「篤志家」の意味とは?使い方から英語や類語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、熟語の「篤志家(とくしか)」です。

言葉の意味・使い方・語源・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「篤志家」をざっくり言うと……

読み方篤志家(とくしか)
意味社会奉仕などを熱心に実行する人
語源「手厚い」という意味の「篤(あつ)い」から
類義語慈善家、ボランティア、博愛主義者など
英語訳a philanthropist(慈善家)など

「篤志家」の意味をスッキリ理解!

篤志家(とくしか):社会奉仕などを熱心に実行する人

「篤志家」の意味を詳しく

「篤志家」とは、社会奉仕や慈善事業などを熱心に実行したり、支援したりする人のことです。特に、金銭が絡むことを私財を投入して行う人、というイメージが強いです。

また、売名する意図などがある人は「篤志家」とは呼びません。あくまで純粋な善意に基づいて奉仕活動を行う人のことを指します。

著名な「篤志家」たち

ここでは篤志家として有名な人を紹介します。

マザー・テレサ

マザー・テレサは1900年代に活躍した修道女です。自分から修道会を退会し、スラムの人たちのために働きました。病院や孤児院などを設立し、自らも支援の前線に立って活動しました。

彼女はノーベル平和賞を受賞しましたが、その賞金も全て貧しい人たちへの奉仕にあてました。まさに篤志家と呼べる人でしょう。

ビル・ゲイツ夫妻

ビル・ゲイツはMicrosoftの創業者であり、世界的にも有名な大富豪です。夫妻は、その資産の大部分を寄付にあてたり、「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」という慈善基金団体を設立したりと、さまざまな慈善活動に使っています。

 

ここであげた他にも、さまざまな篤志家がいます。気になった方は、ぜひ調べてみてください。

「篤志家」の使い方

  1. 彼女は篤志家と呼ぶのにふさわしい人物だ。自分の貯金を切り崩しながら震災被害者への奉仕活動を行なったんだ。
  2. 相手に見返りを要求しているようじゃ、篤志家とは言えないなぁ。
  3. 特定の手続きを踏めば、献体篤志家になることができる。

上記の例文のように、「篤志家」は「呼ぶ」「なる」などの動詞とともに使われます。

①の例文は、自分を犠牲にして震災被害者を助けた「彼女」を篤志家だと讃える文章です。このように、自分のお金などを使って誰かを助ける人が篤志家と呼ばれます。

②は反対に、見返りを求めながら誰かを助ける人を「それでは篤志家とは言えない」と批判している文章です。篤志家は厚意で相手を助ける人のことですから、見返りを求めたり、売名行為に繋げたりということを考えている場合は、篤志家にはなれません。

 

③は「篤志家」を使った複合語、「献体篤志家」についての文章です。献体篤志家とは、自分の死後、遺体を大学の解剖(かいぼう)実習用に提供する人のことです。各大学の医学部や歯学部などに登録すると、なることができます。

このように、「篤志家」は見返りなく自らを犠牲にする、といった意味合いが強いときに使われます。

「篤志家」の語源

篤志家の語源を知るためには、まず「篤(あつ)い」という言葉の意味や成り立ちを知る必要があります。

「篤」は、「竹」という漢字と「馬」という漢字が合体してできています。「竹」には「太い、丸い」というような意味やニュアンスがあり、それが「馬」と合わさって、丸い馬、太っている馬、という意味になりました。

太っている馬は、のそのそとゆっくり歩いたり、また体が厚かったりしますよね。ここから「手厚い」という意味が生まれました。また、重みがある様子から、「一点に熱心であること」という意味も持ち合わせています。

ここから、「篤志」という言葉が、「手厚く人を助ける」または「熱心に人を助ける」という意味を持ちました。そして、「篤志を持っている人」を意味する「篤志家」が誕生しました。

「篤志家」の類義語

篤志家には以下のような類義語があります。

  • 慈善(じぜん)家:慈善行為を進んでする人
  • ボランティア:自ら進んで慈善活動を無償で行うこと、また活動を行う人
  • 博愛主義者:全人類が互いを助け合うべきだという思想を持つ人
  • 愛他主義者:他人の利益を第一に考える人

このうち、「ボランティア」と「篤志家」には細かい違いがいくつかあります。ご紹介します。

「ボランティア」の特徴
  • 自分の金銭を犠牲にする、寄付するというニュアンスが弱い
  • 利己的な理由(自分の成長のため、など)での慈善行為も含む
  • 慈善行為そのもののことも指す
「ボランティア」の方がより広い範囲のことを指しています。

「篤志家」の英語訳

篤志家を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • a philanthropist
    (慈善家)
  • a benefactor
    (恩恵を施す人)
  • an almsgiver
    (施しをする人)
  • a benevolent person
    (慈善家、慈悲深い人)
  • a charitable person
    (慈善家)

まとめ

以上、この記事では「篤志家」について解説しました。

読み方篤志家(とくしか)
意味社会奉仕などを熱心に実行する人
語源「手厚い」という意味の「篤(あつ)い」から
類義語慈善家、ボランティア、博愛主義者など
英語訳a philanthropist(慈善家)など

見返りなく、自らを犠牲にして頑張る様子は、マザー・テレサなどの偉人をイメージするとわかりやすいです。

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Rie
日英バイリンガル東大生。 10年間小説を書き続けているため、文章力には自信があります。 いくつかの小説投稿サイトで掲載/連載している他、教育系NPOでもライターをしています。