「回顧」と「懐古」はどちらも昔を思い起こすことを指す言葉であるだけに、使い分けに迷ったことのある方は多いのではないでしょうか。
今回は「回顧」と「懐古」の違いについて解説します。
結論:客観的に振り返る「回顧」、主観的に懐かしむ「懐古」
一方、「懐古」とは、過ぎ去ったことを懐かしく思うことを指す言葉であり、主観的な意味合いが強いです。
「回顧」をもっと詳しく
「回顧」とは、過ぎ去ったことを客観的に振り返ることを指します。英語では “think back” と言います。
「回顧」は、事実をもとに過去を批評的な目で振り返る時に使われる言葉で、反省的な意味合いが強いことが特徴です。例えば「少年時代を回顧する」と言う場合は、ポジティブな側面だけでなく、悪かった側面にも視野を広げて総合的かつ客観的に少年時代を振り返っていることを指します。
表記の間違いをしやすい表現に「回顧録」があります。「懐古録」と表記される場合は誤りです。起こった出来事をベースに客観的に過去を振り返っている書物が回顧録であるため、「回顧」を用います。
また、「回顧」は物理的に後ろを振り返ることも意味する言葉です。
「回顧」の使い方の例
- 社会人 1年目の頃の自分を回顧する。
- サッカーの歴史を回顧する。
- 後方の席を回顧する。
➌は、物理的に後ろに振り向いていることを指します。
「懐古」をもっと詳しく
「懐古」とは、過ぎ去ったことを懐かしく思うことを指す言葉です。英語では “recollect” と言います。
「懐古」は、「懐かしい」という言葉が熟語に含まれているように、過去の出来事に心がひかれて慕わしく思うことを意味します。そのため、「回顧」に比べてポジティブな意味合いが強く、主観性の高い言葉であると言えます。
例えば「少年時代を懐古する」と言う場合は、少年時代の良い思い出に浸っている様を表します。
「懐古」の使い方の例
- 高校時代の友達について懐古する。
- この音楽の懐古的な世界観が好きだ。
- 彼は懐古趣味が強い。
➋の「懐古的」とは、懐かしさを彷彿させる様を表す言葉です。➌の懐古趣味とは、古いものに対して愛着を持つ趣味を指す言葉です。レトロという言葉に言い換えることが出来ます。
まとめ
以上、この記事では、「回顧」と「懐古」の違いについて解説しました。
- 回顧:過ぎ去ったことを客観的に振り返ること
- 懐古:過ぎ去ったことを懐かしく思うこと
「回顧」と「懐古」はどちらも昔を思い返すことを指しますが、「回顧」は客観的かつ批評的に振り返ることを指し、「懐古」はポジティブなことを思い出に浸ることを指します。違いをきちんと理解して上手に使い分けましょう。