「素麺」と「冷や麦」と「うどん」の違いとは?定義から太さまで解説

違いのギモン

暑い夏に食べたい料理と言えば、よく冷やした「素麺」や「冷や麦」ですよね。

また、「ぶっかけうどん」なども、夏に食べたくなるものです。美味しい冷やし麺は、どれも材料が同じ小麦粉です。「素麺」「冷や麦」「うどん」の違いは何でしょうか。

結論:太さによって呼び名が変わる

「素麺」は麺の太さが 1.3mm 未満、「冷や麦」は 1.3~1.7mm、「うどん」は 1.7mm 以上です

「素麺」「冷や麦」「うどん」のいずれも同じ規格が適用されていて、材料は主に小麦粉、食塩水、油などに定められています。乾麺では、同じ材料で作られた麺を太さによって呼び分けているのです。

ただし、生麺の場合は「素麺」と「冷や麦」の間に太さの違いが定められていません。

 

この記事では、素麺・冷や麦で乾麺が主流のため、乾麺の場合の定義をもとに違いを説明します。

「素麺」をもっと詳しく

「素麺」は、小麦粉と食塩水などを練ったものに油を引いてのばした麺で、太さが 1.3mm 未満のものを指します。

この基準は「干し麺」すべてに適用されていますが、麺を延ばすときに油を使うのは素麺の特徴です。一部で油を使わない製法もありますが、多くの場合では油を生地に塗って伸ばします。

 

素麺といえば「手延べ素麺」という商品をよく目にしますよね。日本農林規格(JAS)に、「手延べ干しめんに関する農林規格」という定義があります。それによると、「手延べ干し麺」の基準は以下のようになっています。

  1. 小麦粉に対する食塩水の配合割合が 45% 以上
  2. 麺を延ばす工程が手作業で行われている
  3. それぞれの工程で一定以上の熟成期間がある

これらの基準を満たした上で、麺の太さが 1.3mm 以下のものが「手延べ素麺」と呼ばれることになります。

 

「手延べ素麺」は西日本で盛んに作られています。有名な産地は、「三輪素麺」(奈良県)「播州素麺」(兵庫県)「島原素麺」(長崎県)あたりでしょう。

奈良県が日本の素麺の発祥の地とされていて、今でも三輪素麺は素麺の中でも特に高級品となっています。

生産量では、佐賀県の「神崎素麺」が日本一で、「島原素麺」が続きます。九州の生産が多いのですね。

全国の素麺料理

素麺の生産が盛んな九州は、実は「流し素麺」発祥の地でもあります。鹿児島県が発祥の地とされていて、戦後に全国に広がりました。

この他にも、全国各地で独自の素麺料理が作られています。

 

宮城県白石市では、「温麺」(うーめん)という短い素麺が作られています。冷やして食べることもありますが、名前の通り温めて食べることが多いです。全国的には素麺を温かいつゆで食べるのは「にゅうめん」と呼ばれますが、素麺と麺の長さが異なっています。

愛媛県などでハレの日に食べられるのが「鯛素麺」です。素麺に鯛の煮つけと錦糸卵などを載せて、煮汁をかけて食べる豪華な料理です。

沖縄県では、「ソーミンチャンプルー」という、素麺を野菜などと一緒に炒めた料理があります。「チャンプルー」とは「混ぜたもの」という意味です。

「冷や麦」をもっと詳しく


[出典:http://www.inosuke.co.jp/SHOP/BD.html]

「冷や麦」は太さが 1.3mm 以上 1.7mm 未満の麺を指します

ただし、手延べ干し麺の場合は、太さ 1.7mm 未満であれば「手延べ素麺」と「手延べ冷や麦」のどちらを名付けてもよいことになっています。素麺と冷や麦の太さの基準は、機械で延ばした場合に適用されるものです。

冷や麦は、どちらかと言えば東日本で盛んに食べられてきた料理です。しかし、全国的に消費量の減少が続いています。冷や麦は素麺よりも太く、コシがあるのが特徴ですが、素麺に人気が負け気味のようです。

 

「冷や麦」の主な産地は、素麺の主な産地とおおむね一致しています。

しかし三重県四日市市の大矢知(おおやち)地区は例外的です。ここだけが手延べ冷や麦の生産量が手延べ素麺の生産量を上回っています。もちろん手延べ素麺の産地でもありますが、手延べ冷や麦の方が有名になっています。

「うどん」をもっと詳しく

「うどん」は太さ1.7mm以上の麺です。太さに上限はないため、様々な太さのうどんが全国にあります。

全国のうどん

うどんは様々な食べ方をされていて、ここではごく一部でしか挙げることができません。

どちらかと言えば西日本の方が盛んに食べられていますが、東日本のうどん料理も多様です。特に関東地方では、米の裏作で作られた小麦を使ったうどんが伝統的に作られてきました。現在でも埼玉県や群馬県は、香川県に次ぐ生産量を誇っています。

 

秋田県の「水沢うどん」や富山県の「氷見うどん」は、冷や麦とあまり変わらない太さの細麺で知られています。なめらかな食感をいかして、冷やして食べるのが一般的です。

群馬県の「水沢うどん」も、やや細めの麺が特徴です。これも冷やして食べるのが主流で、熟成時間が長いためコシがあるのが特徴です。

 

「コシ」と言えば日本一のうどん生産量・消費量を誇る香川県の「讃岐うどん」が思い浮かびます。一方で、「コシのないうどん」を好む地域もあり、三重県の「伊勢うどん」や福岡県の「博多うどん」が知られています。

「伊勢うどん」は伊勢神宮の参拝客に提供したのが始まりで、食べやすいように麺をやわらかく茹でて甘辛い醤油ダレに絡めたものです。

「博多うどん」はアゴ出汁(トビウオ)のつゆに長めに茹でたうどんを入れたものです。丸天(練りもの)やごぼ天(ごぼうの天ぷら)が人気の具です。

「うどん」と「きしめん」の違い

「うどん」同様の太麺として、「きしめん」「ほうとう」などが知られています。これらの違いは何でしょうか。

 

消費者庁では、幅 4.5mm 以上、厚さ 2.0mm 未満のものを「きしめん」「ひらめん」「ひもかわ」と呼んでも良いことになっています。

 

「きしめん」はうどんに比べて濃い食塩水で小麦粉を練ることが特徴で、これによって独特の強いコシが生まれます。東海地方で盛んに食べられている料理です。

ひもかわ」は北関東で食べられている幅広の麺料理で、幅が広いものでは紙のような幅を持つものもあります。

 

ほうとう」は山梨県の郷土料理で、食塩を使わずに作るのが特徴です。平打ちで太めに仕上げ、味噌ベースのつゆで野菜などと一緒に煮込みます。つゆにとろみがつくのは、食塩を入れないため麺からでんぷんが溶けやすくなるためです。

まとめ

以上、この記事では、「素麺」「冷や麦」「うどん」の違いについて解説しました。

  • 素麺:太さが 1.3mm 未満
  • 冷や麦:太さ 1.3mm 以上 1.7mm 未満
  • うどん:太さ 1.7mm 以上
太さによって違いが決められているのですね。太さによってなめらかさやコシの強さが異なってきます。それぞれの違いを楽しみながら味わいたいですね。