今回ご紹介する言葉は、熟語の「相対的(そうたいてき)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「相対的」をざっくり言うと……
読み方 | 相対的(そうたいてき) |
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意味 | 物事を他のものと比較対象して成り立たせる様子 |
類義語 | 比較的 |
対義語 | 絶対的 |
英語訳 | relative(相対的な) |
「相対的」の意味をスッキリ理解!
「相対的」の意味を詳しく
「相対的」とは、物事を他のものと比較対象して成り立たせる様子のことです。
たとえば、ひとつの熟したりんごが手元にあるとします。りんごは「赤い」「丸い」といった特徴がある果物です。
りんごを「赤い」とするのは、「赤」という色の要素が周りにある他の物質よりも強いからです。空や草木と比較したとき、熟したりんごは「赤い」ということになります。
また、りんごを「丸い」とするのは、「丸い」という要素が他との比較で強く表れているからです。角ばった他の物質と比較したときに、角がないという特徴から判断されます。
このように、りんごひとつを手に取っても、私たち人間は、他の物質との相対的な比較によって判断をします。
一方、「大きい」「甘い」などという評価もあります。これは、他の「りんご」と呼ばれるものと比較したときの評価です。
この場合も、手元にあるりんごは相対評価をされていると言えます。
同様に、商品の売り上げ個数が多いのか少ないのかを判断するような場面で、「今月の売り上げ」の評価に「先月の売り上げ」との比較を行った場合、それは「相対的」な評価であると言えます。
このように、一つの物質や数値の特徴をとらえようとするとき、他のものとの比較を少しでも行えば、それは「相対的」であるのです。
「相対的」の使い方
- この成績は、相対的には優秀であると言えるだろう。
- 相対的に見ると、彼はやはり協調性に欠ける。
上記の例文のように、「相対的」は成績や人格などを評価する場面で使われます。
①の例文では、成績が優秀であるという評価の条件に、「相対的」と言う言葉が使われています。「相対的には」という表現により、成績が同じ学校内や全国の平均と比較されていると推察できます。
②の例文では、「彼」の「協調性に欠ける」という特性を他者との比較で評価しています。他の協調性に優れた人材と比較していることがわかります。
「相対的」の類義語
相対的には以下のような類義語があります。
- 比較的:他のものや基準と比べて評価される様子
「比較的」は、他のものと比較を行うという意味で「相対的」と近い概念になります。
「比較的」はどちらかというと「AとBの比較」というニュアンスが強いのに対し、「相対的」は「AとBの関係性にもとづいた比較」というニュアンスになります。
また、「比較的」は「Aは比較的よかった」のような、「比較した結果こういう結論を得た」という場面で使われます。一方、「相対的」は「相対的に見ると」など「比較する過程」を表現するのにも使えます。
そのため、「比較的に判断する」などといった言い回しはできないので注意しましょう。
「相対的」の対義語
相対的には以下のような対義語があります。
- 絶対的:他のものと比べられない様子
「相対的」が他のなにかとの比較で成り立つものであるのに対し、「絶対的」は、比較をせずに成り立つものです。
「絶対的な立場」「絶対的に評価する」などという場合があります。
たとえば、王様は「絶対的な立場である」と言えます。基本的には唯一無二の存在であり、他の何者でも変えようがないためです。
また、「絶対的に評価する」という場合には、あらかじめ基準や目標が設定されており、その基準をもとに評価を下すことになります。
テストの点を平均点との差で評価するのが相対的な評価、平均点にかかわらず最初に先生が設けた基準によって評価するのが絶対評価です。
たとえば、平均点が60点で自分の点が70点だったとします。この場合、相対的な評価であれば、基本的には「いい点」となります。
一方、先生が「合格点は80点」と先に設定していた場合、絶対的な評価としては「悪い点」になります。
相対的な評価と絶対的な評価にはそれぞれ良し悪しがあります。どちらかが優れているというわけではなく、状況に応じて使われるのが一般的です。
「相対的」の英語訳
相対的を英語に訳すと、次のような表現になります。
- relative
(相対的な)
まとめ
以上、この記事では「相対的」について解説しました。
読み方 | 相対的(そうたいてき) |
---|---|
意味 | 物事を他のものと比較対象して成り立たせる様子 |
類義語 | 比較的 |
対義語 | 絶対的 |
英語訳 | relative(相対的な) |
「相対的」は意味をつかむまでは難しい言葉ですが、理解してしまえば簡単な概念です。しっかりとイメージをつかめるようにしましょう。