「花嫁修業」や「修行僧」など、日常生活の中で耳にすることの多い「修行」と「修業」ですが、これら2つの言葉をきちんと使い分けられているでしょうか。似ているようで、実は明確な違いがあるのです。
この記事では、「修行」と「修業」の違いについて解説します。
結論:何を目指すかが違う
「修行」をもっと詳しく
「修行」という言葉には、主に2つの意味があります。
- 悟りを得るために仏の教えを実践してみること。
- 学問や武芸などを磨き、努力すること。
「修行」という言葉はもともと仏教の言葉で、「精神を鍛えること」に重点が置かれています。上記の2つの意味の背景には、精神を磨き、強靭(きょうじん)なものにするという目的があります。
ちなみに、①の意味にある「仏の教えを実践する」ことには、巡礼や托鉢(たくはつ)も含まれます。巡礼とは宗教的な聖地や聖域を訪れ、聖なるものに少しでも近づこうとする行為です。一方、托鉢とは、修行を行なっている僧が鉢を持って街を歩き人々から施しを受けることを言います。
「修行」の使い方
「修行」の使い方の例として、以下のようなものが挙げられます。
- 社会での生活に疲れ、出家して修行僧となった。
- 精神を鍛えるため、剣道修行を行なっている。
- かの宮本武蔵が武者修行を行なった場所を見学する。
仏教や精神の鍛錬に関係するものに対しては、このように「修行」が用いられます。
「修業」をもっと詳しく
一方、同じ読み方をする「修業」は、「学問や技芸など、何か特定の技術を身につけるために努力すること」を指します。料理にしろ語学にしろ、習得を目指して努力をするのであれば、それは「修業」です。
「修行」が仏教の教えや鍛錬を通して精神を鍛えることに重点が置かれているのに対して、「修業」はより世俗的で、特定のスキルを身につけることに重点が置かれている点に注意しましょう。
「修業」の使い方
「修業」という言葉には、以下のような使い方があります。
- 花嫁修業のために、母親から家事のコツを教わる。
- 3年間フランスで料理の修業を行い、今年自分の店をオープンさせた。
- 剣道の奥義を身につけるために、厳しい修業を行う。
どの例文も、「何かを身につけること」に重点が置かれています。
武道やスポーツなどに対して用いる時は、「精神を鍛える」ためにそれを行っているのであれば「修行」が用いられます。一方、「何かの技術を身につける」ために行っているのであれば「修業」が用いられます。
目的によって使い分けるようにしましょう。
まとめ
以上、この記事では、「修行」と「修業」の違いについて解説しました。
- 修行:仏の教えの実践や武道などを通して精神を鍛えること。
- 修業:特定の技術を身につけるために努力をすること。
「修行」と「修業」という言葉は日常よく目にしますが、きちんと使い分けられている人はあまりいません。状況に応じて正しい言葉を使い分けられるようにしましょう。