心理学用語「単純接触効果」とは?意味と具体例をわかりやすく解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、心理学用語の「単純接触効果(たんじゅんせっしょくこうか)」です。

言葉の意味・具体例・提唱者・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「単純接触効果」をざっくり言うと……

読み方単純接触効果(たんじゅんせっしょくこうか)
意味高頻度で接触するほど、その対象に好意を持ちやすくなる効果
提唱者ロバート・ボレスワフ・ザイアンス
英語訳Mere exposure effect(単に触れる効果)

「単純接触効果」の意味をスッキリ理解!

単純接触効果(たんじゅんせっしょくこうか):高頻度で接触するほど、その対象に好意を持ちやすくなる効果

「単純接触効果」の意味を詳しく

「単純接触効果」とは、何度も見たり聞いたりすることで、その対象となる人やものにいい印象を持ちやすくなる現象のことです。

この効果が起こる理由のもっとも有力な説として、「接触する回数を重ねるうちに、相手を認識したときに送られる刺激に脳が慣れ、情報の処理の速度が速くなる」というものがあります。

ただし、ただ接触する回数が多ければよいのではなく、1度接触してから次に接触するまでの時間が短いという条件も必要になります。

また、「相手のネガティブな中身に触れた」という場合には逆効果となる場合があります。「態度が悪い」「対象の人やものについて相手がネガティブな情報を持っている」などといった場合には注意が必要です。

「単純接触効果」の具体例

「単純接触効果」は、主に恋愛関係やビジネスシーンで使われる言葉です。

人間関係における「単純接触効果」とは、「会えば会うほど自分に対する相手の印象がよくなる」ということです。好きな相手や交渉先の相手の印象をよくしようという場面では、「単純接触効果」を用いることが効果的であるといえます。

 

たとえば、会ったばかりの頃は何とも思っていなかった相手でも、よく姿を見かけるようになったり何度も話すようになったりするうちに、だんだんと惹かれてしまうということが起こります。

これには単純接触効果が作用しており、意図的に相手との接触頻度と回数を増やすことで、同じ効果を得られる場合もあります。

また、商談や商品の広告においても同じ効果が期待できます。

たった1回であれば、どんなに長い時間をかけて相手を説得したとしても「単純接触効果」による恩恵は受けられません。むしろ、1回1回は短い時間であったっとしても、複数回に分けて何度もアピールした方がいい効果を期待できるのです。

 

「テレビコマーシャルなどで無意識に見ているうちに、だんだんとその商品が気になってしまう」ということもよくあることです。このように、「単純接触効果」は身近な場面でかなり多く作用しているのです。

「単純接触効果」の提唱者

「単純接触効果」の提唱者は、アメリカの心理学者ロバート・ボレスワフ・ザイアンスです。「ザイアンス」は「ザイオンス」とも表記され、彼の名前から、「単純接触効果」は「ザイオンス効果」とも呼ばれます。

 

彼は1968年に”Attitudinal Effects of Mere Exposure”というタイトルの論文を発表しました。

彼の行った実験では、12人分の顔写真を用いて、被験者である大学生に対しそれぞれの写真を1回から25回の異なる回数分提示するという操作が行われました。

すべて見せ終わった後に12枚の写真をならべ、もっともいい印象を持った顔を選んでもらいます。すると、25回見た顔がよく選択される傾向がありました。

 

また、顔写真に限らず、特に意味を持たない単語や、漢字に似せた図形を見せた場合にも同様の結果が得られています。

このことから、「単純接触効果」は人物に対してだけではなく、ものに対しても効果があることがわかっています。

一方で、凶悪な犯罪者の顔写真や、ネガティブな意味を持つ単語で同様の実験を行った際には、「単純接触効果」がネガティブな印象を強めるという結果も出ています。

「単純接触効果」の英語訳

単純接触効果を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • Mere exposure effect
    (単に触れる効果)

「単純接触効果」が提唱された論文のタイトルは、”Attitudinal Effects of Mere Exposure”です。

そのため、「単純接触効果」自体を表す言葉として、英語では”Mere exposure effect”が定着しています。また、”mere”と”exposure”の間にハイフンを入れ、”Mere-exposure effect”とする場合もあります。

“Mere exposure effect”は、それ自体で「単純接触効果」と名付けられた性質そのものを表すため、冠詞には”the”を使うのが適切です。

まとめ

以上、この記事では「単純接触効果」について解説しました。

読み方単純接触効果(たんじゅんせっしょくこうか)
意味高頻度で接触するほど、その対象に好意を持ちやすくなる効果
提唱者ロバート・ボレスワフ・ザイアンス
英語訳Mere exposure effect(単に触れる効果)

意図的に利用することも、無意識のうちにその作用にはまってしまうことも多いのが「単純接触効果」です。

この効果とうまく付き合って、いい人間関係を築いていきたいものですね。