「積雪」と「降雪」の違いとは?意味から気象庁の定義まで解説

違いのギモン

「明日は雪が降るよ」と聞いて、あなたはどう思いますか?

雪かきの手間や交通機関のトラブルを心配する人も多いでしょう。一方で、雪があまり降らない地域の人は、雪と聞いてワクワクするかもしれません。

ところで、「積雪」と「降雪」の違いは何でしょうか。「明日は雪が降るよ」と聞いたら、天気予報でどちらに注意するべきなのでしょうか。

結論:積もった分が「降雪」、積もっているのが「積雪」

「降雪」は、ある時間に積もった雪の高さです。一方、「積雪」は、今積もっている雪の高さです。

ある場所で、1時間前に185cm雪が積もっていたところに、1時間で15cm雪が積もったとします。この1時間の降雪量は15cm、現在の積雪は200cmとなるのです。1時間の積雪という言い方はしません

どう測る?「積雪」と「降雪」

「降雪量」と「積雪量」は、主にレーザーや超音波を使って測定しています。ポールの先につけた機械からレーザーや超音波を発し、雪の表面に当たって返ってくるまでの時間を測ります。

直接測れるのは、積雪量だけです。前の時間の積雪量との差を調べることで、降雪量がわかります。

 

「積雪」「降雪」を測るには、自然の状態で積もった雪でなければいけません。踏み固められたり、除雪されたりしてはいけないのです。自然の状態と言っても、風などによって、近い場所でも積雪量・降雪量は変わる場合があります。また、気温が高くなれば雪は融けてしまいます。

雪が融けずに残った状態を「根雪」と言います。気象庁の定義では、30日以上積雪があれば「根雪」としています。根雪が1年間続くと「万年雪」となります。富士山などの高い山には、万年雪が見られることもあります。

日本は積雪量の多い国

世界的に見て、日本は特に積雪量の多い国です。実は、積雪量の世界記録は日本にあるのです。滋賀県の伊吹山(いぶきさん)では、1927年2月14日に1183cmの積雪量を記録しました。この記録はいまだに破られていません。

また、札幌は、世界で一番積雪量が多い大都市です。毎年6mを超える積雪がある大都市は、世界の中で札幌しかないと言われています。

 

なぜ日本はこんなに雪が多く降るのでしょうか。日本よりも北にある国はたくさんありますが、気候の条件によって、日本は特別に雪が多いのです。原因は、2つあります。

  1. シベリアから吹きつける冷たい風
  2. 雲をつくる日本海

日本の上空は、偏西風という西風が吹いています。日本を通る偏西風は、ユーラシア大陸をはるばる横断して来た風なのです。冬は海よりも陸の方が冷えやすくなります。そのため、大陸の上でさんざん冷やされた風が日本にやってきます。

日本とイタリアでは緯度がほぼ同じなのに、冬の冷え込みは日本の方がはるかに厳しいですよね。理由の一つは、偏西風が冷やされることなのです。

さらに、この冷たい風が、日本海でたくさんの水蒸気を吸い込みます。だから、日本海側では冬にたくさん雪が降るのです。

 

日本の多くの地域で、たくさんの雪が降ります。国土交通省が定める「豪雪地帯」は、全国の半分の面積を占めています。山間部では、大雪が降ると道路が通行止めになって、集落が孤立してしまうこともあります。

まとめ

以上、この記事では、「積雪量」「降雪量」の違いについて解説しました。

  • 積雪量:今積もっている雪の深さ
  • 降雪量:ある時間で積もった雪の深さ
天気予報を見るときは、どちらのことを指しているのか注意が必要ですね。