「顛末書」と「始末書」の違いとは?記載すべき内容まで解説

違いのギモン

人間誰しも、一度や二度のミスはしてしまいますよね。その中でも、会社での業務中にミスを犯してしまった場合、「顛末書(てんまつしょ)」や「始末書(しまつしょ)」といった文書を書かなければいけないことがあります。

ミスした後の信頼回復をする上で、この違いを理解していることは重要です。

そこで今回は、「顛末書」と「始末書」の違いについて解説します。

結論:客観的な経緯報告が「顛末書」、謝罪の気持ちを表すのが「始末書」

どちらもトラブル発生後に出される社内向けの書類です。

その中でも、「顛末書」は客観的にミスが起きた経緯の説明と再発防止策を記すのに対し、「始末書」とはミスを起こした本人が反省と謝罪の意を表す文書です。

「顛末書」をもっと詳しく


「顛末書」とは社内で発生した事故などに対して、その発生理由を説明し、再発を防止するために出されるビジネス文書です。

客観的に事故の経過を報告するもののため、特に謝罪の表明などは必要なく、書き手がミスした本人である必要もありません。

対象とする事故は小規模で懲戒処分に至らないものです。具体的には、受注ミスなどの事務処理関係や、商品に不具合があった場合などがあたります。

書式としては、以下の順番で書いていくのが一般的です。

  1. 事実関係:日時、場所、責任者などを5W1Hを意識して書きます。
  2. 被害の説明:事故の内容とその原因、被害状況の詳細を記します。
  3. 対応策:現状での事故への対応方法、今後の再発防止策を明記します。
  4. コメント:今後の展望で締めます。

「顛末書」は、パソコンを使って、ビジネス文書の体裁で作成します。また、「顛末書」の提出のタイミングは、事態が収束した後です。

「始末書」をもっと詳しく


「始末書」はミスを起こした本人が、会社に対してその責任を負って謝罪と反省の気持ちを表明する文書です。

対象となるミスは、顛末書よりも重いもので、懲戒処分の対象になるものです。具体的には、帳簿の不一致などの金銭関係のトラブルや、就業規則の違反、取引先に迷惑をかけるなどして会社の評判を落としてしまった場合などがあたります。

基本的に「顛末書」と同じく社内向けの文書ですが、場合によっては迷惑を受けた顧客や取引先、つまり社外に対しても、お詫びのために公表する可能性があります。

「始末書」には、以下のような内容を入れます。

  1. お詫び:冒頭ではっきりと謝罪します。
  2. 事故の詳細:事実関係、事故後の対応を記します。
  3. 再発防止の誓約:具体的な防止策を盛り込むとより良いでしょう。
  4. お詫び:最後にもう一度お詫びの気持ちを表します。

ビジネス文書である「顛末書」に対して、「始末書」はお詫びの気持ちを表すために、便箋に手書きするのが一般的です。

文書の最後には、自筆で署名と押印をします。提出のタイミングはミスが判明してからなるべく早くで、封筒に入れて提出しましょう。

「顛末書」「始末書」の提出は義務なのか


最後に、「顛末書」「始末書」の提出が義務なのかどうかという問題に触れます。

実は、「始末書」の提出を会社側は強制することができません。なぜなら、「始末書」は謝罪と反省の気持ちを表明するものであるため、憲法で保障されている「思想の自由」に抵触するからです。

対して、「顛末書」は客観的事実の報告書なので、その提出は業務命令です。ミスを犯した社員が「始末書」の提出を断った場合、企業は代わりに「顛末書」の提出を求めることができます。

「始末書」の提出は強制されませんが、お詫びの気持ちを表明すべきだと思ったら提出した方が良いでしょう。

まとめ

以上、この記事では、「顛末書」と「始末書」の違いについて解説しました。

  • 顛末書:事故が起きた過程を報告するもの
  • 始末書:ミスを起こした本人が謝罪の気持ちを表すもの

このように、「顛末書」と「始末書」には、目的から書式まで多くの相違点があります。

書く機会がないことが一番良いでのすが、もしもの時のために、しっかり違いを理解しておきましょう。