今回ご紹介する言葉は、故事成語の「威ありて猛からず(いありてたけからず)」です。
意味や使い方、由来、対義語、英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「威ありて猛からず」をざっくり言うと……
読み方 | 威ありて猛からず(いありてたけからず) |
---|---|
意味 | 威厳あるが、荒々しくない、君子の理想的な人柄のこと |
由来 | 『論語』の中で、弟子が孔子を評した言葉から |
対義語 | 威をふるう |
英語訳 | being dignified, and moreover warm as such one is gentle (威厳があり、その上紳士的な温かみもある) |
このページの目次
「威ありて猛からず」の意味をスッキリ理解!
「威ありて猛からず」の意味を詳しく
「威ありて猛からず」とは、「威厳があり、しかし荒々しくはない人柄」のことを指します。
そして、このような人柄は、君子としての理想的な人柄であるとされています。
「威」は漢字の通り「威厳」という意味です。
「猛」は、「荒々しく激しいこと」「強いこと」という意味です。
「猛獣(もうじゅう)」や「獰猛(どうもう)」などの熟語を思い浮かべるとイメージしやすいでしょう。
ただし、これの熟語をイメージしすぎて、「猛からず」を「もうからず」と読まないように注意しましょう。
「猛からず」は「たけからず」と読みます。
「威厳がある」ことと「荒々しい」ことは一緒くたにされがちです。
しかし、「威厳があること」と「怖がられていること」は同じではないのです。
この言葉は「威厳があるが、温厚で荒々しくない」という人柄を表しています。
「威ありて猛からず」の使い方
- 彼が尊敬されているのは、彼が威ありて猛からずだからだろう。
- 社長は部下に注意はするが、怒鳴らない。まさに威ありて猛からずだ。
- 威ありて猛からずが、統治者には必要不可欠だ。
「威ありて猛からず」の由来
「威ありて猛からず」の出典は、『論語』です。
孔子の弟子が、孔子のことを評した次の言葉がもとになっています。
「子、温而厲。威而不猛。」
日本語訳すると以下のようになります。
「孔子はおだやかである。しかし、そのおだやかさの中にもひきしまったところがある。
自然の威厳があるが、武張ったたけだけしいところはない」
このような人格は、のちに中国で「君主としての理想的な人格」とされてきました。
「威ありて猛からず」の対義語
「威ありて猛からず」には以下のような対義語があります。
- 威をふるう:脅威を示す
「威をふるう」は、「威ありて猛からず」の「威ありて」の部分だけの意味です。
持っている威厳を振り回して周りを怖がらせているようなイメージです。
「猛からず」の部分と正反対なのがわかります。
「威ありて猛からず」の英語訳
「威ありて猛からず」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- dignified without being overbearing
(威厳はあるが、威圧的すぎないこと) - being dignified, and moreover warm as such one is gentle
(威厳があり、その上紳士的な温かみもあること)
まとめ
以上、この記事では「威ありて猛からず」について解説しました。
読み方 | 威ありて猛からず(いありてたけからず) |
---|---|
意味 | 威厳あるが、荒々しくない、君子の理想的な人柄のこと |
由来 | 『論語』の中で、弟子が孔子を評した言葉から |
対義語 | 威をふるう |
英語訳 | being dignified, and moreover warm as such one is gentle (威厳があり、その上紳士的な温かみもある) |
「威ありて猛からず」は少し古い言葉遣いなので、日常生活の中で使う機会はそれほど多くないでしょう。
しかし、その由来や詳しい意味を知ると、学ぶことが多くあります。
君主だけでなく、理想の上司にも必要な性格かもしれません。
ぜひ「威ありて猛からず」を目指してください。