「するめ」と「あたりめ」と「さきいか」の違いとは?ポイントは縁起?

違いのギモン

イカから作られた加工食品はおつまみの定番ですよね。そして、イカの加工食品としては「するめ」や「あたりめ」や「さきいか」などがあげられると思います。ところで、この3つの違いは何なのでしょうか。そう言われると答えられない人も多いと思います。

そこで、今回は「するめ」と「あたりめ」と「さきいか」の違いについて解説していきたいと思います。

結論:するめとあたりめは同じもので、さきいかは製法が違う

まず、するめとあたりめはどちらもイカの内臓を取り除いて干したものであり、同じ製品です。

そして、するめという言葉がお金を「する」などと結び付けられるので、縁起が良くないということで付けられた俗名があたりめです。

また、さきいかは生のイカやするめをあぶり焼きにして裂いたものです。

「するめ」をもっと詳しく

するめとはイカの胴を切り裂いて内臓を取り除いて干したものです。そして、昔は天日干しでつくられていました。しかし、現在では機械で乾燥させている場合が多いです。

そして、スルメイカの原料はスルメイカ、ヤリイカ、ケンサキイカ、コウイカ、シリヤケイカ、アオリイカなどで、中には珍味としてホタルイカを使ったものもあります。そして、これらのイカはそれぞれ漁獲できる時期が違うため、時期によって使いわけられていることが多いようです。

ちなみに、この中でもヤリイカやケンサキイカを使ったものが最高級品で1番スルメと呼ばれ、スルメイカを使ったものは2番スルメと呼ばれます。

そして、コウイカやシリヤケイカなどを用いたものは甲付スルメと呼ばれ、アオリイカやミズイカを使ったものは袋スルメやおたふくスルメと呼ばれています。

また、ホタルイカの場合は小さくて下処理が難しいため、内臓ごとそのままあぶって乾燥させる場合が多いようです。

 

ちなみに、するめはすでに平安時代には生産されていました。そして、するめは昔から縁起物として使われてきました。その証拠に、平安時代当時は儀式や儀礼で用いられていました。

そして、大相撲の土俵には縁起物として埋められています。さらに、現在でもスルメは昆布とともに、結納で納める品の定番です。その場合には、「寿留女」という漢字を当てます。

そして、かめばかむほど味が出ることから、味のあるいい夫婦になってほしいという願いがこめられているようです。

ちなみに、するめが縁起物とされている理由には諸説ありますが、ここでは3つほど紹介します。

まず1つめは結納する際の漢字からもわかるように、女性の健康が続くという理由です。次に2つめは日持ちすることから末長い幸せを表しているのだ、という理由です。

そして、3つめは、昔はお金を「お足」と呼んでいたことから、10本あるイカの足の多さに縁起のよさを感じていた、という理由です。

「あたりめ」をもっと詳しく

あたりめはするめの俗称で、食べ物としては同じものです。

するめの項でも解説したとおり、するめは縁起物ですが、どうしても「する」の部分が「お金をする」、「お金をすられる」などと結びついてしまいます。

ちなみに、「お金をする」とは博打などでお金を使い果たしてしまうことで、「お金をすられる」とは強盗などにお金を奪われてしまうことです。

するめはせっかくの縁起物ですから、名前もめでたいものにしたいですよね。そこで、昔の人は「あたりめ」という別の名前を考えました。ちなみに、この名前は江戸時代中期に生まれました。

これがあたりめの由来です。

「さきいか」をもっと詳しく

さきいかとは生のイカやするめをあぶり焼きにして裂いたものです。ここからもわかるとおり、さきいかは「裂きイカ」なのです。さきいかにはするめよりやわらかいという特徴があります。

ちなみに、その理由は製法に関係しています。さきいかを作る工程の中にいかを押しつぶして伸ばす工程があるのですが、これによりイカの繊維が細かくなるので、やわらかくなるのです。

そして、さきいかはもともとはするめをあぶり焼きにし、それをローラーなどで押しつぶして伸ばし、イカの身を割って、それを裂いて作られていました。

ちなみに、現在でもこの製法で作られているさきいかは存在し、「するめさきいか」と呼ばれています。また、これにはあぶる前に味付けしているタイプもあります。

 

また、最近では生鮮品や冷凍のものなどを加工する技術が発達してきたため、生のイカが使われることも多くなっています。そして、生のイカを使った場合にはやわらかさがアップします。これは「ソフトさきいか」と呼ばれます。

これは名前のとおり、するめさきいかよりやわらかいです。

ちなみに、さきいかにはここまでに解説したもののほかにも2種類あります。

まず1つめは「皮付きさきいか」です。これは生のイカを皮付きのまま加工したさきいかです。これはするめさきいかと比べてやわらかさも増し、皮がついているのでよく味が出て、いいとこ取りと言えるでしょう。

そして2つめは「くんせいさきいか」です。これにはソフトさきいかを燻製(くんせい)にしたものと、イカの燻製を裂くものがあります。

 

そんなさきいかの原料はスルメイカやアカイカなどがあります。しかし、さきいかはどちらかというと原料にはこだわらず、製法にこだわっているところがあります。

まとめ

以上、この記事では、「するめ」と「あたりめ」と「さきいか」の違いについて解説しました。

  • するめ:イカの内臓を取り除いて干したもの
  • あたりめ:するめの俗名
  • さきいか:生のイカやするめをあぶり焼きにして裂いたもの

するめとあたりめとさきいかの違いについて知らなかったことも多いのではないでしょうか。酒のおつまみとしてこれらが出たときに雑学を披露してみるのもいいかもしれません。

ABOUT US

和佐 崇史
文章を書くこと、読むことが大好きな大学生です。中学2年生で漢検2級を取得するなど、言葉については詳しい自信があります。Webライターとしてはこれまで累計1,000記事以上を執筆してきました。