「赤身魚」「白身魚」「青魚」の違いとは?気になる栄養の差とは?

違いのギモン

皆さんは「赤身魚」「白身魚」「青魚」の違いを知っていますか。身の色の違いだと思っている方が多いと思います。

しかし、そこには驚くべき事実が隠されていました。この記事ではこれらについて、徹底的に解説します。

結論:「青魚」は水産学上の分類ではない

「赤身魚」と「白身魚」は、色素タンパク質の量による水産学上の分類です。

「赤身魚」は、色素タンパク質が100gあたり10mg以上の魚を指します。

「白身魚」は、色素タンパク質が100gあたり10mg以下の魚を指します。

 

一方「青魚」は「赤身魚」のうち、背中が青く見える魚のことです。

「赤身魚」をもっと詳しく


水産学で「赤身魚」と「白身魚」は、筋肉色素タンパク質の「ヘモグロビン」と、血液色素タンパク質の「ミオグロビン」の含有量で分類しています。ヘモグロビンは、酸素を運搬する役割があります。そしてミオグロビンには、酸素を供給する役割があります。

「赤身魚」は、色素タンパク質が100gあたり10mg以上の魚を指します。

代表的な赤身魚は、以下の通りです。

  • マグロ
  • サンマ
  • カツオ
  • ハマチ
  • ブリ

 

これらはすべて身が赤く見えますよね。実は、赤く見えるのは「筋肉」です。「赤身魚」は寝ている間も泳ぎ続ける回遊魚で、大量の酸素を必要とします。そのため筋肉中のヘモグロビンとミオグロビンが多くなり、筋肉が赤く見えるということです。

ちなみに刺身では、ハマチとブリは白身魚に分類されます。

「白身魚」をもっと詳しく

「白身魚」とは、色素タンパク質が100あたり10mg以下の魚を指します。白身魚の例は以下の通りです。

  • タイ
  • アナゴ
  • ヒラメ
  • タラ
  • フグ
  • サケ

「白身魚」は通常、近海の浅瀬や岩礁、砂場に生息しています。このような魚を「底生魚」と言い、行動範囲が狭いことが特徴です。大量に酸素を消費しないため、ヘモグロビンとミオグロビンの含有量が少ないということです。

しかしサケは赤く見えるのにも関わらず、なぜ白身魚に分類するのかと疑問を持った人がいると思います。その理由は、カロチノイド系の赤い色素「アスタキサンチン」です。

サケは、エビやカニを餌とします。このエビやカニの殻に含まれる「アスタキサンチン」という成分が、サケが赤く見える原因です。

ちなみに、赤身魚を火に通すと白っぽくなりますが、サケは赤いままですよね。それは、アスタキサンチンが熱に強いため、火に通しても色を保ったままでいられるということです。

「青魚」をもっと詳しく


「青魚」とは、赤魚のうち、背中部分が青く見える魚のことです。

分類学上のまとまった集団ではありません。

青魚の例は以下の通りです。

  • イワシ
  • アジ
  • サバ
  • サンマ
  • ニシン
  • キビナゴ
  • サワラ
  • タチウオ
  • ブリ
  • トビウオ

青魚は、赤身魚の中でも「近海生回遊魚」と言う小型の魚のことを指します。背中が青く見える理由は、不飽和脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン)EPA(エイコサペンタエン酸)を多く含むためです。

「DHA」は悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす作用があります。そのため中性脂肪の合成を抑えたり、脳や神経組織の機能に良い影響を与える効果が期待できます。また「EPA」は、血栓ができるのを防ぐ効果があります。

この不飽和脂肪酸は、人間の体内で作ることができません。そのため健康を維持するには、青魚などから摂取する必要があります。ちなみに、1日あたりの摂取目安は1gです。これは青魚100gに含まれる量に相当します。

まとめ

以上、この記事では、「赤身魚」「白身魚」「青魚」の違いについて解説しました。

  • 赤身魚:色素タンパク質が100gあたり10mg以上
  • 白身魚:色素タンパク質が100gあたり10mg以下
  • 青魚:背中が青い赤身魚
「赤身魚」「白身魚」「青魚」には、このような違いがあります。サケが白身魚に分類されることには、驚いた人もいたのではないでしょうか。スーパーの魚売り場に行った際には、表示のタンパク質の量に注目してみると面白いですね。