「起承転結」の意味とは?使い方から英語や類義語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「起承転結」です。

「起承転結」の意味、例、「起承転結」以外の文章構成、使い方、由来、類義語、英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「起承転結」をざっくり言うと……

英語表記起承転結(きしょうてんけつ)
意味文章をわかりやすく、面白くするための構成
由来中国の漢詩の構成
その他の文章構成パラグラフ・ライティング
IMRAT
三幕構成
類義語起承転合
英語訳“introduction,development,twist,and conclusion”
“structure of traditional Japanese narratives”
“Kisyotenketsu”

「起承転結」の意味をスッキリ理解!

起承転結(きしょうてんけつ):文章をわかりやすく、面白くするための構成

「起承転結」の意味を詳しく

「起承転結」とは、文章をわかりやすく、面白くするための構成のことです。

名前の通り、物語や文章を以下のような「起・承・転・結」の順番で進めていく構成の仕方です。

  • :背景や事前情報
  • :本題の導入部分
  • :物語が盛り上がる大きな展開
  • :話の結末

「起承転結」のそれぞれの部分について詳しく見ていきましょう。

「起承転結」の「起」

「起承転結」の「起」は物語や文章の背景や事前情報が語られる部分です。

主人公の人柄や目的が語られます。

ファンタジーの場合は物語の舞台の設定が語られることも多いです。

「起承転結」の「承」

「起承転結」の「承」は本題の導入部分です。事態が動き出して、主人公の周りの状況が変わり始めます。

まず変化のきっかけとなるできごとが描かれます。

そして、きっかけから連鎖して次々と物事が動き出します。

後々重要になってくる「伏線」が張られることが多いです。

「起承転結」の「転」

「起承転結」の「転」では大きな展開があり、物語が大きく盛り上がります。

これまでに張られた伏線が回収され、意外な展開が訪れます。

物語の一番重要な部分であり、この部分を最初に決めて物語を書き始める人が多いです。

「起承転結」の「結」

「起承転結」の「結」では物語の結末が描かれます。

主人公の目的が達成されたり、話にオチがついたりして、物語が終わります。

「起承転結」はビジネスの場面では不適

「起承転結」はビジネスの場面で使うのには適してない文章の構成方法です。

ビジネスでは迅速に意思疎通する必要があるため、結論を最初に述べる必要があります。

「起承転結」で話してしまうと、話の結論が最後まで明らかにならないため、内容の理解に時間がかかってしまいます。

ビジネス場面では結論を最初に述べる「パラグラフ・ライティング」のほうが適しています。

「起承転結」の例

具体的に、簡単なエピソードを挙げて、どの部分が「起承転結」のどれに当たるのかを見ていきましょう。

私は、高校3年生です。4年制大学への進学を目指して勉強しています。
ついに、第一志望の大学の受験日になりました。私は、自宅の最寄り駅から電車に乗って受験会場に向かうことにしました。
しかし、その日は大雪が降っていたため、なんと電車が止まってしまったのです。
焦る気持ちを抑えて、すぐに駅を出て、タクシーを捕まえました。ギリギリでしたが、開始時間に間に合うことができました。

この文章は、短いエピソードのものですが、もちろん映画の脚本や小説のストーリーなどの長文にも当てはめることができます。

その場合、「起承転結」は必ずしも物語を4等分した内容量ではありませんので、注意しましょう。

たとえば、400ページある小説では、「起」の部分が10ページ程度であるのに対して、「転」の部分が200ページほどあることもあり得ます。

「起承転結」以外の文章構成

海外、特に英語圏では「起承転結」は、文章の基本的な構成方法とは考えられていません。

英語圏での基本的な文章や物語の構成は、以下のようなものが基本とされています。

  1. パラグラフ・ライティング
  2. IMRAD
  3. 三幕構成(序破急)

それぞれの構成が使われる場面と、詳しい意味を見ていきましょう。

「パラグラフ・ライティング」の意味

「パラグラフ・ライティング」は、一般的な論理的文章で用いられる文章構成です。

以下のような順番で文章が構成されます。

  1. 序論(Introduction)
  2. 本論(Body)
  3. 結論(Conclusion)

まず「序論」で最初に文章の結論が記されます。

次の「本論」では結論に至った根拠やその具体的な説明などが行われます。

最後に、結論ではここまでの要約が記され、文章の結論が言葉を変えて繰り返されます。

「IMRAD」の意味

「IMRAD(イムラット)」は、「Introduction, Methods, Results And Discussion」の略称です。

その名の通り、文章の骨格を以下の4つで組み立てる文章構成のことです。

  • Introduction:導入
  • Methods:方法
  • Results:結果
  • Discussion:考察

主に実証研究に基づく人文科学系の学問(自然科学、工学、医学、社会科学など)の論文で使われます。

「導入」では研究の目的や前提となる先行研究の紹介などが行われます。

「方法」では研究を行った具体的な方法が記されます。

「結果」では研究結果が示され、「考察」では結果から考えられることについて述べます。

「三幕構成」の意味

「三幕構成」とは、脚本の構成方法のひとつです。

日本に古来からある「序破急」と同じ脚本の構成方法です。

以下の3つの順番で物語を構成するのが「三幕構成」です。

  1. 設定
  2. 対立
  3. 解決

「設定」では物語の前提が描かれ、「対立」で敵との戦いなどが描かれて物語が盛り上がります。

そして、最後に事態が「解決」されて物語が終わります。

それぞれの部分は「ターニングポイント」によって繋げられます。

「ターニングポイント」とは、主人公が行動を起こすことで、ストーリーが異なる方向へ転換するような出来事のことです。

「三幕構成」は、小説やゲーム、テレビドラマなどさまざまな分野にも応用されます。

「起承転結」の使い方

「起承転結」には以下のような使い方があります。

  1. 起承転結を意識しないと、面白い作品は作れないよ。
  2. 君の文章には、起承転結の「転」の部分が足りない。

「起承転結」の由来

起承転結とはもともと、4行から成る漢詩の構成を表していたものです。

1行目から順に「起句」「承句」「転句」「結句」と呼ばれていました。

元の詩人である楊載(ようさい)が書いた『詩法家数』という本が、「起承転結」を初めて唱えた文献であると言われています。

楊載は、漢詩における「起承転結」を次のように定義づけています。

  • :歴史や人物について言及し、さまざまな展開が出来るようにする
  • :突飛な内容は避け、穏健(おんけん)に作るべき
  • :読み手を驚かす変化を入れる
  • :話をまとめて、適宜にフェードアウトする

「起承転結」の類義語

「起承転結」には以下のような類義語があります。

  • 起承転合(きしょうてんごう)

「起承転結」の英語訳

英語にはそもそも「起承転結」という概念がないので、そのまま当てはめられるような英単語はありません。

そのため、以下のように「起承転結」をひとつづつ英語訳する必要があります。

  • :introduction
  • :development
  • :twist
  • :conclusion

もしくは、以下のように「起承転結」という文化・概念を説明することもできます。

  • structure of traditional Japanese narratives
    (日本の物語の伝統的な構造)

また、以下のように日本語の読みをそのままアルファベットにすることもあります。

“Kisyotenketsu”

まとめ

以上、この記事では「起承転結」について解説しました。

英語表記起承転結(きしょうてんけつ)
意味文章をわかりやすく、面白くするための構成
由来中国の漢詩の構成
その他の文章構成パラグラフ・ライティング
IMRAT
三幕構成
類義語起承転合
英語訳“introduction,development,twist,and conclusion”
“structure of traditional Japanese narratives”
“Kisyotenketsu”

「起承転結」は、よく耳にする言葉ですが、細かい定義までは知らなかった人もいるのではないでしょうか。

この機会にしっかりと理解しておきましょう。