今回ご紹介する言葉は、熟語の「逍遥(しょうよう)」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・英語訳について分かりやすく解説します。
☆「逍遥」をざっくり言うと……
読み方 | 逍遥(しょうよう) |
---|---|
意味 | 気ままにぶらぶらと歩きまわること |
語源 | 「逍」「遥」それぞれの漢字がもつ「ぶらつく」という意味から |
類義語 | 散歩、散策、漫歩など |
英語訳 | saunter(ぶらつくこと、散歩) |
「逍遥」の意味をスッキリ理解!
「逍遥」の意味を詳しく
「逍遥」は、気ままにぶらぶらと歩きまわることを意味する熟語です。明確な目的がなく、気分転換のために散歩することを表します。
お金がなく、放浪しているような場面では、使用しません。
明治から昭和にかけて活躍した小説家・坪内逍遥の、ペンネームのもとになっています。坪内逍遥は、文学理論書『小説神髄(しょうせつしんずい)』や戯曲『桐一葉(きりひとは)』などで有名です。
「逍」「遥」の部首は、どちらも「しんにょう」です。しかし、「逍」のしんにょうは点が2つ、「遥」のしんにょうは点が1つなので、注意が必要です。
「逍遥自在」の意味を詳しく
「逍遥自在」は、世間から離れ、自由気ままに楽しむことを意味する四字熟語です。
「自在」は、「心のままであること」を表します。
「逍遥」の使い方
- 彼は暇さえあれば家から抜け出し、逍遥している。
- 彼女と出会ったのは、私が近所の川辺を逍遥していた時のことだった。
- 鷲(わし)になって、蔵の窓から翼をひろげて飛びあがり、心ゆくまで大空を逍遥した。
例文➀➁は、「気ままにぶらぶらする」という意味で、「逍遥」を使用しています。「散歩」と言いかえることができます。
例文➂は、太宰治の短編小説『ロマネスク』から引用した一文です。大空を気ままに飛びまわる様子を、「逍遥」と表現しています。
「逍遥」の語源
「逍」には、「さまよう、あてもなくぶらぶら歩く」という意味があります。また、「遥」にも「はるかに遠い」の他に、「さまよう」という意味があります。
「逍」「遥」それぞれの意味が重なり、「逍遥」が「気ままにぶらぶら歩くこと」を表すようになりました。
ちなみに、「逍遥」は、もともと「逍遙」と表記されていました。
「遙」は、「遥」の旧字体にあたり、意味も発音も同じです。1981年に「遥」が人名用漢字に追加されたことで、辞典において「逍遥」という表記が主要になりました。
人名用漢字とは、常用漢字以外で、子どもの名前に使用できる漢字のことです。なお、2004年には、「遙」も人名用漢字に追加されました。
「逍遥」の類義語
「逍遥」には以下のような類義語があります。
- 散歩:特別な目的もなく、気のむくままに歩くこと
- 散策:特別な目的もなく、ぶらぶらと歩くこと
- 漫歩(まんぽ):あてもなく、ぶらぶらと歩きまわること
- そぞろ歩き:あてもなく、ぶらぶらと歩きまわること
「逍遥」の英語訳
「逍遥」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- saunter
(ぶらつくこと、散歩) - wander
(ぶらぶら歩くこと)
“saunter” は、「ぶらつくこと、散歩」「散歩する」という意味です。前者の意味の場合は名詞、後者の意味の場合は動詞として使います。
名詞として使った場合、 “go for a saunter”で「散歩にでかける」という意味になります。
“wander”は、上記の意味の他、「歩きまわる」「迷子になる」「横道にそれる」といった意味があります。 “wander aimlessly”で、「あてもなく歩きまわる」と訳すことができます。
まとめ
以上、この記事では「逍遥」について解説しました。
読み方 | 逍遥(しょうよう) |
---|---|
意味 | 気ままにぶらぶらと歩きまわること |
語源 | 「逍」「遥」それぞれの漢字がもつ「ぶらつく」という意味から |
類義語 | 散歩、散策、漫歩など |
英語訳 | saunter(ぶらつくこと、散歩) |
日常会話で「逍遥」という言葉を耳にすることは、少ないでしょう。
しかし、有名な小説家・坪内逍遥の、ペンネームのもととなった熟語です。また、ひと昔前の文学作品では、ひんぱんに使用されています。
一般常識として、意味・読み方を正確に覚えておきましょう。