「櫛風沐雨」の意味とは?読み方は?使い方から例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「櫛風沐雨(しっぷうもくう)」です。

言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「櫛風沐雨」をざっくり言うと……

読み方櫛風沐雨(しっぷうもくう)
意味さまざまな苦労をすること
由来『荘子』「天下」編の一説、「沐甚雨、櫛疾風、置萬國。」
類義語櫛風浴雨、風髪雨鬢、風櫛雨沐など
英語訳struggling through wind and rain(櫛風沐雨)

「櫛風沐雨」の意味をスッキリ理解!

櫛風沐雨(しっぷうもくう):さまざまな苦労をすること

「櫛風沐雨」の意味を詳しく

「櫛風沐雨」は、「厳しい状況の中で、非常に苦労をする」ということを表す四字熟語です。

 

「櫛」は「くし」とも読みます。これは髪をとかす「くし」のことです。

「櫛」に「風」をつけた「櫛風」は、「風に髪をとかされること」という意味です。風が強く、髪が風に飛ばされる様子を示す熟語です。

「沐雨」とは、「雨で身体が洗われる」ということです。強いシャワーのような雨に身体がさらされて、まるで身体を雨で洗っているかのような様子を表します。

 

つまり、「櫛風」と「沐雨」を合わせた「櫛風沐雨」は、「強風や強い雨にさらされながらも、苦労して働く」という意味を持ちます。転じて、「世の中のさまざまな辛苦や厳しい状況にさらされること」も指すようになりました。

「櫛風沐雨」の使い方

  1. 倒産寸前の会社を立て直すのは、まさに櫛風沐雨の日々であった。
  2. 親切な人による櫛風沐雨の努力のおかげで、溺れていた子供が助かった。
  3. 病気の治療費を稼ぐために、櫛風沐雨、必死で働いた。
  4. 櫛風沐雨の中力を尽くした甲斐あって、台風から作物を守ることができた。

「櫛風沐雨」の由来

「櫛風沐雨」の由来は諸説存在します。しかし、中でも『荘子(そうし)』の天下編に記された言葉が有力とされています。

 

『荘子』は、中国で戦国時代に記された思想書です。荘周(そうしゅう)という思想家によって書かれました。『荘子』は全部で 33編からなり、その中に天下編が含まれています。

天下編の中に、「沐甚雨、櫛疾風、置萬國。」という文章が出てきます。書き下すと、「甚雨(じんう)に沐(かみあら)い、疾風(しっぷう)に櫛(くしけず)り、万国(ばんこく)を置(た)てたり。」となります。「雨に打たれ、強風にさらされながら、多くの国を建てた。」という意味です。

 

この文章は、天下編の中で、墨子(ぼくし)という思想家について筆者が述べている場面で出てきます。

墨子(ぼくし)は、中国古代の伝説的な皇帝についての説明をする中で、「沐甚雨、櫛疾風、置萬國。」を用いました。厳しい状況にあった中国全土の治水に取り組むことで、国を建て直した様子をこの 1文に込めたのです。

上記のエピソードが、「櫛風沐雨」が生まれた由来となりました。

「櫛風沐雨」の類義語

櫛風沐雨には以下のような類義語があります。

  • 櫛風浴雨(しっぷうよくう):厳しい環境で苦労すること
  • 風鬟雨鬢(ふうかんうびん):苦労しながら仕事に望むこと
  • 風櫛雨沐(ふうしつうもく):非常に多くの苦労をすること
  • 雨露霜雪(うろそうせつ):さまざまな苦難に立ち向かうこと

「風鬟雨鬢」の「鬟」は「まげ」のことを表します。「鬢」は耳のあたりにある髪を意味します。

どの四字熟語にも、雨や雪といった自然災害を表す漢字が含まれています。「櫛風沐雨」のように自然を例に出して、「厳しい状況下にありながら、苦労して働く」という意味を込めています。

「櫛風沐雨」の英語訳

櫛風沐雨を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • struggling through wind and rain
    (櫛風沐雨)
  • undergoing hardships
    (苦労する)
  • life exposed to wind and rain
    (櫛風沐雨)

まとめ

以上、この記事では「櫛風沐雨」について解説しました。

読み方櫛風沐雨(しっぷうもくう)
意味さまざまな苦労をすること
由来『荘子』「天下」編の一説、「沐甚雨、櫛疾風、置萬國。」
類義語櫛風浴雨、風髪雨鬢、風櫛雨沐など
英語訳struggling through wind and rain(櫛風沐雨)

激しい雨や強い風のように、社会の中では、数多くの荒波に巻き込まれることがあります。苦労を重ね、時には辛いこともたくさんあります。しかし、「櫛風沐雨」の日々を乗り越えた先には、必ず結果がついてくるはずです。

また、苦労して働いた経験は今後の糧にもなります。「櫛風沐雨」の努力を怠らず、自らを成長させ続けましょう。