「蒸す」と「茹でる」の違いとは?わかりやすく解説

違いのギモン

小籠包や茶わん蒸しなどでおなじみの「蒸す」料理は、しっとりした仕上がりが持ち味ですよね。

一方、おひたしや枝豆などの調理に使われる「茹でる」方法もあります。

それぞれの違いはなんとなくわかるかもしれませんが、味や栄養の点ではどのような違いがあるのでしょうか。

結論:「蒸す」方が栄養素が残りやすい

「茹でる」よりも「蒸す」方が、栄養素が水に溶けださないため、栄養素が残りやすいです

ただし、アクや臭みの強い食材は「蒸す」のには適していません。蒸すのと茹でるのは、食材の種類によって使い分けた方が良さそうです。

「蒸す」のも「茹でる」のも、水を使った加熱です。どちらも材料を水の沸騰温度の 100℃ 程度に保って加熱ができます。

「蒸す」をもっと詳しく


「蒸す」とは、水蒸気を使って材料を加熱する調理方法です

 

蒸すときは、水蒸気が行き渡るように、フタをして加熱します。そのため、調理途中で味つけはできません。焼売(シュウマイ)のように下味をよくつけておくか、蒸し野菜のように蒸しあがった後にタレなどをつけて食べるのが主流です。

蒸すことで湿気が保たれるので、しっとり、ふっくらと仕上がります。しかも、水に溶けやすいビタミンなどの栄養素も残されます。ただし、アクはあまり抜けないので、野菜や白身魚、鶏肉などの調理に向いています。

 

蒸す方法はいくつかあります。主なものを紹介します。

  • 「せいろ」を使う:水を沸騰させた鍋の上に、材料を入れたせいろを重ねてフタをする
  • 皿を使う:鍋に水面より高い台を入れて、その上に材料を置いた皿を載せてフタをする
  • 「地獄蒸し」:自然の蒸気を活かして、専用の釜の中に材料を入れる

「蒸す」以外の調理法にも、蒸すことによるメリットが活かされています。焼くときに「蒸し焼き」にすると、食材のもつ水分が抜けず、ふっくらと仕上がります。

たとえば、おめでたい席で出されるタイの塩釜焼きも、塩でタイを包んでから焼くことで、タイが蒸し焼きにされてふっくらと焼きあがります。

「茹でる」をもっと詳しく

「茹でる」とは、水と一緒に材料を加熱する調理法を言います

煮るのとは異なり、水には基本的に味つけをしない上、茹でた後にさらに調理してから完成する料理がほとんどです。

 

茹でることで、食材に含まれる水分が増えて柔らかくなります。たとえば、そのままでは硬くて食べられない乾麺も、茹でることでデンプンが熱で開くだけではなく、水分を含んでもっちりとします。

また、茹でるとアクや脂、臭みが抜けて食材が食べやすくなります。コンニャクや魚などを「下茹で」するのは、アクや臭みをとるためですよね。

 

しかし、茹でると食材に含まれる成分が水に溶けだしてしまうというデメリットがあります。

ビタミンには水に溶ける水溶性(すいようせい)のものと、油に溶ける脂溶性(しようせい)のものがあります。水溶性ビタミンには、「ビタミン B 群」と「ビタミン C」があります。たとえばホウレンソウはビタミン C が多く含まれているので、おひたしにするために茹でるのはもったいないことなのです。

水溶性の栄養素が溶けださないためには、蒸したり、焼いたりするのが良いでしょう。また、電子レンジを使って加熱すれば、栄養素の流出は抑えられます。とは言え、ホウレンソウはアクが強いので、味と栄養素のどちらを重視するかによって最適な調理法は変わるでしょう。

まとめ

以上、この記事では、「蒸す」と「茹でる」の違いについて解説しました。

  • 蒸す:水蒸気を使って加熱する。栄養素が流出しにくい
  • 茹でる:水で加熱する。アクが抜けやすい
材料によって最適な調理法を使い分けたいですね。