「ともすれば」の意味とは?英語や対義語や類語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、「ともすれば」です。

言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「ともすれば」をざっくり言うと……

読み方ともすれば
意味場合によっては
由来古語の「ともすれば」より
類義語もしかすると、ひょっとすると、ややもすればなど
対義語決してない、あり得ない、不可能ななど
英語訳prone to(~の傾向があって)

「ともすれば」の意味をスッキリ理解!

ともすれば:どうかすると、場合によっては

「ともすれば」の意味を詳しく


「ともすれば」は、どうかすると、場合によってはという意味を表す言葉です。「ひょっとして〜」「〜の可能性がある」という意味で、古文でも用いられており、かなり古くからある言葉です。

「ともすれば」は、起こってほしくないことが場合によっては起きてしまうかもしれないというネガティブなニュアンスをもった言葉です。明るい可能性を表す際には使われません。

また、「ともすると」とも言い換えられます。「ともすると」の方が柔らかい印象を与えます。

「ともすれば」の使い方

  1. 誰かを批判することはともすれば、全体の雰囲気も悪くしてしまう。
  2. 重い空気が漂い、私たちはともすると沈黙しがちだった。
  3. 本来より、2か月早い納品を希望されるそうですね。ともすれば、製品のクオリティも下がる可能性がありますよ。

「ともすれば」は、以下のような言い回しで使われます。

「ともすれば」の言い回し
  • ともすれば、~になる
  • ともすれば、~してしまいがちだ
  • ともすれば、~してしまいそうになる
  • ともすれば、~しようとする
  • ともすれば、~という結果になりかねない

「ともすれば」には、ネガティブなニュアンスがあります。①のように、後に続く言葉は「ダメになるかもしれない」「難しいかもしれない」といったニュアンスを表します。

一方、②のように「ともすると」と言い換えることで、やや柔らかい印象を与えることができます。

また、③のように相手との交渉の際にも使うことがあります。「ともすれば、この件はダメになるかもしれない」とマイナスな発言で終わらせるのではなく、「代わりに、~はどうでしょうか」と解決策を提案するのが良いでしょう。

「ともすれば」の由来

「ともすれば」は「ややもすると」「どうかすると」という意味の古語が語源です。

平安時代から使われており、「竹取物語」「源氏物語」「山家集」などにも登場しています。

竹取物語

平安時代初期の作品である「竹取物語」には、下記の文章があります。

ともすれば、人間(ひとま)にも月を見ては、いみじく泣き給ふ」

これは「どうかすると、人のいない間にも月を見ては、ひどくお泣きになる」という意味です。

かぐや姫が「場合によっては、人のいない間に月を見て、泣いてしまうかもしれない」と表現している一文です。

源氏物語

「源氏物語」には、下記の文章があります。

「おくと見るほどぞはかなきともすれば風にみだるる萩のうは露」

これは「起きているのも、それは束の間です。起き上がってもしばらくしたら、萩に宿る露は風に乱れて散ってしまうように、私も露のようにはかなくなるばかりである」という意味です。

「ややもすると、はかなく散ってしまうかもしれません」という、可能性を示唆した一文です。

山家集

「山家集」には、下記の歌が収められています。

ともすれば月すむ空にあくがるる心の果てを知るよしもがな」

これは「気がつけば、月が満ちている空を見てさまよっている心の行き場所を知ることができたらいいのになぁ」という意味です。

ここでの「ともすれば」は、「ふと~すると」「ややもすると」という意味で、ちょっとした動作を表しています。

「ともすれば」の類義語

「ともすれば」には以下のような類義語があります。

  • かもしれない:その可能性があるが確かではない
  • ひょっとすると:もしかすると
  • もしかすると:疑いを含む推定を示す語
  • 可能性がある:あることが実現する見込みがあるさま
  • あるいは:または、もしくは
  • ややもすれば:物事がとにかくそうなりがちであるさま

「ともすれば」と「ややもすれば」の違い

  • ともすれば:場合によっては、~かもしれない
  • ややもすれば:放置しておくと、ある状態になりそうなさま
「ともすれば」と「ややもすれば」は、「起こってほしくないことが起きてしまう」というニュアンスは共通していますが、「ややもすれば」には「物事がとにかくそうなりがちである」という意味が含まれています。

また、「ともすれば」よりも「ややもすれば」の方が、「その状態になる度合い」が強い言葉です。起こってほしくない物事の度合によって使い分けるようにしましょ。

「ややもすれば」は、「ややもすると」とも言い換えられます。

「ともすれば」の対義語

「ともすれば」には以下のような対義語があります。

  • 有り得ない:あるはずがない
  • 決してない:断じて、絶対にない
  • 不可能な:できないこと、可能ではないこと
すべての対義語で、「絶対に起こらない」という意味が共通しています。

「ともすれば」の英語訳

「ともすれば」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • prone to
    (〜の傾向があって)
  • apt to
    (~しがち)
  • be given to doing
    (とかく~しがちだ)
すべての英語訳に「~する可能性が高い」というニュアンスが共通しています。

まとめ

以上、この記事では「ともすれば」について解説しました。

読み方ともすれば
意味場合によっては
由来古語の「ともすれば」より
類義語もしかすると、ひょっとすると、ややもすればなど
対義語決してない、あり得ない、不可能ななど
英語訳prone to(~の傾向があって)

「ともすれば」は日常会話でもよく使用する言葉です。また、日本で古くから使われている言葉でもあります。類義語の意味の違いをしっかり確認しておきましょう。

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