「鳶に油揚げをさらわれる」の意味とは?読み方は?使い方まで例文付きで

言葉

今回ご紹介する言葉は、ことわざの「鳶に油揚げをさらわれる(とんびにあぶらあげをさらわれる)」です。

言葉の意味や使い方、由来、類義語、英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「鳶に油揚げをさらわれる」をざっくり言うと……

読み方鳶に油揚げをさらわれる(とんびにあぶらあげをさらわれる)
意味不意に横から、自分のものになると思っていたものや大事なものを奪われること
由来上空を悠々と飛んでいる鳶は、いったん獲物を見つけると物凄い速さで空から舞い降りてきて、獲物をかっさらっていくことから
類義語犬骨折って鷹の餌食、月夜に釜を抜かれる、鳶に掛けられる
英語訳While the dogs growl, the wolf devours the sheep. (犬たちが争っている間に、オオカミが羊を食う。)

「鳶に油揚げをさらわれる」の意味をスッキリ理解!

鳶に油揚げをさらわれる(とんびにあぶらあげをさらわれる):不意に横から、自分のものになると思っていたものや大事なものを奪われること

「鳶に油揚げをさらわれる」の意味を詳しく


「鳶に油揚げをさらわれる」とは、不意に横から、自分のものになると思っていたものや大事なものを奪われることを意味することわざです。また、奪われて呆然とする様子を指すことも多くあります。

自分のものになりそうなもの、もしくは自分の大切にしていたものを横取りされるということを想像してみると、イメージしやすいと思います。

 

自分のものになりそうなものが少し想像つきにくいかもしれませんが、以下の例を見てみるとよくわかると思います。

例えば、自分の気になる異性がいたとします。その異性と複数回のデートを重ね、これは付き合えると思い、次のデートでいざ告白しようとしている状況を考えます。

この時、自分からしたら、その異性はもうすぐ付き合うことができそう、つまり自分のものになりそうな存在です。

 

もう一つ例を挙げてみます。大人気スマートフォンの新型の発売日に、それをいち早く手に入れるために、店舗の前で深夜から待機列に並んでいたとします。

この時、深夜から並んでいたこともあり、新型のスマートフォンはもうすぐ手に入りそうなものです。

二つの例を挙げましたが、自分のものになりそうなものとは、人と物の両方が考えられます。

 

ちなみに、今回のことわざの「鳶に油揚げをさらわれる」状況とは、前者の例では、告白しようとしていた次のデートの直前で、その異性に恋人ができることが該当します。

一方、後者であれば、直前で列に横入りされ、スマートフォンが売り切れになってしまうことが該当します。

 

また、このことわざには、単に「奪われる」ことを指すだけでなく、「奪われて呆然とする様子」を意味の中に含むこともあります。

先ほどの例を用いれば、異性やスマートフォンを奪われ、呆然としている様子まで含めて、「鳶に油揚げをさらわれる」と表現します。

「鳶」を「とび」、「油揚げ」を「あぶらげ」と読んだり表現したりする場合もあります。

「鳶に油揚げをさらわれる」の使い方

  1. お風呂あがりに食べるのを楽しみにしていた、貰い物のアイスを姉に食べられた。鳶に油揚げをさらわれるとはまさにこのことだ。
  2. 仕事で家庭をおろそかにしていたら、鳶に油揚げをさらわれるように、妻と子供が他の男性にとられてしまった。
  3. 彼の顔はまさに鳶に油揚げをさらわれたようだった。何を奪われたのだろう。

➀は、自分のものになりそうだったアイスを姉に奪われた状況です。

➁は、妻子という大切な存在を他の男性に奪われてしまった状況です。

➂は、何か大切なものを奪われて呆然としているような顔を、「鳶に油揚げをさらわれる」ということわざを使って表現しています。

「鳶に油揚げをさらわれる」の由来

「鳶に油揚げをさらわれる」の由来は、鳶という動物(鳥)の性質にあります。

鳶は、タカ目タカ科に属する鳥類の一種で、猛禽類(もうきんるい)という他の動物を捕食する習性のある動物です。鳶は、日本では最も身近な猛禽類とも言われています。

 

鳶は普段は上空を悠々と飛んでいます。しかし、いったん獲物を見つけると物凄い速さで空から舞い降りてきて、獲物をかっさらっていきます。

このことから転じて、大事なものや手に入りそうなものを不意に奪われることを、「鳶に油揚げをさらわれる」と表現するようになりました。

 

また、さらわれるものがなぜ油揚げなのかについてですが、鳶が油揚げを好物としているというわけではありません。

人間が神社にお供えするものとして油揚げがあり、鳶がそれを奪っていったことに由来していると言われています。

「鳶に油揚げをさらわれる」の類義語

「鳶に油揚げをさらわれる」には以下のような類義語があります。

  • 犬骨折って鷹の餌食(いぬほねおってたかのえじき):苦労して得たものを他人に横取りされること
  • 月夜に釜を抜かれる(つきよにかまをぬかれる):ひどく油断すること
  • 鳶に掛けられる:「鳶に油揚げをさらわれる」と同義

鷹狩りにおいて、犬が骨を折って(苦労して)追い出した獲物も、鷹にとられてしまうことから、「犬骨折って鷹の餌食」ということわざができました。

「鳶に油揚げをさらわれる」の英語訳

「鳶に油揚げをさらわれる」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • While the dogs growl, the wolf devours the sheep.
    (犬たちが争っている間に、オオカミが羊を食う。)
  • be robbed of one’s due
    (当然与えられるべきものを盗まれる)
  • Having one’s fried tofu snatched by a black kite.
    (鳶に油揚げをさらわれる。)

“due” は名詞として使われるとき、「当然与えられるべきもの」という意味になります。

“fried tofu” で「油揚げ」、 “black kite” で「鳶」を意味します。

まとめ

以上、この記事では「鳶に油揚げをさらわれる」について解説しました。

読み方鳶に油揚げをさらわれる(とんびにあぶらあげをさらわれる)
意味不意に横から、自分のものになると思っていたものや大事なものを奪われること
由来上空を悠々と飛んでいる鳶は、いったん獲物を見つけると物凄い速さで空から舞い降りてきて、獲物をかっさらっていくことから
類義語犬骨折って鷹の餌食、月夜に釜を抜かれる、鳶に掛けられる
英語訳While the dogs growl, the wolf devours the sheep. (犬たちが争っている間に、オオカミが羊を食う。)

本文でも触れた通り、鳶は私達に最も身近な猛禽類で、実際に被害を受けたことがある人も少なくありません。

このことわざの意味や使い方を覚えるのはもちろんですが、普段の生活の中で鳶にも気を付けてもらえたらと思います。