「儀式は粛々と行われた」などの言い回しを聞いたことがありますか?日常生活ではあまり使わない言い方ですが、本などでは見かけるかもしれません。
「粛々と」に非常に似ている言葉で「淡々と」という言葉があります。こちらは日常生活でも使うことがあるかもしれません。
この記事では、実は意味の違うこの2つの違いを説明していきます。
結論:ニュアンスの違いがある!
「淡々と」という言葉には、こだわりなく、あっさりとという意味があります。
「粛々と」についてもっと詳しく!
「粛々と」は「しゅくしゅくと」と読みます。
「粛々と」には、大きく分けて意味が3つあります。
1つ目は、「物音を立てず静かに」「目立たずひっそりと」という意味です。
もともと「粛」という漢字には、「つつしむ」という意味があります。それを「粛々」というふうに2回続けることで「つつしんで静かに」という意味を強調しています。
2つ目は「厳かに」「真面目に」という意味です。「厳かに(おごそかに)」という言葉は、漢字を見てわかるように「厳しく律せられている」というイメージですね。
重々しい空気で、礼儀正しく近寄りがたい雰囲気のある場所が想像しやすいと思います。そのような場では、私語や大きな音を立てることはもちろんできませんよね。
また、「真面目」に取り組んでいる時も私語をする人はいないと思います。このような部分が1つ目の「静かな」というイメージにつながっています。
3つ目は、「強い意志を持って行う」「最後までやり遂げる」という意味です。苦しい状況に耐えて真面目に取り組むという意味があります。
3つの意味全てに、問題に真剣に取り組んでいる様子が共通しているとおもいます。
「粛々と」の使い方の例
- 儀式は粛々と進行した。
- 今回の問題については粛々と進めさせていただきます。
「淡々と」についてもっと詳しく!
「淡々と」は「たんたんと」と読みます。
「淡々と」という言葉には「色、味などが淡泊な様子」「態度や行動があっさりしていてこだわりがない様子」「水が静かにたゆたう様子」という3つの意味があります。
「淡」は「淡い(あわい)」という言葉で使われていることからわかるように、色や行動が淡泊であっさりしているという意味のある漢字です。
今回取り上げる「淡々と」という言葉は、人の行動や態度の様子についてなので、2番目の「態度や行動があっさりしていてこだわりがない様子」という意味です。
この意味も、細かく分けるとさらに3つの意味にわかれます。
1つ目は、態度があっさりしているという意味です。声を荒げたりせず、感情の起伏を見せない平坦な話し方をする。冷静である。そんな様子を表した形容詞です。
2つ目は、こだわりがない様子という意味です。物事に対する感情が薄いということは、こだわりがないという意味につながります。「淡々と仕事をする」という文章からは、感情をこめずにひたすらに作業をこなしているというイメージがつきますよね。
3つめは、強い意志がないという意味です。「意思が薄い」という意味から「強い意志がない」という意味につながります。「粛々と」に「強い意志を持って行う」という意味があったことを考えると、決定的な違いですね。
「淡々と」の使い方の例
- 彼女の話し方は、どんな状況でも淡々としている。
- ひどい事故の後なのに、彼は淡々と仕事をこなしている。
「粛々と」と「淡々と」の使い方の違い
ここまでで述べたように「淡々と」と「粛々と」にはニュアンスの違いがいくつもありました。では、実際にこの2つの使う場面を考えましょう。
2つとも静かに物事に取り組む様子を表す言葉ですが、「粛々と」は「真剣に」という意味、「淡々と」は「こだわりなく」という意味でしたね。
つまり、事件の捜査や、重要な仕事などを行うときに「淡々と」を使うのは不適切です。なんの心意気もなく取り組むような印象を与えてしまいます。そのような場面では「粛々と」を使うべきでしょう。
まとめ
以上、この記事では「粛々と」と「淡々と」の違いを説明しました。
- 粛々と:真剣に物事に取り組む様子を表します。
- 淡々と:こだわりなく物事に取り組む様子を表します。
どちらも本やニュースなどでよく耳にする重要な単語です。
似たような意味だと思いがちですが与える印象が全く違います。不適切な使い方をしないように気を付けましょう。