「その節は」とは「あの時は」という意味です。
よく「その節はどうも」と言いますが、何を指してるのだろうと気になったこともあるのではないでしょうか。
そこで今回は「その節は」の意味や使い方について簡単にわかりやすく解説します。
「その節は」の意味
あの時は
例:その節はお世話になりました。
「その節は」は「あの時は」という意味です。
「節」は「区切りになるところ」「一定の塊」を指します。
つまり、「特定の一定期間」を指すのが「その節は」です。
たとえば、以前出会った人がよくしてくれた過去があったとします。
そのことについて、感謝を述べたい時に「その節はどうも」と表現できます。
「その節は」の使い方
「その節は」はフォーマルな挨拶などで使用します。
また、過去のことについて使うことが多いです。
実際の例文を見てみましょう。
- その節はお世話になりました。
- その節はありがとうございます。
- その節は忘れません。
- その節はご迷惑をおかけしました。
- その節はお騒がせしました。
- その節はごめんなさい。
- その節は感謝しております。
- その節は生涯記憶に残るでしょう。
- その節はどうもです。
- その節は本当ありがとうね。
会話のやり取りだけではなく、メールのあいさつなどにも使用可能です。
また、電話とメールどちらの場合にも、相手からの印象を柔らかくするクッション言葉として使用します。
ストレートに感謝や謝罪を述べるよりも、該当する話題について触れた上で文頭に「その節は」をつけた方が柔らかくなります。
「その節は」の由来
「その節は」は古語の「其の節」という言葉が由来です。
意味は一緒ですが、漢字が異なっています。
福沢諭吉は1899年、『福翁自伝(ふくおうじでん)』で「私も其節病後の身で有馬の温泉にも行て見た」という記述をしています。
「当時、病気になった後」と言っています。
「その節は」の類義語
「その節は」の類義語には以下のようなものがあります。
- あの時
特定の時 - この時
当時 - その際
(未来における)ある時 - 先般
(過去の)ある時 - その折
(過去・未来の)その時 - その頃
(過去・未来の)特定の時間帯 - この間
少し前 - 先日
前のある日 - 以前
昔
「その節」を使用すると、フォーマルな印象があるので目上の人に対して使用するのにぴったりです。
一方で、友達など仲のいい人に対しては、「あの時」「この間」を使えばよいでしょう。
過去と未来での使い分け
「その節」と類義語を、時制で使い分けると以下のようになります。
単語 | 漠然とした過去 | ある一定の時 | 漠然とした未来 |
---|---|---|---|
その節 | × | ◯(過去のできごと) | × |
あの時 | × | ◯(過去のできごと) | × |
この時 | × | ◯(過去と未来) | × |
その際 | × | ◯(未来のできごと) | × |
先般 | × | ◯(過去のできごと) | × |
その折 | × | ◯(過去と未来) | × |
その頃 | ◯(とある時期前後) | × | ◯(とある時期前後) |
この間 | ◯(最近に近い過去) | × | × |
先日 | × | ◯(過去のできごと) | × |
以前 | ◯ | × | × |
また、「その節は」と「その折は」と「その際は」の使い分けは、大まかに以下のようになっています。
- その節は:過去に使う
- その折は:過去と未来に使う
- その際は:未来に使う
「その節は」の英語訳
「その節は」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- on that occasion
(その時) - at that time
(当時)
英語の場合だと、「当時」というニュアンスが強くなります。
日本語の独特な表現なので、英語での言い回しは変換が難しいです。
「その節は」のまとめ
以上、この記事では「その節は」について解説しました。
読み方 | その節は |
---|---|
意味 | あの時は |
由来 | 古語の「其の節は」 |
類義語 | あの時 この時 その際 など |
英語訳 | on that occasion at that time |
「その節は」を知っていれば、ビジネスなどでもコミュニケーションが円滑に進みます。
謝罪や感謝を述べる時に使うと、印象が向上するかもしれません。
ぜひ、この記事を参考にして意味や使い方を覚えましょう。