今回ご紹介する言葉は、熟語の「異存(いぞん)」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「異存」をざっくり言うと……
読み方 | 異存(いぞん) |
---|---|
意味 | 反対の意見・他の人とは違った考え |
語源 | 「異」の「異なる、別の」、「存」の「思う、考える」という意味から |
類義語 | 異議、異論、異見など |
英語訳 | objection(異議、異存) |
「異存」の意味をスッキリ理解!
「異存」の意味を詳しく
「異存」は、「反対の意見」「他の人とは違った考え」を意味する熟語です。既にでている意見に納得しきれない部分があったり、異なる考えがあったりすることを表します。
ひんぱんに使用するのが、「異存はない」という表現です。自分に反対意見がなく、相手の意見に賛成であることを表します。「同意する」「承諾する」と似た意味です。
一方、他人の意見に対し、納得・承諾できない時には、「異存がある」といいます。
ビジネスシーンでは、「異存はございません」という丁寧語を用いることもあります。これは、「異存はない」を丁寧にした表現です。
重要な取引先とのメールなどでは、「異存はない」よりも「異存はございません」と書いた方が無難です。「承知いたしました」「さしつかえございません」と近い意味です。
「異存」の使い方
- 格差をなくしたいという想いは共通しているが、所得税をあげることについては異存がある。
- 今の意見に関して、なにか異存がある方はいらっしゃいますか?
- 異存がないようなので、次の議題に進みます。
上記の例文のように、「ある」「ない」どちらかの言葉と組み合わせて使用されることが多いです。
➀の例文では、所得税をあげることに反対であることを、「異存がある」と表現しています。
➁➂の例文では、「反対意見」「違った考え」という意味で、「異存」を使っています。「異議」「異論」という表現と置き換えることもできます。
「異存」の語源
「異」という字には、「異なる、別の」という意味があります。一方、「存」という字には、「ある、いる」「思う、考える」という意味があります。
それぞれの意味合いが重なり、「異存」が反対意見・他の人とは違った考えを表すようになりました。
「異存」の類義語
「異存」には以下のような類義語があります。
- 異議:反対意見
- 異論:他と異なる意見
- 異見:他の人とは違った考え
- 不同意:同意しないこと
「異論」は、「他と対立する意見」というよりも、「違った意見、別の意見」という意味合いが強いです。
「異存」「異議」は、ある意見に対する反対・不服の意見を表すことが多いです。
「異論」は、以下のような文章で使うことができます。
- この学説には、いろいろな異論がある。
「異存」の英語訳
「異存」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- objection
(異議、異存) - opposite view
(反対論) - contrary opinion
(反対意見)
“have an objection” で「異存がある」、 “have no objection” で「異存がない」という意味になります。
“view”には、「視界」「景色」の他に、「意見、考え」という意味があります。
“contrary” “opposite” は、どちらも「正反対の」という意味の形容詞です。
まとめ
以上、この記事では「異存」について解説しました。
読み方 | 異存(いぞん) |
---|---|
意味 | 反対の意見・他の人とは違った考え |
語源 | 「異」の「異なる、別の」、「存」の「思う、考える」という意味から |
類義語 | 異議、異論、異見など |
英語訳 | objection(異議、異存) |
「異存がある」「異存がない」という表現は、会議の場でひんぱんに用いられます。漢字もそれほど難しくないので、なんとなく意味を知っていたという人も多いでしょう。
注意すべきは、「異論」との意味の違いです。「異論」は反対意見というよりも、「別の意見」という意味合いが強いです。
このような類義語も含め、的確に使いこなせるようにしましょう。