
「トレーサビリティ」とは、物品の流通経路が追跡可能な状態や、その仕組みのことです。
日本語では「追跡可能性」と訳されます。ここで言う「物品の流通経路」とは、生産から消費までの全ての段階のことです。
近年の安全意識の高まりから、特に食品業界で注目されています。さらに、電気製品や自動車業界にも浸透し始めています。また、これらの業界によって細かい定義が変わることがあります。
家電などの一部の商品では、「処分」の段階までの追跡が企業に求められることもあります。
現段階では、「トレーサビリティ」には国際的に統一された規定はありません。そのため、コーデックス委員会で議論が行われています。コーデックス委員会とは、国際的な食品規格を規定している組織のことです。
「トレーサビリティ」の使い方
- 農林水産省は、食品のトレーサビリティを普及させようとしている。
- 特定の商品のトレーサビリティを義務化する。
- 御社はトレーサビリティを強化しています。
- 特に食用の場合は、トレーサビリティの視点による商品の選択が求められる。
「トレーサビリティ」の語源
「トレーサビリティ」の語源は英語の “traceability” です。
「追跡する」という意味の英単語 “trace” と 「可能性」の意味の “ability” をつなげた単語です。
直訳すると「追跡可能性」で、ここから「物流経路を追跡できる状態のこと、またはその仕組み」という意味に転じました。
「トレーサビリティ」という発音から間違えやすいですが、 “trace” の “e” が消えて “tracability” にはなりません。あくまで “traceability” なので、注意しましょう。
「トレーサビリティ」の類義語
「トレーサビリティ」には以下のような類義語があります。
- 追跡可能性
- 生産履歴
- 品質管理
- クオリティコントロール:企業が、商品やサービスの品質を向上するために行う活動
「トレーサビリティ」の分類
「トレーサビリティ」は大きく2つに分類されます。「トレースバック」と「トレースフォワード」です。
トレースバック
「トレースバック」とは、ある時点から時系列をさかのぼって記録をたどることです。日本語では「遡及(そきゅう)」と言います。
製品に問題が発生したときに、「トレースバック」を行って、問題が発生した原因を特定するのです。
このように「トレースバック」を行うことで、早急な問題解決や商品の品質改善を行いやすくなります。
トレースフォワード
「トレースフォワード」とは、製品の製造過程を時間に沿って追跡することです。日本語では「追跡」と言います。
例えば、ある部品の不良が発覚したとき、その部品が使用されている製品を特定することで、ピンポイントでそれらの製品を改修することができます。
このように、「トレースフォワード」を行うことで不良品の対策を行うことができるのです。
まとめ
以上、この記事では「トレーサビリティ」について解説しました。
英語表記 | トレーサビリティ(traceability) |
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意味 | 物品の流通経路が追跡可能な状態と、その仕組み |
語源 | “trace” と “ability” をつないでできた単語 |
類義語 | 追跡可能性、生産履歴、品質管理、クオリティコントロール |
「トレーサビリティ」の分類 | 「トレースバック」と「トレースフォワード」の2つ |
将来的には、ICチップなどで完全な「トレーサビリティ」が実現するかもしれません。
自らの安全のためにも、「トレーサビリティ」をしっかりと理解しておきましょう。