「スペクタクル」の意味とは?使い方から英語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、カタカナ語の「スペクタクル」です。

「スペクタクル」の意味・使い方・語源・現代社会の中の「スペクタクル」について分かりやすく解説します。

☆「スペクタクル」をざっくり言うと……

英語表記スペクタクル(spectacle)
意味強く印象に残る壮大な光景
語源ラテン語のspectaculum
現代社会「スペクタクル社会」では、人々は情報を消費する受動的な観客となる

「スペクタクル」とは?

スペクタクル(spectacle):壮大な光景

「スペクタクル」の意味を詳しく

「スペクタクル」とは、強く印象に残る壮大な光景のことです。

壮大な自然の風景を見ると、強い印象に残ります。このような場面でも「スペクタクル」を使うことができます。しかし、スペクタクルは主に演劇や映画などで使われることが多いです。

 

演劇や映画などで壮大で印象的なシーンと言えば、見せ場のことです。終盤にかけて、ストーリーが大きく変わる場面にスペクタクルが用意されていることが多いでしょう。スペクタクルは、観客の涙をさそい、物語に引き込みます。

演劇や映画などでは、スペクタクルと言えば、大がかりなセットを用いて作られる災害や戦争のシーンが中心です。たとえば、大きな戦争が起こって主人公が家族を失うシーンや、ヒーローが災害から人々を守るシーンなどが考えられます。

スペクタクルとは、あくまでも「印象的で壮大なシーン」を指す言葉です。そのため、火薬の使われている量でそのシーンがスペクタクルかどうかを判断できるわけではありません。

また、印象的で壮大なシーンのある作品自体を「スペクタクル」ということもあります

「スペクタクル」の使い方

  1. 数十億円をかけて撮影された映画では、息をのむようなスペクタクルが楽しめた。
  2. 歌と踊りで天変地異を表現したスペクタクルに圧倒された。
  3. スペクタクルを求めて、人々はメディアがもたらす情報を消費している。

上の例文❶❷のように、スペクタクルは映画や演劇などで使われることが多いです。ただし、❸の例文のように、より一般的な意味で使うこともできます。

「スペクタクル」の語源

「スペクタクル」の語源はラテン語で「劇」や「光景」を意味する “spectaculum” です。

spectは「見る」に関係する言葉で、spectulumは元々「見せられるもの」という意味でした。

現代社会の中の「スペクタクル」

フランスの思想家ギー・ドゥボールは、1967年に『スペクタクルの社会』という本を出版しました。ドゥボールは、現代社会を「スペクタクル社会」ととらえて論じています。

現代社会では、生活のすべてがスペクタクルの中に追いやられてしまっていると考えています。スペクタクルの世界では、すべてが外観だけをとらえた「イメージ」としてやりとりされます。

 

新聞やテレビなどのマス・メディアの発達によって、モノだけでなく情報も消費の対象となりました。スペクタクル社会を生きる人々は、目の前で繰り広げられるさまざまなシーンを見ているだけの受動的な観客です。

スペクタクルの中にすべてが取り込まれてしまうことで、物事のあいだのつながりがわかりづらくなってしまいます。毎日のようにさまざまなニュースを見ていると、つい数日前に起こった出来事でも忘れていることが多いのではないでしょうか。

たとえば、ある国の景気が悪くなっているというニュースを見た1ヵ月後に、その国で暴動が起こったとします。そのときに、「景気が悪いから暴動が起こったのだろう」と考えられるでしょうか。1ヵ月前のことは忘れていて、「やっぱり外国は治安が悪いなあ」と思うだけかもしれません。

 

さらに、スペクタクル社会によって、社会の支配構造も見えなくなっているとドゥボールは考えました。

新聞やテレビなどのマスメディアによる報道は、本当に中立なのでしょうか。

たとえば、政府の新しい政策に対して、市民の意見が賛成と反対で真っ二つに割れていたとします。ところが、賛成派の市民のことばかりが大きくニュースで取り上げられれば、ニュースを見た人は「多くの市民が新しい政策に賛成している」と感じるでしょう。

「新しい政策は、多くの市民が賛成していて素晴らしい」という雰囲気が作られてしまえば、政府が無理やり政策を押し通そうとしていても気づく人は少なくなるでしょう。政府の国を動かす力が、メディアの報道しだいではわかりづらくなってしまうおそれがあります。

まとめ

以上、この記事では「スペクタクル」について解説しました。

英語表記スペクタクル(spectacle)
意味強く印象に残る壮大な光景
語源ラテン語のspectaculum
現代社会「スペクタクル社会」では、人々は情報を消費する受動的な観客となる

演劇や映画などで壮大なシーンを見ると感動し、ストーリーに引き込まれます。スペクタクルという言葉を知っておけば、感動をより共有しやすくなるでしょう。