テレビ番組などで、お笑い芸人が先輩のことを「兄さん」「姉さん」や「〇〇師匠」と呼ぶことがあります。今回は、これらの2つの違いについて解説します。
結論:弟子がいたり、芸歴の長い芸人は「師匠」
とはいえ、これらの境界はあいまいで、所属事務所や本人の人柄によって呼ばれ方が変わることも多くあります。
1度呼び始めた敬称は途中で変えてはいけないという点も重要です。「兄さん」「姉さん」と呼んでいた弟子を持たない先輩が、弟子を持ったとしても「師匠」と呼んではいけないということです。
というのは、弟子を持ったから「師匠」と呼び換える、というのは先輩のことを実力で優劣つけるようでおこがましい、という考えの表れなのです。伝統や礼儀を重んじる芸人の世界ならではの話です。
「兄さん」「姉さん」をもっと詳しく
「兄さん」「姉さん」というのは、弟子を持たない、また芸歴が短い先輩芸人のことを指します。
事務所にもよりますが、多くの場合、年齢ではなく芸歴を重視されるという点に注意しましょう。
つまり、年下の芸人であっても自分より早く芸能界に入っていたのであれば、「兄さん」「姉さん」である、ということです。
「兄さん」の使い方の例
芸能界入りの遅かったエド・はるみは年下の芸人を「兄さん」と呼ぶ。
「師匠」をもっと詳しく
「師匠」は、弟子を持つ、また芸歴の長い先輩芸人のことを指します。
こちらも、「兄さん」「姉さん」と同じく、年齢よりも芸歴の方が重視されます。
また、人によっては親しみを込めて、「師匠」クラスの芸人であっても、あえて「兄さん」「姉さん」と呼ばせることもあります。
「師匠」の使い方の例
西川きよし師匠にご馳走をしていただく。
落語の世界での上下関係
お笑い芸人ならではの縦社会の仕組みですが、もとは落語界における上下関係が由来となっています。
落語は、お笑い以上に明確な上下関係があり、厳しいルールもあります。
まず、落語家には4つのランクがあって、下から順にこのようになっています。
- 「前座見習い」
- 「前座」
- 「二つ目」
- 「真打ち(しんうち)」
落語家になるためには、真打ちに弟子入りしなければなりません。この師弟関係がとても厳しいもので、弟子は下働きなどをして修行を重ねます。
また、師匠はいつでも弟子を破門(はもん)にすることができます。この場合、弟子は落語界から追放され、舞台の出演などもすべてキャンセルしなければなりません。
このような慣習が、お笑いの世界における暗黙の了解とも言える文化を作り上げたというわけです。
お笑いの歴史
最後に、現代のお笑いの歴史を解説します。現代のお笑いは7つの世代に分けることができます。
- 第一世代:1962-69年。景気後退の中、『笑点』などの製作費の安い演芸番組が注目を集めた。6代目三遊亭圓生などが活躍。
- 第二世代:1979ー82年。東京発のバラエティー番組や漫才が流行した。コント55号やザ・ドリフターズなどが活躍。
- 第三世代:1980年後期-1990年初頭。深夜番組が流行した。とんねるずやダウンタウンが台頭。
- 第四世代:1990年代。『電波少年シリーズ』などのバラエティー番組が流行。爆笑問題やよゐこが活躍。
- 第五世代:2000年代。『エンタの神様』などのネタ見せ番組が流行。中川家やチュートリアルが活躍。
- 第六世代:2010年代。『アメトーーク』などのトーク番組が流行。サンドウィッチマンや東京03が活躍。
- 第七世代:2010年代後半。平成生まれの芸人がYouTubeなどを通してネタを披露した。霜降り明星やかが屋が活躍。
お笑いの世界では、短いスパンで新しい世代が登場することがわかりますね。
まとめ
以上、この記事では、「師匠」と「兄さん」の違いについて解説しました。
- 兄さん:弟子を持たない、また芸歴が短い先輩芸人
- 師匠:弟子を持つ、また芸歴の長い先輩芸人
これから、テレビ番組などでこのような単語が出てきたときに、より一層楽しめるのではないでしょうか。