「尸位素餐」の意味とは?読み方は?使い方から類語まで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「尸位素餐(しいそさん)」です。

言葉の意味・由来・類義語・英語訳について分かりやすく解説します。

☆「尸位素餐」をざっくり言うと……

読み方尸位素餐(しいそさん)
意味高い地位にあり、その分の見返りを受け取っているにも関わらず、職責を果たさないこと
由来漢書『朱雲伝』
類義語窃位素餐、伴食宰相
英語訳sinecurism(仕事をしないにも関わらず、給料を得ること)
sinecurist(仕事をしないにも関わらず、給料を得る人)

「尸位素餐」の意味をスッキリ理解!

尸位素餐(しいそさん):高い地位にあり、その分の見返りを受け取っているにも関わらず、職責を果たさないこと

「尸位素餐」の意味を詳しく

「尸位素餐」とは、地位に応じた給与をもらっているにも関わらず、その地位に見合う仕事をしないこと、またはその人のことを表します。

「尸位素餐」は、「尸位」と「素餐」という 2つの熟語で成り立っています。「尸位」とは、才能や人徳がないにも関わらず、地位についている人のことをさします。また、「素餐」とは、食べるばかりで何もしない人のことを表す言葉です。

「尸位素餐」は、単に仕事をこなさないことを指すのではなく、「高給取りの仕事の人が、それに見合った仕事をしない」場合などに用いられます。

ちなみに、熟語の順番を逆にした「素餐尸位(そさんしい)」も、同じ意味を表す言葉です。

「尸位素餐」の使い方

  1. めぼしい成果を残せていないあの政治家は、世間から尸位素餐と言われている。
  2. 委員長になったからといって、それだけで満足していると尸位素餐に終わるぞ。

①の文では、「地位に見合ったことを何もしない人」という意味で「尸位素餐」が用いられています。

一方で、②の文では、「地位に見合ったことを何もしないこと」という意味で「尸位素餐」が用いられています。

「尸位素餐」の由来

尸位素餐は、古代中国の前漢(ぜんかん)時代を描いた、漢書『朱雲伝(しゅうんでん)』に由来があります。

当時、朱雲(しゅうん)という学者がいました。あるとき、朱雲は国の大臣があまりに働かない様子を見て、皇帝に次のように進言します。

「今の大臣は、世の中を良くすることもできず、かといって民衆のために何かをするわけでもない。皆尸位素餐である。」

このように、朱雲が「国の大臣が無能である」と皇帝にはっきり進言した内容が、尸位素餐の由来になりました。

「尸位素餐」の類義語

尸位素餐には以下のような類義語があります。

    • 窃位素餐(せついそさん):職責を果たさず、無駄に高給を得ていること
    • 伴食宰相(ばんしょくさいしょう):地位に見合った能力のない人物のこと。または、言いなりになるだけの無能な大臣のこと。

「伴食」とは、メインの客のお供として、食事などをご馳走になることを表します。

「尸位素餐」の英語訳

尸位素餐を英語に訳すと、次のような表現になります。

      • sinecurism
        (仕事をしないにも関わらず、給料を得ること)
      • sinecurist
        (仕事をしないにも関わらず、給料を得る人)

sinecurism と sinecurist は、どちらも sinecure という単語から派生したできた言葉です。sinecure は「実績はないが給料の高い、楽でいい仕事」のことを表します。

まとめ

以上、この記事では「尸位素餐」について解説しました。

読み方尸位素餐(しいそさん)
意味高い地位にあり、その分の見返りを受け取っているにも関わらず、職責を果たさないこと
由来漢書『朱雲伝』
類義語窃位素餐、伴食宰相
英語訳sinecurism(仕事をしないにも関わらず、給料を得ること)
sinecurist(仕事をしないにも関わらず、給料を得る人)

「尸位素餐」の意味をきちんと理解できたでしょうか。高い地位にいることは、それだけ大きな責任を伴っているということを意味するのですね。