ことわざ「足るを知る者は富む」の真意は?|『老子』に学ぶ

言葉

今回ご紹介する言葉は、ことわざの「足るを知る者は富む(たるをしるものはとむ)」です。

一見すると、足りないものを手に入れてこそ富んでいると言えるのではないか、等の疑問が湧いてくるかもしれません。しかし、言葉の発祥までさかのぼると、「足るを知る者は富む」の真意が見えてきます。

今回の記事では、「足るを知る者は富む」の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

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「足るを知る者は富む」の意味をスッキリ理解!

足るを知る者は富む(たるをしるものはとむ):満足することを心得ている者は、たとえ暮らしが貧しくても心は豊かであるということ

「足るを知る者は富む」の意味を詳しく

「足るを知る者は富む」とは、満足するということを知っている人は、たとえ貧しい状況にあっても精神的には豊かであるということを意味することわざです。

ただし、「足るを知る者は富む」は、「現状に満足すればよく、それ以上は何も行動しなくてよい」という意味ではありません

「足るを知る者は富む」は、あるものが自分にないという状況を常に悲観的に捉(とら)えるのではなく、自分にとって必要なものや、自分の本来のあり方を理解すべきであるということを示唆しています。

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「足るを知る者は富む」の使い方

  1. あれこれと無いものねだりをしていてはきりがない。足るを知るは富むと言うではないか。
  2. 彼は自分の分をわきまえているからか、決して豊かでない暮らしぶりに反して幸せそうだ。足るを知る者は富むとはよく言ったものだ。

①では、他人にあって自分にないものをすべて手に入れようとするのではなく、自分にとって何が必要なのかをわきまえて、まずはそれに満足すべきであるということを言っています。

②では、決して裕福ではない彼が、分をわきまえているからこそ自分なりの満足を知っており、結果として幸せを掴んでいる様子が描かれています。

「足るを知る者は富む」の由来

「足るを知る者は富む」は、古代中国の書物『老子(ろうし)』の第33章に収められている言葉です。『老子』は、中国における周(しゅう)の時代に、思想家であった老子が記した作品です。

『老子』には、以下のような記述があります。

人を知る者は智、自ら知る者は明なり。
(他人を理解することは普通の智恵であるが、自分を理解することには並外れた智恵の働きが必要である。)

人に勝つ者は力あり、自ら勝つ者は強し。
(力のある者は他人に勝つが、本当の強者は自分に勝つ。)

足るを知る者は富み強(つと)めて行う者は志有り。
(満足することを知っている者は精神的に豊かであり、それでいて努力する者にこそ志は宿っている。)

其の所を失わざる者は久し。死して而(しか)も亡びざる者は寿(いのちなが)し。
(自分の本来のあり方を見失わない者は長生きする。死んでもなお志を失わない者は真の長寿と言える。)

老子は、自分を知ることは大変だが、それができてこそ本当の強者であるという文脈の中で「足るを知る者は富む」という言葉を用いています。

後に続く、「強めて行う者は志有り」にも表れているように、自分が求めているものやそれに対する満足を心得てこそ、人には志が宿るというメッセージが全体に込められています。

「足るを知る者は富む」は、決して向上心や努力を否定しているわけではなく、まずは自分のことをよく理解することの大切さを示唆しているのです。

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「足るを知る者は富む」の類義語

「足るを知る者は富む」には以下のような類義語があります。

  • 富は足るを知るにあり:本当の豊かさは、満足することを知ることにこそある
  • 足るを知るは第一の富なり:満足することを知ることは第一の豊かさである
  • 足ることを知れば福人:満足することを知ってこそ豊かな人になれる

ことわざではないですが、「足るを知る者は富む」という意味を表す熟語として「知足(ちそく)」という言葉があります。「足るを知る」と訓読できることからわかるように、自分にとっての分をわきまえて、それについて満足するという意味です。

「足るを知る者は富む」の英語訳

「足るを知る者は富む」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • A contented mind is a perpetual feast.
    (満足は、永久のご馳走である。)
  • He is rich that has few wants.
    (欲しがりすぎない人こそ豊かである。)
  • Content is a kingdom.
    (満足は王国である。)
  • Content is the philosopher’s stone, that turns all it touches into gold.
    (満足は触れるものすべてを金に変えてしまうような、賢者の石である。)
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まとめ

以上、この記事では「足るを知る者は富む」について解説しました。

読み方足るを知る者は富む(たるをしるものはとむ)
意味満足することを心得ている者は、たとえ生活が貧しくても心は豊かであるということ
由来『老子』における記述
類義語富は足るを知るにあり、足るを知るは第一の富なり、足ることを知れば福人
英語訳A contented mind is a perpetual feast.
He is rich that has few wants.
Content is a kingdom.
Content is the philosopher’s stone, that turns all it touches into gold.

人は、他人にあって自分にないものを意識する時、何かが自分に欠乏しているような感覚になることがあるでしょう。しかし、自分が求めているものは何であるかをわきまえ、足るを知ることも人生を豊かにする 1つの方策と言えます。

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