ご飯を「たく」、お風呂を「たく」というように、日常生活で「たく」という言葉はよく使われています。
それぞれを漢字で書くと、どうなるでしょうか。ご飯は「炊く」と書きますが、お風呂はわかりますか?
実は、お風呂には、「焚く」という少し難しい字を使います。同じ読みでも「炊く」と「焚く」と 2 通りの漢字があるのです。それぞれの違いは何でしょうか。
結論:食べ物は「炊く」、燃料は「焚く」
一方、「焚く」は、主に熱を利用するために、燃料を燃やすときに使います。
食べ物と燃料という、全く異なる 2 つのものに同じ「たく」と読む言葉が使われているのです。
「炊く」をもっと詳しく
「炊く」は、主に米を調理する場合に使う言葉です。なお、西日本を中心に、野菜や豆などを煮る場合にも使います。
米も野菜も豆も、水と一緒に調理するという共通点があります。また、水には味つけはあまりしないのも共通しています。
「炊く」という漢字があてられている「たく」は、「焚く」と語源が同じです。
昔は、米や野菜はかまどの火を使って調理していたので同じように使われていたのでしょう。
「焚く」をもっと詳しく
「焚く」は、燃料を燃やすときに使う言葉です。主に、燃やした熱や煙などを利用するときに使います。
- 燃料を燃やす。また、火にくべて燃やす。「石炭を―・く」「落ち葉を―・く」
- 火を燃やして湯をわかす。「風呂を―・く」
- (「炷く」「薫く」とも書く)火をつけて香をくゆらす。「線香を―・く」
- 写真撮影でストロボを発光させる。「フラッシュを―・く」
[出典:https://dictionary.goo.ne.jp/jn/]
①と②は、燃料を燃やすという意味で共通していますよね。お風呂については、水が温められることに注目して「沸かす」と言うことの方が多いかもしれません。かまどで薪(まき)を「焚いて」お風呂を用意した時代の名残でしょう。
「焚」という字を使った言葉として、「焚書(ふんしょ)」があります。思想の弾圧のために本を焼いて処分することを指します。
焚書は、古代中国で秦の始皇帝が行ったことで知られています。自分を批判する思想家が出ることをおそれて大量の本を焼いたのです。文字通り「本を燃やす」焚書は、ナチス・ドイツなどでも行われました。
③は、熱よりも煙を利用するために燃料に火をつけている例です。「炷(た)く」という異なる漢字が出てきました。お香に使われることが多い漢字です。「一炷(いっしゅ / いっちゅう)」は、座禅の時間の単位です。線香が一本燃え尽きるまでの約 40 分間を指します。
まとめ
以上、この記事では、「炊く」「焚く」の違いについて解説しました。
- 炊く:水と一緒に食べ物(主に米)を加熱・調理すること
- 焚く:燃料を燃やすこと