「夕焼け」と「朝焼け」の違いとは?色は違う?写真付きで解説

違いのギモン

「夕焼け」と「朝焼け」をあなたはどれくらい見ることがありますか。昼間に活動している人であれば、「夕焼け」は頻繁に見ていると思います。会社の窓から見ることもあるでしょうし、帰宅途中の電車の中から見えることもあるでしょう。

一方、遠い学校に通学している学生や、仕事が溜まっている社会人の中には、頻繁に「朝焼け」を見ている人もいるでしょう。しかし、大多数の人は、「朝焼け」は初日の出などを見るのみで、多くても1年に1、2回といったところでしょうか。

 

しかし、どれだけ普段から「夕焼け」や「朝焼け」を見てみても、それぞれの違いを改めて考えることは少ないと思います。知っている人は少ないですが、実は「夕焼け」と「焼け」は、方角や時間帯だけでなく、まぶしさも違うんです。

この記事は、「夕焼け」と「朝焼け」の違いについて、詳しくまとめています。気になる人、詳しい違いが分からない人は、ぜひ読んでみてください。

結論:「夕焼け」はぼんやりしている。「朝焼け」は眩しい。

「夕焼け」は比較的赤色が強く、ぼんやりとした輪郭になります。

「朝焼け」は比較的赤色が薄く、地表に届く日光は強めです。

「夕焼け」をもっと詳しく


「夕焼け」とは、西の空に太陽が沈む時、空が赤く染まる自然現象のことです。時間帯は夕方で、厳密な時刻は季節によって変わります。

「夕焼け」を英語では “sunset” や “sunset glow” と表現します。 “glow” には「高温物質からの光、光の反射による輝き」という意味があります。

 

ちなみに、「テキーラ・サンセット」というカクテルがありますが、これはテキーラにレモンジュースとグレナデンシロップを加えたものです。これは名前からも分かるように、「夕焼け」をモチーフにしたカクテルです。

「夕焼け」は、短歌においては夏の季語となります。また「夕焼け」により赤く染まった雲のことを「夕焼け雲」といいます。

 

「夕焼け」で空が赤くなる理由としては、太陽の光の性質が深く関係しています。

光には、波長の違いがあり、波長の違いに応じて色が変化します。光の色を波長が長い順に並べると、次のようになります。

  • 赤色
  • オレンジ色
  • 黄色
  • 緑色
  • 青色
  • 藍色
  • 紫色

光は小さな粒子にぶつかると、散乱します。この現象のことを「レイリー散乱」といいます。

また、光は波長が短いほど、空気中の分子に多くぶつかり、散らばってしまいます。逆に、波長が長いほど、空気中の分子をすり抜け、遠くまで届きます。つまり、上記の色のうち、波長の短い藍色や紫は散らばりやすく、波長の長い赤色やオレンジ色は散らばりにくいといえます。

晴れた日の空が青いのは、上空で青系の色の光が大気中のチリや分子に当たり、散乱しているためです。この時、赤色やオレンジ色の光の多くは、散乱することなくまっすぐ地表に届いています。

 

一方、夕方になると、日中は頭上にあった太陽が西の地平線近くに移動してきます。すると、太陽の光が通り抜ける空気の層の距離は、日中よりも長くなります。そのため、日中は地表に届いていた赤色やオレンジ色の光も、夕方には上空で散乱するようになります。これが「夕焼け」で空が赤くなる理由です。

「朝焼け」の場合も、同様のメカニズムです。日の出の時も太陽が東の地平線にあるため、日中に比べて太陽の光が通り抜る距離が長くなります。そのため、空が赤くなります。

 

しかし、「夕焼け」と「朝焼け」では、空の見え方が異なります。

「夕焼け」の特徴は、比較的眩しさが少なく、濃い赤色であることです。その原因は、上昇気流にあります。

日中は地表に日光が当たり、空気が温められます。空気は暖かいほど上にあがる性質があるので、上昇気流が発生します。そこに地上の水蒸気やチリが乗っかり、舞い上がるため、夕方の空には色々な物質が浮いている状態になります。

 

空気中に水蒸気やチリがあると、光は散乱するため、「夕焼け」は眩しさは少なく、ぼんやりとした輪郭になります。また、赤系の光が大量に散乱するため、鮮やかな赤色になりやすいです。この度合いは、季節によって異なります。

ちなみに「夕暮れ」とは「日が沈む時間帯」のことをいいます。空が赤くなる自然現象のことを指す「夕焼け」とは意味的に異なります。

「朝焼け」をもっと詳しく


「朝焼け」とは、東の空から太陽が昇る時、空が赤く染まる自然現象のことです。時間帯は朝で、厳密な時刻は季節によって変わります。

「夕焼け」と同じく、夏の季語です。また、「朝焼け」を英語では “sunrise” や “sunrise glow” と表現します。 “glow” には「高温物質からの光、光の反射による輝き」という意味があります。

ちなみに、「テキーラ・サンライズ」というカクテルがありますが、これはテキーラにオレンジジュースとグレナデンシロップを加えたものです。鮮やかなオレンジ色をしており、「朝焼け」をイメージさせる見た目になっています。

 

「朝焼け」で空が赤くなる理由も、「夕焼け」と同じです。日の出の時には太陽が東の地平線にあり、光が通り抜ける空気の層の距離が長くなります。すると、日中よりも赤い光が散乱するため、空が赤くなります。

しかし、「朝焼け」は「夕焼け」よりも赤色が薄いことが多いです。また、地表に届く光が強く、光がまぶしく感じます。

 

それは空気中の水蒸気やチリが関係しています。

夜は昼に比べて気温が下がるため、上昇気流は発生しにくいです。そのため、夜のうちに空気中にあった水蒸気やチリは地表に落ちてきます。すると朝の空には、光を散乱させる物質が少ない状態になります。

その結果、朝の光は「夕焼け」の時よりも散乱せず、地表にまっすぐ届きます。それが赤色の薄さや光のまぶしさに繋がります。

「朝焼けは雨、夕焼けは晴れ」は本当?

「朝焼けは雨、夕焼けは晴れ」ということわざがあります。これは「朝焼け」がきれいに見えたときにはその日は雨が降り、「夕焼け」がきれいに見えたときには次の日に雨が降るという意味です。

このことわざは、ある程度は当たりますが、必ずしもそうとはいいきれないです。

 

まず、「朝焼け」後に雨が降るということについて解説します。

上空には、常に「ジェット気流」という風が吹いており、西から東へ空気が流れています。そのため、天気は西から東に向かって変化していくことが多いです。

「朝焼け」が見えるということは、東の空に雲がないということです。逆に言うと、これからの天気を表す西の空の様子は、直接は分かりません。

 

しかし、春と秋には、高気圧(天気が良くなる状態)と低気圧(天気が悪くなる状態)が交互に来ることが多いです。そのため、春と秋においては、東の空の天気が良ければ、西の方角から雨雲が来ている可能性が高いといえます。

そのため、「朝焼け」後に雨が降ることは、春・秋においてはある程度当てはまります。

 

次に、「夕焼け」の次の日が晴れることについて解説します。

「朝焼け」が見えるということは、西の空の天気が良いということです。天気は西から東に向かって変化していくため、「朝焼け」が見えるということは、しばらくは雨が降らないということを意味します。

もちろん雨雲の足が速いこともありますし、春や秋には高気圧の後には低気圧がやってくるため、確実に翌日晴れるとはいえません。しかし、ある程度は当てはまります。

まとめ

以上、この記事では、「夕焼け」と「朝焼け」の違いについて解説しました。

  • 夕焼け:日暮れの時、西の空が赤く染まる現象
  • 朝焼け:日の出の時、東の空が赤く染まる現象

「夕焼け」と「朝焼け」をまったく同じように捉えていた人も多いと思いますが、実はまぶしさや空の色合いなど、相違点はいろいろあります。どちらが綺麗と思うかは人それぞれですが、どちらにも魅力はあります。

学校生活や仕事などで、忙しい日々を過ごしている方も多いでしょう。しかし、ふと一息ついた時に、空を見上げてみると、綺麗な空が広がっているかもしれません。たまには立ち止まって「夕焼け」や「朝焼け」を眺めてみてください。