「退職」と「退社」の違いとは?履歴書ではどう書く?アルバイトの場合も

違いのギモン

退職と退社は「業務を終え、会社を出ること」という意味があるかどうかが異なります。

退職の場合には「勤めていた会社を辞めること」という意味しかありませんが、退社の場合にはこの意味に加えて「業務を終え、会社を出た」という意味が加わるのです。

退職と退社はどちらもよく使う表現ですので、正確に使い分けていきたいと考えている人が多いのではないでしょうか。

そこで、この記事では退職と退社の違いについて詳しく解説しています。

「退職」と「退社」の違い

  • 退職
    業務を終えて会社を出ること、という意味がない
  • 退社
    業務を終えて会社を出ること、という意味がある

退職と退社は「勤めていた会社を辞めること」という意味が共通しています。

退職はこの意味だけなのですが、退社には「業務を終えて会社を出ること」という意味もあるのです。

紛らわしいため、退社を「勤めていた会社を辞めること」の意味で用いるのは避けたほうが無難です。

「退職」の意味

退職たいしょく

勤めていた組織を辞めること

例:Aは先月末をもって退職しました。

退職は勤務していた「職(職場)」から退くことを表します。

「退職」の使い方

この見出しでは、退職の使い方について、電話、対面、書面の場合別に見ていきましょう。

電話での使い方
  1. 申し訳ありません。係長の久保田は先月末をもって退職しました。
  2. あいにくですが、佐藤は6月末をもって退職しました。
履歴書での使い方
  • 2015年3月 株式会社田中商事 退職
  • 2017年9月 陸上自衛隊を退職
対面で話す時の使い方
  1. 竹中さんは先月退職しました。
  2. 今月末をもって退職させていただきます。大変お世話になりました。

「退職」の英語訳

退職は英語では以下のように表現します。

  • retirement
    (退職)

「退社」の意味

退社たいしゃ

  1. 勤めていた会社を辞めること
    例:今月末をもって退社させていただきたいです。
  2. 業務を終え、会社を出ること
    例:本日は退社させていただきます。

退社には2つの意味があります。

紛らわしいため、「勤めていた会社を辞めること」の意味で使うのは避けたほうが良いでしょう。

「退社」の使い方

ここでは、退社の使い方について、電話、対面の3つの場面に分けて詳しく見ていきましょう。

電話での使い方
  1. 申し訳ありません。係長の久保田は本日すでに退社しております。
  2. あいにくですが、担当者は6月末をもって退社しました。

②の例文では「勤めていた会社を辞めること」の意味で使われています。

紛らわしいことがわかるのではないでしょうか。

履歴書での使い方
  • 2013年4月 株式会社鈴木製作所 退社

ちなみに、公務員の場合、履歴書で退社を使うことはほとんどないです。

退社は「会社から退く」という意味ですが、公務員が勤めているのは会社ではないからです。

対面で話す時の使い方
  1. 本日は退社させていただきます。お疲れさまです。
  2. 佐藤はもう退社しましたので、明日またいらっしゃってください。

「退社」の英語訳

退社は英語では以下のように表現します。

  • leaving office
    (会社を辞めること)
  • leaving the office
    (業務を終え、会社を出ること)

履歴書に書くのは「退社」? 「退職」?

上でも述べたとおり、履歴書に書くのであれば、基本的には退職がおすすめです。

退社は「業務を終え、会社を出ること」という意味もあり、紛らわしいからです。

しかし、詳しい事情は場合によって異なりますので、下でそれぞれ詳しく見ていきましょう。

アルバイトの場合

そもそも、基本的にアルバイトの経歴を書く必要はありません。

しかし、書く必要がある場合には、退職と書くのが無難です。

派遣の場合

派遣の経歴の場合も、基本的には退職と記載すれば問題ありません。

ちなみに、退職理由は「一身上の都合」もしくは「契約期間の満了」と記載すれば問題ありません。

正社員の場合

正社員の場合も履歴書には退職と書くと良いでしょう。

退職理由は基本的には「一身上の都合」で問題ありません。

ちなみに、以下のように業界によって特有の表現が用いられる場合もあります。

  • 銀行の場合
    「退行」を用いる
  • 信用金庫の場合
    「退庫」を用いる

「退職」「退社」と似た言葉

退職や退社と似た言葉としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 離職
    仕事から距離を置いたり、離れたりすること
  • 辞職
    勤めている職を自ら辞めること
  • 帰社
    外出先から会社に戻ること
  • 直帰
    出先から会社に戻らず直接帰宅すること
  • 退勤
    勤務が終わり、帰宅すること

それぞれの意味について詳しく見ていきましょう。

「離職」の意味

離職りしょく

仕事から距離を置いたり、離れたりすること

例:最近は離職者が急増している。

離職のニュアンスや退職と退社と似ています。

しかし、ある会社を辞めることにとどまらず、仕事自体から離れている時にも用いられます。

たとえば、仕事を辞めて大学に通うのであれば離職と言えます。

「辞職」の意味

辞職じしょく

勤めている職を自ら辞めること

例:ついに社長が辞職した。

辞職は退職や退社と異なり、一般の社員が用いることは少ないです。

役員や社長、大臣など、職位が高い人が用いる表現です。

「帰社」の意味

帰社きしゃ

外出先から会社に戻ること

例:1時間後に帰社します。

帰社は会社に戻る時に用いられる表現です。

会社から離れる時には用いません。

「直帰」の意味

直帰ちょっき

出先から会社に戻らず直接帰宅すること

例:本日は直帰します。

直帰は会社から離れる時に用いますが、会社は経由しないのが特徴です。

「退勤」の意味

退勤たいきん

勤務が終わり、帰宅すること

例:本日は退勤します。

退勤は退社と似た表現です。

ただ、退勤には「勤めていた会社を辞めること」という意味はありません。

「退職」と「退社」の違いのまとめ

以上、この記事では、退職と退社の違いについて解説しました。

  • 退職
    業務を終えて会社を出ること、という意味がない
  • 退社
    業務を終えて会社を出ること、という意味がある

退職と退社はビジネスではよく出現する表現です。

間違えないように使い分けていきたいですね。

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和佐 崇史
文章を書くこと、読むことが大好きな大学生です。中学2年生で漢検2級を取得するなど、言葉については詳しい自信があります。Webライターとしてはこれまで累計1,000記事以上を執筆してきました。