「卓越」と「超越」の違いとは?意味から使い方の例まで解説

違いのギモン

ソクラテス、レオナルド・ダ・ヴィンチ、アインシュタイン、スティーブジョブズ、太宰治など、世界の偉人といえば、挙げるときりがありません。

人類の歴史に名を遺した人々は、ある側面でとても秀でた才能を持っていました。そして、時には「奇人」と呼ばれるほど、一般的な基準から外れていたとも言われます。

そこで、今回はこのような人々を表す「卓越」と「超越」の違いについて詳しく解説します。

結論:卓越は他より優れていること、超越は普通の枠をこえること

  • 卓越他よりはるかに優れていること
  • 超越普通に考えられる程度や枠をはるかにこえていること

「卓越」ってなに?


卓越とは、「他よりはるかに優れていること」です。卓越の「卓」は、「他をぬいて、すぐれている」「他より高いことや、高く立つ様子」を意味します。

「卓越する」という動詞を、英語では“excel”と言います。

また、名詞では“excellence”“superiority”と言います。

 

「卓」を使った漢字には、以下のものがあります。

  • 卓抜(たくばつ):他よりもはるかに優れていること
  • 卓絶(たくぜつ):他に比べものがないほど優れること、ひときわ目立って優れていること
  • 卓立(たくりつ):他よりひときわ高く立つこと、目立って優れていること
  • 卓然(たくぜん):ひときわ目立つ様子、際立って優れている様子
  • 食卓(しょくたく):食事用の高い台のこと

「卓越」の使い方の例

  1. Aさんの勉強に対する卓越の程度は、僕がスポーツが得意なのとは比にならない。
  2. 彼の作文能力はクラスの中で卓越している。
  3. 新幹線を作る日本の技術は、他の国に卓越している。
①の例文では、Aさんが勉強が得意な度合いと、自分がスポーツが得意な度合いを比べて、Aさんの方が勝っているということです。

②の例文では、彼の作文能力がクラスの中の他の生徒よりもはるかに優れていることがわかります。

③の例文では、日本の技術が他の国の技術に差をつけて優れていることを表現しています。

「超越」ってなに?

超越とは、「普通に考えられる程度をはるかにこえていること」または「ある限界や枠をはるかにこえていること」を意味します。

卓越と同様に、「他よりもはるかに優れている」という意味で使われることもあります

超越の「超」には、「ある限度を過ぎる」「他とかけ離れて優れる」という意味があります。

 

また、「超越する」という動詞は英語で“transcend”と言います。名詞では“transcendence”と言います。

「超」を使った漢字には、以下のものがあります。

  • 超過:数量や時間などが、決められた枠を越えること
  • 超然:(世俗的な)物事にこだわらず、そこから抜け出ている様子
  • 超絶:とびぬけて優れていること
  • 超人的:並外れた能力を持っている様子

「超越」の使い方の例

  1. 戦前、日本では、天皇は法律を超越した存在だと考えられていた。
  2. 私は、自分の犬と、人間と動物という関係を超越した信頼関係を築いた。
  3. レオナルド・ダ・ヴィンチは、超越した考えをもっていたことから、裁判にかけられた。

①の例文では、天皇は法律で規律される枠の中におさまらないと考えられていたことがわかります。

②の例文では、人間と動物という枠を超えた関係だということです。

③の例文では、レオナルド・ダ・ヴィンチが、当時の普通の人が考えられないような発想をしたことがわかります。

まとめ

以上、この記事では、「卓越」と「超越」の違いについて解説しました。

  • 卓越:他よりはるかに優れていること
  • 超越:普通に考えられる程度や枠をはるかにこえていること

当時、レオナルド・ダ・ヴィンチは、普通の人が考えないような奇抜なことを考えつく人とされましたが、現代では、彼が「超越」かつ「卓越」した人間(普通の枠を超えた考えを持ち、当時の他の人よりはるかに優れた考えを持っていた人)だと認識されていますね。

「他より優れている」という意味では、どちらも正しいですが、「普通の枠を超えている」という意味では、「超越」を使うと確実です。