トップダウンの意味は?英語やボトムアップの意味、テストを解説!

言葉

トップダウンとは「上層部が下した意思決定に基づいて下部組織が動く意思決定方法」という意味です。

ビジネスにおいて重要な言葉ですが、その詳しい意味を学ぶ機会はなかなかないですよね。

この記事では、トップダウンの詳しい意味やメリット、デメリットなどを解説します。

☆「トップダウン」をざっくり言うと……

英語表記トップダウン(top-down)
意味上層部が下した意思決定に基づいて下部組織が動く意思決定方法
語源「頂点から下す」という意味の英単語 “topdown”
類義語上意下達
ミドルアップダウン・マネジメントなど
対義語ボトムアップ
下意上達

「トップダウン」の意味

トップダウン

上層部が下した意思決定に基づいて下部組織が動く意思決定方法
例:あの会社はトップダウンですべてが決まる。

トップダウンとは、上層部が下した意思決定に基づいて下部組織が動く意思決定方法のことです。

企業や団体などの経営層や上層部が、全体の動きを決めるような意思決定をすべて行います。

それを現場で動く人間や末端の社員などに伝え、指示通りに動いてもらう意思決定方法を表すのです。

 

一般的にトップダウン方式の経営手法を採用しているのは、以下のような特徴を持つ企業が多いです。

  • 少人数の規模の企業
  • 家族経営の企業
  • 一代で急成長した企業

また、これらに当てはまらない大企業だとしても、以下のような状況の際に一時的にトップダウン方式の経営を行うことがあります。

  • 財政面や営業面で急激な危機に陥った場合
  • 企業力が長期的な衰退を続けている場合
  • 将来に向けての重大な構造的問題がある場合

このような問題を解決するために、多少強引でもトップダウンでものごとを判断する場合があるのです。

このようなトップダウン方式の経営手法は、その判断内容が正しく、判断を下すタイミングが適切でなければ、うまく機能しません。

経営以外のトップダウン

トップダウンという言葉は、企業だけでなく、軍隊や政府、非営利団体などでも使われることがあります。

「トップダウン」のメリット


トップダウンのメリットには、以下のようなものがあります。

  1. 意思決定までの時間やコストがかからない
  2. 全体を見通した意思決定ができる
  3. 大きな変化を起こせる可能性がある

メリット➀:意思決定までの時間やコストがかからない

トップダウンでは、上層部のみで意思決定ができ、現場の人々の多くの意見を取り上げてまとめる必要がありません。

そのため、現場の意見までくみ上げて全員の納得できる結論を探すよりも、意思決定までの時間やコストがかからないのです。

メリット➁:全体を見通した意思決定ができる

トップダウンでは全体を見通した意思決定を行うことができます。

現場や末端の社員は、現場のことはわかっていますが、会社全体のことが見えていたり、経営的な観点を持っていたりするわけではありません。

悪く言えば、自分の周りの小さな範囲しか見えていないのです。

それに対して、上層部や経営層が決定すれば、企業や組織全体を見渡した計画を立てて意思決定を行えるのです。

メリット➂:大きな変化を起こせる可能性がある

トップダウンでは、大きな変化を起こせる可能性があるというメリットがあります。

インパクトあるアイデアや大きな企業体制の変化を起こす案は、大勢の話し合いや複数回の会議の中で却下されたり、角が取れてしまったりすることが多いです。

意見を出す人間が多いほど、挑戦的な案は却下されやすく、結論が平均的なものになってしまうためです。

その点、トップダウンでは、良くも悪くも現場の声は聴き入れないため、大きな変化をもたらすような挑戦的なアイデアを生み出すことができるのです。

「トップダウン」のデメリット


トップダウンのデメリットには、以下のようなものがあります。

  1. 現場の意見を取り入れられない
  2. アイデアがブラッシュアップされない

デメリット➀:現場の意見を取り入れられない

トップダウンには、現場の意見を取り入れられないというデメリットがあります。

トップダウンを続けていると、現場の実情をわかっていない無理な要求をしてしまう可能性があります。

さらに、現場の声を無視した一方通行の命令ばかりをしていると、現場の人間の不満が溜まり、反発が起こる可能性もあります。

デメリット➁:アイデアがブラッシュアップされない

意思決定が一方的すぎる場合、現場の人間や末端の社員が「言われたことだけやればいい」という意識を持ってしまうことがあります。

自ら考えて会社をよくしようと考えてくれなくなってしまうのです。

また、現場でのアイデアがあったとしても上層部には届かないので、サービスレベルの向上に繋がりません。

「トップダウン」の使い方


トップダウンは、「トップダウン経営」という形で使われることが多いです。

  1. その方向性は、トップダウンで決定されたことです。
  2. トップダウン経営は、今の時代にそぐわないよ。
  3. 無理な命令が、トップダウンで伝えられた。

「トップダウン」の語源

トップダウンの語源は英語の “topdown” です。

“topdown” は、以下のような言葉で構成されています。

  • top
    頂点
  • down
    下におろす

企業や組織の構成をピラミッド型にして考えます。上層部がその頂点だとみなし、現場や末端の構成員を底の部分だとみなします。

つまり、 “top” である上層部から、決定を末端の構成員におろしていくイメージで捉えることができます。

“topdown” の英語圏での意味

トップダウンは、英語圏でもカタカナ語と同じ意味で使用できます。

ただし、「全体」「上から下まで」などの意味も持つので、どちらの意味か文脈から判断する必要があります。

「トップダウン」の類義語

トップダウンには以下のような類義語があります。

  • 上意下達(じょういかたつ)
    組織や団体において、上位・上層の命令を下位へと伝えて、意思の疎通を図る方法
  • ワンマン経営
    経営者が会社の舵取りを単独で行う経営体制

「トップダウン」と「ワンマン経営」の違い

ワンマン経営とは、経営者が会社の舵取りを単独で行う経営体制のことです。

トップダウンとは、以下のようなイメージの違いがあります。

  • トップダウン
    特にマイナスのニュアンスはない
  • ワンマン経営
    独断的というマイナスのニュアンスがある

また、イメージだけでなく、実際の仕組みにも違いがあります。

  • トップダウン
    経営層や上層部が意思決定を行う
  • ワンマン経営
    経営者が単独で意思決定を行う

つまり、トップダウンは上層部のみで意思決定を行うとは言え、単独でものごとを判断するわけではないのです。

そのため、ワンマン経営はトップダウンよりもリスクの高い意思決定方法だと言われています。

「トップダウン」の対義語

トップダウンには以下のような対義語があります。

  • ボトムアップ
    下位から上位への意見によって意思決定がなされる管理方式
  • 下意上達(かいじょうたつ)
    下位から上位への意見によって意思決定がなされる管理方式

「ボトムアップ」の意味

ボトムアップは、トップダウンとは真逆の意思決定方法です。

企業の下層部のメンバーの提案を上層部が吸い上げることで意思決定をするスタイルを指します。

現場で実際に動く社員の現状や意見を反映できるため、現場を意識した意思決定ができます。

「トップダウン」の関連語


トップダウンには以下のような関連語があります。

  • トップダウン処理
    ものを見たときに、期待や知識によって見当をつけるような認知的処理
  • トップダウンアプローチ
    個別の銘柄を選ぶ前に、マクロな視点で経済動向を分析する投資手法
  • トップダウンテスト
    上位の部位から順番に稼働テストを行うという手法
  • ミドルアップダウン・マネジメント
    トップ層とミドル層で組織を支える経営方法

「トップダウン処理」の意味

トップダウン処理とは、対象を見たときに、期待や知識によって見当をつける認知的処理を表します。

例えば、公園でくつろいでいる時に、間の前を横切る黒い物体を見て「今動いたのは犬だろう」と、過去の経験などから見当をつけることがトップダウン処理です。

トップダウン処理の別名

トップダウン処理は「概念駆動型処理(がいねんくどうがたしょり)」と言われることもあります。

「トップダウンアプローチ」の意味

トップダウンアプローチとは、投資信託において個別の銘柄を選ぶ前に、マクロな視点で経済動向を分析する投資手法のことです。

そのような分析をもとに、資産をどのような地域や国に配分するかを決定するのです。

「トップダウンテスト」の意味

トップダウンテストというのは、システムやソフトウェアの一つのテスト方法です。

ソフトウェアやシステムをテストする際に、上位の部位から順番に結合しながら動作を検証していく方式のことです。

すべての部位を一気に繋いで調べるのではなく、少しずつ追加していきながら何度も繰り返し試験するのです。

これによって、問題の発生箇所を特定しやすくなるというメリットがあります。

「トップダウン」と「ミドルアップダウン・マネジメント」の違い

ミドルアップダウン・マネジメントとは、トップダウンとボトムアップを組み合わせた経営方式です。

「ミドル」と呼ばれる中間管理職層が、経営層の判断を部下にわかりやすく指示し、逆に末端社員の意見や提案を経営層に進言する役割を担います。

トップダウンにもボトムアップにも、それぞれメリットとデメリットが存在するため、お互いの欠点を補完する目的で考えられました。

「トップダウン」のまとめ

以上、この記事ではトップダウンについて解説しました。

英語表記トップダウン(top-down)
意味上層部が下した意思決定に基づいて下部組織が動く意思決定方法
語源「頂点から下す」という意味の英単語 “topdown”
類義語上意下達
ミドルアップダウン・マネジメントなど
対義語ボトムアップ
下意上達

トップダウンの意味だけでなく、メリットやデメリットもしっかり理解しておきましょう。