習ったけれど忘れていた!「衆議院」と「参議院」の違い

違いのギモン

「衆議院」と「参議院」の違いは、誰もが小学校の社会の授業で学ぶことです。しかし、習った内容を忘れてしまった方も多いのではないでしょうか。

そこで、この記事では、「衆議院」と「参議院」の5つの違いを解説します。あらためて、両者の相違点を整理しましょう。

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はじめに:両院制とは

日本では、1つの国会のなかに、「衆議院」と「参議院」の2つの議院が存在しています。この制度を “両院制” といいます。

日本のほかにも、イギリスやアメリカも両院制を採用しています。イギリスの議会には第一議院と第二議院が、アメリカの議会には上院と下院があるのです。

これらの国はなぜ両院制をとっているのでしょうか。

それは、異なる2つの視点から国政の状況をチェックし、広い視野で議会を運営するためです。つまり、2つの議院は違う特徴をもっている必要があります。

ですから、「衆議院」と「参議院」は、様々な点において異なるのです。以下、両者の違いについて解説します。

【1】本会議場の違い

まず、「衆議院」と「参議院」は、会議を行う場所が異なります。国会議事堂の正面から見て左にあるのが衆議院、右にあるのが参議院です。

本会議場の設備はよく似ていますが、参議院の本会議場には天皇の御席があるという違いがあります。国会が閉会されるとき、天皇はこの席で「閉会のお言葉」をおっしゃいます。

なぜ、参議院の方にだけ天皇の御席が用意されているのでしょうか。それは、今の参議院の会議場は、戦前「貴族院」が使っていたからです。

「貴族院」とは、納税額の高い富裕層の男性や、爵位をもつ男性、天皇が直接任命した勲功者などが議員として集まる議院でした。戦後、貴族院は「参議院」にかわり、特別な地位や財産のある人ではなく、選挙で国民から選ばれた人々で編成されるようになりました。

このように、「衆議院」と「参議院」の本会議場は、以下のような違いがあるのです。

  • 衆議院:国会議事堂の正面から見て左にあり、天皇の席はない
  • 参議院:国会議事堂の正面から見て右にあり、天皇の御席がある
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【2】被選挙権の違い

衆議院議員には、満25歳以上の人が立候補することができます。一方、参議院議員には、満30歳の人が立候補することができます。

このように、「衆議院」の議員よりも「参議院」の議員のほうが、被選挙権をもつことのできる年齢が高いのです。

【3】任期の長さ・解散の有無の違い

「衆議院」と「参議院」は、任期の長さと解散の有無にも違いがあります。

「衆議院」の議員の任期は4年です。また、任期満了になるまでに議院が解散され、総選挙が行われる場合もあります。

つまり、衆議院議員の任期は長くて4年ですが、4年に満たないうちに職を失う恐れがあるのです。

 

一方、「参議院」の議員の任期は6年です。衆議院議員のように途中で解散することはありません。

しかし、6年の任期のなかで3年目になると、全議員の半数が入れ替わるため、半期ごとに選挙があります。

要約すると、「衆議院」議員の任期は4年で、途中で解散されて選挙が行われる場合があり、参議院議員の任期は6年で、3年目に議員数の半分を入れ替えるための選挙が必ずあるのです。

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【4】選挙方法の違い

「衆議院」と「参議院」は、議員が選ばれる方法も異なります。

「衆議院」の選挙

衆議院の議員は、 「小選挙区制」 という選挙方法と、 「比例代表制」という選挙方法の2つを組み合わせて選ばれます。

小選挙区制

「小選挙区制」とは、1つの選挙区につき1人の候補者を選ぶというものです。衆議院議員選挙での小選挙区制では、全国を300の選挙区に分けますから、300人選ばれるということです。

比例代表制

「比例代表制」 では、投票者は政党名を書いて投票します。その得票数に応じて、各政党が全ての議席のなかでどのくらいの割合を占めるかということが決まります。

各政党は選挙前に、党内の候補者に順位を付けたリストを出していますから、席数が決まったら、リストの順にその席数と同じ人数の議員が割り振られます。この「比例代表制」で選ばれる議員は180人です。

 

小選挙区制で300人、比例代表制で180人選出されますから、衆議院の定員は合計480人ということがわかります。

なお、衆議院の選挙では、小選挙区と比例代表の両方の選挙に立候補することができます

このような候補者は、小選挙区の選挙で当選した場合、そのまま衆議院議員になることができます。小選挙区の選挙で落選した場合、比例代表の選挙で当選すれば “復活当選” となります。

参議院議員の選挙

「参議院」の選挙も、「選挙区制」と「比例代表制」の2つで行われます。しかし、衆議院の選挙とは少し異なります。

選挙区制

まず、選挙区は、各都道府県に1つありますから、47の選挙区で編成されています。1つの選挙区で選ばれる候補者の人数は、その選挙区の有権者の人数によって、2人・4人・6人・8人のどれかになります。

しかし、参議院は6年の任期のなかの3年目に、全議員の半数を入れ替えるための選挙があるので、半期あたりでは1人・2人・3人のいずれかの人数が選ばれることになりますね。

選挙区の選挙で選ばれる参議院議員の人数は146人です。ですから3年目の選挙では、その半分の73人が選ばれますね。

比例代表制

比例代表の選挙では、投票者は “政党名” を書いても “候補者の個人名” を書いても良いというルールになっています。

“政党名” で書かれた票は政党別に集計され、 “個人名” で書かれたものは、その候補者が所属する政党に票が入ります。そして、政党の得票数の割合が議席数の割合に反映されてるのです。

すべての得票数に応じて、各政党が全ての議席のなかでどのくらいの割合を占めるかということが決まります。席数が決まったら、 “個人名” で書かれた票数が多かった候補者から順に、席が割り振られます。

比例代表制で選ばれる参議院議員の数は96人です。ですから、任期の途中で半数を入れ替えるための選挙を行うときには、その半分の48人が選ばれることになります。

 

このように、選挙区制で146人、比例代表制で96人選出されるので、参議院議員は常に242人いることになります。

「衆議院」と「参議院」の選挙の違いをまとめると、以下のようになります。

  • 衆議院:小選挙区制で300人、比例代表制で180人が選ばれる
  • 参議院:選挙区制で146人、比例代表制で96人が選ばれる

【5】優先度の違い

選挙方法や平均年齢、任期などが異なる2つの議院が存在することで、違う視点で互いをチェックしながら国政を進めることができます。これが、両院制のメリットです。

しかし、衆議院で出た結論と参議院で出た結論が異なる場合、国政が停滞してしまうというデメリットもあります。そこで、日本の議会では、「衆議院の優越」という仕組みがあります。

両議院が対立したとき、衆議院の結果が優先的に通るというものです。以下、3つの例を紹介します。

「衆議院の優越」が適用される例①

たとえば、ある法案の内容について、「衆議院」は可決、「参議院」が否決したとします。

この場合、まず、衆議院と参議院のそれぞれの代表が協議します。それでも1つの方向に決まらなければ、衆議院の出席議員の3分の2の賛成があらためて集まったら法案成立、集まらなけらば廃案となります。

このように、両議院が主張を互いに妥協しない場合には、衆議院だけで再度採決した結果が反映されるようになっているのです。

「衆議院の優越」が適用される例②

ある法案について、衆議院では可決され、参議院では可決も否決もされなかったとします。

この場合、衆議院の可決から60日が経過しても参議院で結論がでなければ、衆議院は、参議院が否決したものとみなすことができます。このシステムを「みなし否決」といいます。

「衆議院の優越」が適用される例③

ほとんどの議題は、「衆議院」から議論を始めても、「参議院」から議論を始めても良いことになっています。しかし、以下の議題だけは、必ず衆議院が先に取り組まなければなりません。

  • 予算案を通すかどうかという議論
  • 条約を結ぶかどうかの議論

なぜなら、この2つの議題は、短期間で結論を出さなければならないものだからです。予算案を早く成立させなければ国政の新年度を始めることができませんし、条約を結ぶかどうかを決めるのが遅れると、諸外国に迷惑がかかりますね。

そこで、どちらかの議院の結論を優先すれば、効率的に話し合いを終わらせることができます。ですから、この場合は「衆議院の優越」が認められるのです。

 

このように、衆議院のほうが参議院よりも若干の優先度が与えられている点も、両者の大きな違いといえます。

なぜ「参議院」ではなく「衆議院」に優越が認められるのでしょうか。それは、「衆議院」の方が「参議院」よりも任期が短く、選挙の頻度も高いため、最新の世論が常に「衆議院」の議員編成に反映されているからです。

このため、両議院の結論がぶつかって国政が滞るときには、国民の意思が色濃く出ている衆議院の判断が優先されます。

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まとめ

以上、この記事では、「衆議院」と「参議院」の5つの違いについて解説しました。最後に、両者の違いを表でおさらいしましょう。

衆議院参議院
本会議場正面左・天皇の席なし正面右・天皇の席あり
被選挙権満25歳~満30歳~
任期と解散4年(途中で解散の可能性あり)6年(3年目で半数を選挙で入れ替え)
選挙方法小選挙区制:300人
比例代表制:180人
選挙区制:146人
比例代表制:96人
優先度高い低い

「衆議院」は「参議院」よりも優先度が高いものの、「参議院」は「衆議院」のように解散におびえる必要がなく、落ち着いて活動することができます。このように、これら2つの議院は、全く異なる特徴があるからこそ、互いの弱点を補い合っているのですね。

今後国政選挙がある際には、まずは今回の選挙が「衆議院」と「参議院」のどちらなのかをおさえましょう。そして、両院の特徴をあらためて整理したうえで、責任をもって投票しましょう。

◉参考文献:池上彰(2014)『政治のこと よくわからないまま社会人になった人へ 第3版』海竜社.

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