「想像」「空想」「妄想」の違いとは?意味の比較から使い分けまで

違いのギモン

自己啓発本では必ずと言っていいほど必要だと書いてある「想像力」。

しかし「想像」と「空想」と「妄想」の違いをしっかり説明できる人はあまり多くはないと思います。

どれも頭の中で考えるということは共通していますが、意外と知らない3つの違いを解説します。

結論:考えることの現実味によって変わる

「想像」は頭の中だけで考えることです。

「空想」は現実にはあり得ないことや、現実と関係ないことを思いめぐらすことです。

「妄想」は病的に抱く誤った判断や確信のことです。

「想像」についてもっと詳しく!

「想像」とは頭の中で思いをめぐらすことです。

実際には経験していない事柄を推測すること、また現実には存在しない事柄を頭の中に思い描くことという意味でも使われます。ここには現実味があるかどうかはあまり関係ありません

例えば壊された窓ガラスを見て「犯人はきっとこの窓から侵入してこの部屋を通ったのだろう」というある程度現実味のある推測をすることも、「宝くじで6億円当たったら何にしようかな…」と実現しなさそうなことを実現したと仮定してをあれこれ考えることも「想像」になります。

この「想像」の意味が一番広く、「妄想」「空想」の大本、原点にあるのが「想像」です。

「空想」についてもっと詳しく!

「空想」には、現実では起こりえない事、現実とは全く関係のない事を、頭の中だけであれこれと思いめぐらすことという意味があります。

「想像」との違いが少し難しいですが、現実味や根拠がない物事を考える時は「空想」を使ったほうがよいでしょう。

「空想」する人は現実世界ではありえない事に対して、強い憧れや興味をもっています。それに対して「想像」は現実的な考えです。映画や小説でファンタジーの世界を描くためには「想像力」よりも「空想力」が必要になるでしょう。

妄想についてもっと詳しく!

妄想にはいくつかの意味があるので見てみましょう。

  1. 根拠もなくあれこれと想像すること。またその想像。
  2. とらわれの心によって、真実でないものを真実であると誤って考えること。またその誤った考え。妄念。邪念。
  3. 根拠のないありえない内容であるにもかかわらず確信をもち、事実や論理によって訂正することができない主観的な信念。

➊は「空想」とほとんど同じ意味ですね。➋、➌が「妄想」特有の使い方になります。

漢字の意味から考えていくと、妄想の「妄」という漢字はそもそも「道理が分からない、筋道が無い、でたらめ」などの意味を持っています。

「妄想」は、全く何の根拠もないのにも関わらず、考えたことが「まるで現実に起こっている」または「起こる」という事を確信していて、その考えに囚われて抜け出せなくなっている状況のことを指します。

妄想はとても危険的な想像であり、重度の精神病の症状としてよくみられています。

現実検討能力の障害による精神病の症状として生じ、気分障害や薬物中毒等でもみられる状態です。内容によっても症状が違く、誇大妄想・被害妄想などの症状があります。

使い分けの例

「花子ちゃんが授業中に見つめてくる!」など、ある程度の根拠があったうえで「花子ちゃんに告白されたら…」と考えるのが「想像」です。

特に理由もないが「もし、花子ちゃんに告白されたら…」と考えるのは「空想」です。

「花子ちゃんは僕のことが好きに違いない!明日は彼女の家に行ってみよう。喜ぶはずだ!」というのは「妄想」のレベルになります。

やはりこれらを使い分けるには「現実味」というのが重要なポイントになります

まとめ

以上、この記事では「想像」「空想」「妄想」の違いについて解説しました。

  • 想像:頭の中だけで考えること
  • 空想:現実にはあり得ない、関係ないことを思いめぐらすこと
  • 妄想:病的に抱く誤った判断や確信のこと

最初にも言いましたが、「妄想」「空想」は「想像」という言葉がもとになっているので、その性質も使い方も似ています。

「想像」は「妄想」の一部であり、「妄想」もまた「想像」の一部です。

「想像」や「空想」だと言われていたことが病的だと判断されれば「妄想」と言われることもあるかもしれません。

「妄想」のような病的な思い込みはくれぐれもしないように気を付けたいですね。