シンギュラリティの意味とは?いつ?2045年に来ないという反論も紹介

言葉

シンギュラリティとは「技術的特異点、転換点」という意味です。

人工知能などの話題でよく使用する単語ですが、どういった意味があるのでしょうか。

そこで今回はシンギュラリティの意味や使い方を丁寧にわかりやすく解説します。

☆「シンギュラリティ」をざっくり言うと……

読み方シンギュラリティ
意味技術的特異点、転換点
語源英語の“singularity”
反対意見学習能力に上限がある人間のように考えられない
進化は途中で止まる など
根拠ムーアの法則
収穫加速の法則 など
プレシンギュラリティの意味シンギュラリティが起こる一歩手前

「シンギュラリティ」の意味

シンギュラリティ
技術的特異点、転換点
例:2045年にはシンギュラリティを迎える。

シンギュラリティとは、「技術的特異点、転換点」です。

特異点は数学・物理用語で、ある基準の下で、その基準が適用できないような状況を表します。

そして、一般的にシンギュラリティは、人工知能(AI)が人の手を借りずに人工知能をグレードアップすることができるようになる時期のことを指します。

簡単に言えば、人工知能が人間よりも賢くなる時期のことで、文明の主役が人類ではなく、人工知能になります。

 

シンギュラリティを迎えると、人類の知能の限界を突破したことになるので、今以上に社会が発展して、第四時産業革命が起こると言われています。

アメリカの物理学者レイ・カーツワイルが2005年に、「2045年に人工知能が人間を追い抜く」と提唱したこともあり、一般的にはシンギュラリティの具体的な時期は2045年と言われています。

ここで重要なのは、2045年に人類が直接関わらずに、人工知能が自らよりよい人工知能を生み出すようになることです。

人類が関わらないということは、人類の常識やモラルなどに縛られないという価値観の転換期でもあります。

ちなみに、人類の常識的なこれまでの価値観から見て、人間より優れている人工知能は2030年ごろには登場するとも言われています。

「シンギュラリティ」はいつ迎える?

シンギュラリティは以下の時期に起こると言われています。

  • 2030年
  • 2045年

学者によって諸説ありますが、一般的な見方としては、およそ2045年にシンギュラリティを迎えると言われています。

「シンギュラリティ」を迎えると何が起こる?

シンギュラリティを迎える時に、人類が直面するのが2045年問題です。

具体的には以下のような問題があります。

  • 仕事がなくなる
  • 人が働かなくなる
  • 今まである常識や倫理が通用しなくなる

順番に解説します。

仕事がなくなる

シンギュラリティ時代には、今ある仕事がなくなると言われています。

人工知能やコンピュータを使って代用できるので、人間が必要なくなります。

たとえば、以下のようなことが起こります。

  • 計算などの事務作業が全てパソコンで可能になる
  • スーパーやコンビニでレジ店員が必要なくなる
  • ものづくりに関わる人手を少なくして効率化をアップする

また、具体的には以下のような職業がなくなると言われています。

  • スポーツの審判
  • レストランの従業員
  • レストランの料理人
  • 電話による販売員
  • 事務員
  • ネイリスト
  • 訪問販売
  • 路上の物売り

一方で、以下のような、クリエイティビティ(創造性)やホスピタビリティ(おもてなし)を重視するような仕事はなくならないと言われています。

  • 栄養士
  • 歯科医師
  • 警察
  • 教師
  • 漫画家
  • ミュージシャン
  • ダンサー

人が働かなくなる

人工知能によって今ある仕事を奪われるので、失業者が急増します。

仕事を失って収入が減るか、生きがいである仕事がなければどうやって生きていけばいいのかわからない人も急増します。

しかし、これには反論もあって産業革命やインターネットが新しい雇用を生み出したように新しい仕事が生まれるのではないかという見方があります。

また、全国民に一律に現金給付を行うベーシックインカムを導入して、シンギュラリティ時代に備えようとする動きも出ています。

今まである常識や倫理が通用しなくなる

人工知能によって、映画やゲームで見たような世界が訪れます。

そうすると、我々人類が今までの常識や倫理で対処できない問題に直面することになります。

たとえば、人工知能による戦争に賛成するのか、人工知能が奨励する遺伝子の組み替えを支持するのかなどです。

社会の効率化や計算上で考えれば正解に近いものであっても、人類の倫理からそれらを許すのかどうかといったことが定まっていません。

「シンギュラリティ」の使い方

シンギュラリティは、ほとんどの場合、人工知能が人類を上回るという文脈で使用します。

実際の例文には以下のようなものがあります。

  1. シンギュラリティを迎えると人々は働く必要がなくなる。
  2. シンギュラリティ時代の働き方を考えよう。
  3. シンギュラリティを迎えると、予期しないことが起こるだろう。
  4. 2045年にシンギュラリティを迎えるだろう。
  5. シンギュラリティ論を提唱する学者と出会う。
  6. シンギュラリティは社会的なテーマだ。
  7. どの国が世界で一番早くシンギュラリティを迎えるのだろう。
  8. 学校でシンギュラリティについて学んでいる。
  9. シンギュラリティは他人事ではない。
  10. シンギュラリティ時代の生活は予測不可能だ。

「シンギュラリティ」の語源

シンギュラリティの語源は英語のsingularity”です。

以下のような意味があります。

  1. たぐいまれなこと、非凡
  2. 風変わり、奇妙(さ)
  3. 風変わりな点
  4. 単独、単一

また、一般的にシンギュラリティという場合は、”technological singularity”(技術的特異点)を指します。

「シンギュラリティ」理論の提唱者

シンギュラリティ理論の提唱者は、アメリカの学者であるレイ・カーツワイル氏です。

彼が2005年に著書『The Singularity Is Near: When Humans Transcend Biology(ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるとき)』で「シンギュラリティの時期が近い」と述べたことで、シンギュラリティが大きな注目を集めるようになりました。

彼は2010年代にコンピュータは小型化する、小型の掃除ロボットが開発されると予測して的中させている人物です。

彼の主張を要約すると、以下の2点です。

  • 2030年代にコンピューターの計算能力が人類の知能の総容量と等しくなる
  • 2045年に1000ドルのコンピューターの計算能力が、人類の脳の100億倍になる

レイ・カーツワイル氏のほかにも以下のような人がシンギュラリティ論を唱えています。

  • ヴァーナー・ヴィンジ
    アメリカ合衆国の数学者、
    「機械が人間の役に立つふりをしなくなること」をシンギュラリティと呼ぶと主張
  • ヒューゴ・デ・ガリス
    オーストラリアのAIの研究者、
    シンギュラリティが21世紀の後半に来ると主張
  • 齊藤元章 (さいとうもとあき)
    日本のスパコン開発者、
    2025年までにシンギュラリティのひとつ前の段階に入ると主張
  • ユルゲン・シュミットフーバー
    ドイツのコンピューター科学者、
    人間の支配する文明社会は数十年のうちに終わると主張

また、研究ではありませんが、イーロン・マスクやビル・ゲイツ、孫正義といった経営者もシンギュラリティが来ることを予測しています。

「シンギュラリティ」の反対意見

学者の中には、以下のようなシンギュラリティが来ないと主張する人もいます。

  • ジェリー・カプラン
    情報工学者
  • マルクス・ガブリエル
    哲学者
  • 兼村厚範(かねむらあつのり)
    研究者

また、代表的な理由には以下のようなものがあります。

  • 人工知能の学習能力に上限がある
  • 人工知能は人間のように考えられない
  • 人工知能の進化は途中で止まる
  • 人間側が人工知能を使って文明を発展させる

順番に解説します。

人工知能の学習能力に上限がある

人工知能は自動的に学習して賢くなりますが、その性能に上限があるのではないかと言われています。

国立情報学研究所が開発した人工知能「東ロボくん」は、東大の入試を5年間受けますが、結局成績は伸びずに不合格になりました。

初めて見る問題に対処できないのが人工知能の問題点です。

人工知能は人間のように考えられない

人間と違って人工知能は感情的に考えられません。

人間は良くも悪くも、感情的になって物事を意思決定することがあります。

人工知能はそうした判断が苦手なので、感情的に考えられない弱点があります。

人工知能の進化は途中で止まる

人工知能はこれまで言われているほど急速に発展しないと言われています。

どこかで進歩の限界がやってくるので、結局人間には追いつけません。

人類がとんとん拍子でタイムマシンを生み出せないのと同じです。

人間側が人工知能を使って文明を発展させる

人工知能は人間に代わって文明の中心となると言われていましたが、逆に人間が人工知能を使って発展すると言われています。

たとえば、人工知能の自動翻訳機能を使って、世界中のコミュニケーションがスムーズに行われることでさらに新しいアイデアが生まれるなどです。

「シンギュラリティ」を迎える根拠

「シンギュラリティが来る」と主張する時に、その根拠として使われるものがあります。

  • ムーアの法則
  • 収穫加速の法則

それぞれ解説します。

ムーアの法則

ムーアの法則は、「半導体の集積密度は、18カ月~24カ月で倍増する」というものです。

半導体メーカーの創設者であるゴードン・ムーア氏が主張していました。

この法則が正しければ、半導体は一定期間で進化するので、それに伴ってコンピュータも進化します。

そのため、人工知能も人類を超えることが簡単に予測できます。

収穫加速の法則

収穫加速の法則は、「イノベーション同士が結びつくことによって、さらに新しいイノベーションが次々と生まれること」です。

つまり、ひとつの分野でイノベーションが起こると、別の分野のイノベーションと結びついてまた新しいアイデアや技術が生まれます。

これが連鎖することで、人工知能も進化が早まり人間を追い抜かすだろうというものです。

「プレシンギュラリティ」の意味

プレシンギュラリティという単語もあって、これはシンギュラリティが起こる一歩手前を表します。

プレシンギュラリティは2030年頃に起こると言われていて、スーパーコンピューター(スパコン)が社会の変化をもたらします。

たとえば、こちらを提唱する齊藤元章(さいとうもとあき)氏によると、スパコンを使って計算を行えば、二酸化炭素からエネルギーを作れます。

他にも、プレシンギュラリティ時代では、以下のようなことが解決します。

  • 食糧生産を効率化して食料不足を解決
  • 衣類生産にかかるコストを低下
  • 高層ビルを植物工場化して、農耕地が必要なくなる
  • 核兵器がなくなるようなシナリオを作れる
  • 人の見た目が老化しないようにできる

「シンギュラリティ」のまとめ

以上、この記事ではシンギュラリティについて解説しました。

読み方シンギュラリティ
意味技術的特異点、転換点
語源英語の“singularity”
反対意見学習能力に上限がある人間のように考えられない
進化は途中で止まる など
根拠ムーアの法則
収穫加速の法則 など
プレシンギュラリティの意味シンギュラリティが起こる一歩手前

シンギュラリティは少し難しい単語です。

しかし、使用する場面はほぼ人工知能に関する時です。

ぜひ、この記事を参考にしてシンギュラリティの意味や使い方を覚えましょう。