「淘汰(とうた)」とは?意味や使い方を例文付きでわかりやすく解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、熟語の「淘汰(とうた)」です。

言葉の意味・使い方・語源・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

「淘汰」の意味をスッキリ理解!

淘汰(とうた):不適切なものを取り除き、良いものを残すこと

「淘汰」の意味を詳しく


「淘汰」は、不適切なものを取り除き、良いものを残すことを意味します。

植物を育てるときには、成長の悪い芽を取り除く「間引き」を行いますよね。

間引きは、優れた芽の成長がさまたげられないために行われます。「淘汰」も「間引き」に似ています。

 

ただ不要なものを取り除くのではなく、良いものを残すという意味を持っています。

淘汰がなければ、良いものも悪いものも残り続けます。

ここに淘汰が起こることで、良いものだけが残ります。淘汰は、「逆境」や「試練」のようなものだとも言えます。

なお、「淘汰」には、一般的な意味のほかに、「生物学」の用語と「地質学」の用語の2つの専門的な意味もあります。

生物学用語の「淘汰」

生物学用語の「淘汰」は「環境に適応できない個体が生き残れないこと」という意味です。

自然淘汰」と呼ばれることもあります。

 

たとえば、草むらで暮らす虫に白と緑の2通りの色があったとします。

白い個体のほうが草むらの中で見つかりやすく、鳥などに捕まって命を落とす確率が高いですよね。

自然に「白い個体」は減っていき、いずれこの虫は緑のものしか残らなくなるでしょう。これが「淘汰」の考え方です。

 

「淘汰」は何かしらの圧力によって引き起こされます。先ほどの虫の例では、「鳥に見つかると食べられてしまう」という圧力が、虫に対してはたらきます。

ここで、白い虫の中に毒をもつものが現れたとします。

この個体は、「鳥に見つかると食べられてしまう」という圧力に対して「見つからないようにする」とは別の方法で対策を取りました。

長い年月を経て、「毒をもつ白い虫」と「見つかりにくい緑の虫」の2種類の虫が残るでしょう。

 

このときには、もはや白い虫と緑の虫はまったく違うものになってしまいます。これが、ダーウィンの考えた「進化」です。

ダーウィンの進化論は、「様々な逆境や環境変化に対応して、生物はさまざまな種に分かれてきた」という考え方です。

進化は、「淘汰」のおかげで起こっているともいえるでしょう。

地質学用語の「淘汰」

地質学用語の「淘汰」は「様々な大きさの粒が一斉に流されたときに、重いものほど下に沈むはたらき」という意味です。

このはたらきは、「分級(ぶんきゅう)作用」とも言います。

「淘汰」がつく言葉

「淘汰」がつく言葉には以下のようなものが挙げられます。

  • 自然淘汰
  • 人為淘汰
  • 冗員淘汰
  • 淘汰が良い
  • 淘汰圧

それぞれの言葉の意味について詳しく見ていきましょう。

自然淘汰

「自然淘汰」とは、「周囲の環境に適応した生物だけが生き残り、適応できなかった生物は滅びる」という法則のことです。

「自然選択」と呼ばれることもあります。

生物学用語の「淘汰」とほぼ同じ意味を持っています。

この考え方を提唱したダーウィンは著書の『自然淘汰説』の中で、「生物のある特徴が環境への適応力が高く、なおかつその特徴が遺伝する場合、その特徴を持つ生物はより多くの子孫を残すことができ、その性質が後の世代により広く伝わるようになる。この過程の集積によって進化が生じる」と述べています。

人為淘汰

「人為淘汰」とは、「生物を品種改良し、目的に合った特徴を持つ個体を何代も選抜・育成・交配して望ましい特徴を持つ品種を生み出すこと」という意味です。

つまり、「人為淘汰」とは、作物の品種改良などのことを指すのです。

「人為淘汰」は人の手によって行われる「淘汰」なのです。

冗員淘汰

「冗員淘汰」とは、「必要性が低い人員を減らすこと」を意味します。

「人員整理」と言い換えることもできます。

たとえば、業績の悪化によりリストラを行うことは「冗員淘汰」と言えます。

淘汰が良い

「淘汰が良い」とは、地球科学において、堆積した粒子の大きさが揃っていることです。

逆に、堆積した粒子の大きさが不揃いな場合は「淘汰が悪い」と言います。

また、「淘汰の良さ」の度合いのことを「淘汰度」と呼びます。

淘汰圧

「淘汰圧」とは、生物の進化で、生物を淘汰する要因のことです。

たとえば、ある虫の天敵がスズメだった場合、その虫の「淘汰圧」はスズメということになります。

この「淘汰圧」に適応して生き残るためには、体の表面色を周りの環境と同じ色にする、などの方法が考えられます。

なお、生物は常に複数の「淘汰圧」にさらされているのが普通です。

「淘汰」の例

「淘汰」についてより深く理解するために、「淘汰」にはどのような例があるのか見ていきましょう。

 

ある村に同じ宿泊料金の旅館が2軒あったとします。

旅館Aは部屋が広くてきれいな上に食事もおいしいとします。

一方、旅館Bは部屋が狭くてホコリっぽい上に食事も良くないとしましょう。

明らかに差がある2軒の旅館ですが、どちらも客を集めて営業を続けています。

 

ところがある日、大手ホテルチェーンがこの村に進出しました。

新たにできたホテルCは、サービスや食事はふつうですが、とにかく価格が安いです。

すると、今まで旅館Aか旅館Bに泊っていた人は、ホテルCも検討します。

安さを求める人はホテルCを、旅館の雰囲気や良い部屋を求める人は旅館Aを選ぶでしょう。

 

こうして、ホテルCの登場により、今まで営業を続けていた旅館Bは廃業に追い込まれます。

これが、淘汰の例です。ホテルの登場という環境の変化によって、競争上不利だった旅館Bは競争の世界から追い出されます。

「淘汰」の使い方

  1. 不景気によって、経営の合理化に失敗した企業が淘汰された。
  2. 自然淘汰によって進化が起こったというダーウィンの考えは、当初誰も信じなかった。
  3. 淘汰が行きすぎて、多様性が失われることは問題である。

上記の例文のように、「淘汰」は現象をあらわす言葉として使われることが多いです。

「淘汰される」という使われ方をすることが多いです。

「淘汰を起こす」という言い方はあまりしません。

「淘汰」の語源

「淘汰」を構成する漢字には以下のような意味があります。

「淘汰」の漢字の意味
  • :水で洗って選り分ける
  • :勢いよく水で流してすすぐ

「水洗いして分ける」というのは、砂金堀りをイメージすれば理解しやすいでしょう。

砂金が取れる川は、川底に砂に交じって砂金が眠っています。川底の砂粒をふるいにかけ、水で砂や小石を流していくことで、砂金が残ります。

水洗いによって、悪いもの(砂や小石)は取り除かれ、良いもの(砂金)だけが残ります。

地質学用語の「淘汰」は、語源である「水洗いしてより分ける」という意味に基づく言葉です。

「淘汰」の類義語

「淘汰」には以下のような類義語があります。

  • 間引き(まびき):農作物をまびくこと
  • 選抜(せいばつ):選び分けること
  • 振り分け(ふりわけ):ふたつに分けること
  • 自然選択(しぜんせんたく):ある生物の生存競争において、生存に有利なものが生き残ること
  • 適者生存(てきしゃせいぞん):生存競争で環境にもっとも適したものが生き残る機会を保障されること
  • 排除(はいじょ):おしのけて取り除くこと
  • 選別(せんべつ):よりわけること
  • 除却(じょきゃく):とりのぞくこと
  • 排出(はいしゅつ):中にたまっているものを外に押し出すこと
  • 除去(じょきょ):邪魔なものを取り除けること
  • 選り分け(えりわけ):一定の基準に従って区分けすること
  • ふるいにかける:条件に合わないものを除外すること

「淘汰」と「排除」の違い

「排除」とは、不要なものや障害となるものを取り除くことです。

「淘汰」と「排除」には以下のような違いがあります。

  • 淘汰:いらないものを取り除いて良いものを残す
  • 排除:いらないものを取り除く

「淘汰」は「排除」の意味に加えて「良いものを残す」というニュアンスが加わるのです。

また、「淘汰」は自然や環境などによって行われ、「淘汰される」という受け身の形で用いることが多いです。

一方、「排除」は主に人間によって行われ、「排除する」という能動態の形で用いられることが多いです。

「淘汰」の対義語

「淘汰」には以下のような対義語があります。

  • 受容(じゅよう):受け入れて取り込むこと
  • 導入(どうにゅう):外部から導き入れること
  • 包摂(ほうせつ):一定の範囲の中に包み込むこと
  • 共存(きょうぞん):複数のものが同時に存在すること
  • 許可(きょか):ある行為や行動を許すこと
  • 許諾(きょだく):相手のたのみを聞き入れること
  • 許容(きょよう):ある状態にあることを許し認めること

「淘汰」の英語訳

「淘汰」の英語訳には以下のようなものが挙げられます。

  • selection
    (選択)
  • shakeout
    (淘汰)

まとめ

以上、この記事では「淘汰」について解説しました。

読み方淘汰(とうた)
意味悪いものを取り除き、良いものを残すこと
語源「水で洗ってより分ける」という意味の漢字2字の組み合わせ
類義語間引き、選抜、振り分けなど
対義語受容、導入、包摂など
英語訳selection(選択)、shakeout(淘汰)

「淘汰」という言葉は、漢字が少し難しいですよね。

しかしその分、使いこなせると周りから一目置かれるでしょう。