故事成語「雌伏(しふく)」の意味と使い方を解説|「雌伏雄飛」とは

言葉

今回ご紹介する言葉は、故事成語の「雌伏」です。

「雌伏の時」などのフレーズを聞いたことはないでしょうか。「雌伏」は、中国の故事に由来しているのです。

以下では、「雌伏」の意味・由来・例文・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

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「雌伏」の意味をスッキリ理解!

雌伏(しふく):人に屈服して従うこと、もしくは実力を養いながらじっと活躍の機会を待つこと

「雌伏」の意味を詳しく

「雌伏」には、2つの意味があります。

1つ目は、人に屈服して従うことです。「伏」は「服従する」という意味を持っています。つまり、「雌伏」は、雌鳥が雄鳥に従う様子から、誰かの言うことを聞き、低い地位を受け入れることを意味します。

そして、もう1つの意味は、実力を養いながらじっと活躍の機会を待つことです。これは、低い地位を受け入れることをポジティブにとらえた意味です。現在は満足できない境遇にありながらも、将来の活躍を期待して自身を磨き続けることを指しています。

2つ目の意味においては、「雌伏」は「下積み時代」と同じような意味です。「下積み時代」とは、自身の能力を発揮する機会に恵まれないまま、低い地位に居続けることを意味します。

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「雌伏」の由来

「雌伏」の出典は『後漢書(ごかんじょ)』の「張温伝(ちょうおんでん)」という章です。中国を後漢という王朝が支配していた時代の史実を記したものです。

後漢時代に、張温という人物がいました。彼は当時、郡守(ぐんしゅ)の補佐役をしていました。「郡守」は、行政区画としての「郡」を統率していた長官のことを指します。

 

しかし、張温はその役職では満足できず、以下のような言葉を嘆きます。

『後漢書 張温伝』
大丈夫当(だいじょうぶまさ)に雄飛すべし、安(いずく)んぞ能(よ)く雌伏せん、と。
(男たるもの、大きな志を持ってはばたかなければならない。どうして低い地位に甘んじることができようか。いや、できない。)

張温は、やがて官職を棄(す)てたのでした。これが「雌伏」という言葉の由来になっています。

「雌伏」の例文

  1. 今は雌伏の時だ。やがてあの大物でさえ私に従うときがやってくるだろう。
  2. 私は当時、まだ20代で社会的地位も低かったため、雌伏して時を待つことにした。
  3. かつては漫画家のアシスタントとして雌伏していたが、現在では超有名漫画家になった。
「雌伏」は①のように、「雌伏の時」という形で用いられることが多くあります。低い地位を耐え忍ぶ時、というニュアンスで使われています。

同じ発音で「至福の時」という言葉がありますが、こちらはこの上ない幸せお感じている時を指す言葉であるため、「雌伏の時」とはまったく違う意味です。注意しましょう。

②のように「雌伏する」という動詞として使われることもあります。「雌伏して時を待つ」「雌伏して時の至るを待つ」という表現は「雌伏」とセットでよく使われるものです。また、「雌伏〇年」という形で、「〇年の不遇の期間を経て」という意味を表すこともあります。

そして、③では、下積み時代のことを「雌伏」という言葉で表現しています。

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「雌伏」の対義語

「雌伏」には以下のような対義語があります。

  • 雄飛(ゆうひ):雄鳥が飛ぶように盛んに活躍すること

四字熟語「雌伏雄飛」

対義語同士を組み合わせた四字熟語で、「雌伏雄飛」というものがあります。これは、将来に活躍することを期待して、誰かに従いながら埋もれた境遇を受け入れることを指します。

例文としては、次のようなものが挙げられます。

例文
雌伏雄飛を期待して、誰の目にも止まらない場所で、5年間必死に稽古してきた。

「雌伏」の英語訳

「雌伏」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • live in obscurity
    (無名のままでいる)
  • patient endurance
    (辛抱強く耐えること)

上記2つの表現を用いた例文は以下の通りです。

例文
  • Though it seems that he lives in obscurity, I think he will be a big shot soon.
    (彼は日の目を見ないように思われているかもしれないが、今に大物になると私は思っている。)
  • After 10 years of patient endurance, she became the the president of our club.
    (雌伏すること10年、彼女は私たちのクラブの代表になった。)
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まとめ

以上、この記事では「雌伏」について解説しました。

読み方雌伏(しふく)
意味人に屈服して従うこと、もしくは実力を養いながらじっと活躍の機会を待つこと
由来『後漢書』の「どうして雌伏したままでいられようか」という言葉から
対義語雄飛
英語訳live in obscurity(無名のままでいる), patient endurance(辛抱強く耐えること)

「雌伏」は有名な故事成語であるため、聞いたことがある、という人も多いのではないでしょうか。低い地位に甘んじること、という定義からはマイナスなニュアンスを感じるかもしれません。

ただ、「雌伏雄飛」という言葉があるように、今は不遇の時代でも、将来の活躍を期待することは出来ます。「雌伏」を使う時、ポジティブなニュアンスを乗せられるとよいですね。

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