「多勢に無勢」の意味とは?使い方から英語や対義語や類語まで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、ことわざの「多勢に無勢(たぜいにぶぜい)」です。

言葉の意味や使い方、類義語、対義語、英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「多勢に無勢」をざっくり言うと……

読み方多勢に無勢(たぜいにぶぜい)
意味少人数では、大人数の相手にはとてもかなわないということ
類義語衆寡敵せず、寡は衆に敵せず、敵は大勢味方は一人など
対義語寡をもって衆を制す
英語訳The more numerous one wins.(より多い方が勝つものだということ。)

「多勢に無勢」の意味をスッキリ理解!

多勢に無勢(たぜいにぶぜい):少人数では、大人数の相手にはとてもかなわないということ。

「多勢に無勢」の意味を詳しく


「多勢に無勢」とは、少人数では、大人数の相手にはとてもかなわないということを意味します。

「多勢」は、大人数であるということを意味します。「勢」という漢字は、「勢い」を指すことが一般的です。しかし、「勢力」という言葉があるように、数を表す用法もあります。

「無勢」は、人数が少ないことを意味します。「無」という感じが使われているので「ゼロ」だとも捉えられますが、ここでは、相手より人数が少ないということをになります。

 

スポーツでは普通、どちらのチームも同じ人数で戦いますよね。人数においては「公平」な戦いです。

しかし、世の中には、相手と味方で人数差がある状態で戦うことがあらゆる場面であります。例えば、学校での話し合いや、友達との付き合い、会社でのミーティングなどです。

そのような場面で、人数差があまり変わらない場合は、結果はどちらに転ぶかは分かりません。

 

話し合いの場面をイメージしてみます。賛成か反対で意見が割れました。賛成派が反対派よりも数人多かったとします。もちろん、多数決という方式をとれば、1人でも多い方、つまり賛成派が勝つことになります。

しかし、その前の話し合いで、反対派が賛成派の数人を説得できれば、元々数の劣っていた反対派にも勝ち目は十分にあります。

 

一方で、人数差がかなり開いている場合はどうでしょうか。この場合、少数派はかなり厳しい戦いになります。

同じく話し合いの場面をイメージしてみます。賛成派が50人、反対派が1人だったとしましょう。

この場合、反対派はかなり厳しいですよね。説得しようにも、説得の機会を与えてもらえない可能性もあります。説得の機会をもらったとして、25人説得しなければ最終的な多数決で勝つことはできません。

 

このように、人数差が極端な場合、少数派が勝つ確率というのは非常に低いというのが、あらゆる場面で共通です。

それは、選挙や国会の審議でも同じことが言えますよね。人数が多い方が勝ちという原則で動いている以上、選挙や国会では、少数派は弱い立場に立たされていると言わざるを得ません。

 

「大人数に対して、少人数で挑んでも無駄で、勝ち目がない」とすることわざが、「多勢に無勢」なのです。

このことわざに、皮肉を込める場合もあります。戦いに負けた後に、「相手の方が人数が多く、ずるかった」「相手は人数多いから勝って当たり前だ」といった感じです。負け惜しみの場面で使うことも多くあります。

「多勢に無勢」の使い方

  1. その計画に反対していたが、多勢に無勢、話すら聞いてもらえず、その計画は実行されることになった。
  2. ある戦(いくさ)において、大人数に対して、武士の精鋭たち数人で挑んだ。しかし、多勢に無勢、あっさりと負けてしまった。
  3. 相手は人数が多すぎだ。多勢に無勢、こちらが負けるに決まっている。

➀は、計画に対する反対派が少なく、数の差により、話すら聞いてもらえなかった、まさに「多勢に無勢」な場面です。

➁は、大人数に対して精鋭で挑んだが、結局数の多さにはかなわなかったという場面です。

➂は、皮肉や負け惜しみが含まれた使い方です。

「多勢に無勢」の類義語

「多勢に無勢」には以下のような類義語があります。

  • 多勢に無勢、雉と鷹(たぜいにぶぜい、きじとたか):「多勢に無勢」と同義。
  • 衆寡敵せず(しゅうかてきせず):多数と少数では戦いにならないということ。
  • 寡は衆に敵せず(かはしゅうにてきせず):多数と少数では戦いにならないということ。
  • 敵は大勢、味方は一人:敵は大勢で、味方は一人または、きわめて少数だという状況。
  • 八方塞がり(はっぽうふさがり):どのようにしても悪い結果を招くということ。どうしようもないこと。

「多勢に無勢、雉と鷹」は、「多勢に無勢」に「雉と鷹」が加えられたものです。「雉と鷹」は、弱いものと強いもののたとえとしてよく使われるものです。

また、「八方塞がり」は人数の差について言及しているものではありません。しかし、どうしても負けてしまうという状況については、「多勢に無勢」と共通しています。

「多勢に無勢」の対義語

「多勢に無勢」には以下のような対義語があります。

  • 寡をもって衆を制す(かをもってしゅうをせいす):少人数で力を合わせて、大人数の相手に勝利を収めるということ。

「多勢に無勢」の英語訳

「多勢に無勢」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • The more numerous one wins.
    (より多い方が勝つものだということ。)
  • To be outnumbeblack.
    (数において勝られる。)
  • There is no fighting against such odds.
    (この戦いに勝ち目はない。)
  • Many a small bird drive away a hawk.
    (多数の小鳥は一羽の鷹を追いやる。)
  • Many a sheep drive away a wolf.
    (多数の羊は一匹のオオカミを追いやる。)

まとめ

以上、この記事では「多勢に無勢」について解説しました。

読み方多勢に無勢(たぜいにぶぜい)
意味少人数では、大人数の相手にはとてもかなわないということ
類義語衆寡敵せず、寡は衆に敵せず、敵は大勢味方は一人など
対義語寡をもって衆を制す
英語訳The more numerous one wins.(より多い方が勝つものだということ。)

「多勢に無勢」の意味や使い方を理解することはできたでしょうか。極端な人数差がある中での少数派は、かなり厳しい状況に立たされることになります。

もちろん、少数派が勝つ可能性も十分にあります。しかし、人数は多いに越したことはありません。その戦いに入る前に、あらかじめ根回しをして味方を多く付けておくというのも一つの戦略です。

できるだけ、少数派にならないようにするというのが、あらゆる戦いに勝つためには必要ですね。