今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「信賞必罰(しんしょうひつばつ)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「信賞必罰」をざっくり言うと……
読み方 | 信賞必罰(しんしょうひつばつ) |
---|---|
意味 | 功績がある者には必ず賞を与え、罪がある者には必ず罰を与えること |
由来 | 『韓非子 外儲説右上』にて、民衆を統制する方法として説かれたことから |
類義語 | 恩威並行、論功行賞 |
英語訳 | never fail to reward good conduct nor to punish evildoing |
「信賞必罰」の意味をスッキリ理解!
「信賞必罰」の意味を詳しく
「信賞必罰」は、「信賞」と「必罰」という 2つの熟語から構成されています。
「信賞」とは、手柄をあげた者に必ず褒美(ほうび)を与えることを指します。ここでの「信」は、「間違いなく、必ず」という意味です。また、「必罰」とは、文字通り、罪を犯した者を「必ず罰する」ことを意味します。
以上より、「信賞必罰」は、「功績のある者には必ず賞を与え、罪を犯した者には必ず罰を与えること」を指しているとわかりますね。個人的な感情にとらわれず、当人があげた成果や犯した罪を客観的に評価する姿勢が「信賞必罰」と言えます。
「信賞必罰」の使い方
- 社長は特定の人を贔屓(ひいき)することなく、信賞必罰を徹底している。
- 信賞必罰を実行するということは、私情にとらわれないということだ。
「信賞必罰」の由来
「信賞必罰」は、古代中国の思想家である韓非子(かんぴし)が記した著作『韓非子 外儲説右上(がいちょぜいみぎうえ)』という文献で初めて用いられました。
同著では、晋(しん)という国を治めていた文公(ぶんこう)と、文公を支えていた家臣の狐偃(こえん)という人物が行った以下のような問答が記されています。
(文公は言った。「どうすれば、民が戦わざるを得ないような状況にできるのか」と。)
狐氏、対(こた)へて曰く、「信賞必罰、其れ以て戦するに足りん」と。
(狐偃は答えた。「信賞必罰を徹底することで、民を戦わせることができます」と。)
公曰く、「刑罰の極みは安(いず)くにか至る」と。
(文公は言った。「刑罰の限度はどの程度にするべきだろうか」と。)
対へて曰く、「親貴を辟(かたよ)らず、法を愛する所に行へ」と。
(狐偃は答えた。「親しい者、身分の高い者をも避けず、寵愛する者にも行うのです」と。)
狐偃は、民衆を統制する上では、恩賞と刑罰を適切に与えることが大切だと文公に説いたのでした。現代では、人の上に立つ者にとって、「信賞必罰」は重要な心構えとされています。
「信賞必罰」の類義語
信賞必罰には以下のような類義語があります。
- 恩威並行(おんいへいこう):人の上に立つ上では、賞罰を適切に与えるべきであること
- 論功行賞(ろんこうこうしょう):功績の大小について論じ、その程度に応じて賞を与えること
「恩威並行」の「恩威」は、恩賞と刑罰のことを指しています。「並行」は、同時に行うことを意味します。
また、「論功行賞」の「論功」は、手柄の大小について論じることを言います。「行賞」は、手柄に対して褒美を与えることです。
「信賞必罰」の英語訳
信賞必罰を英語に訳すと、次のような表現になります。
- never fail to reward good conduct nor to punish evildoing
(功績は必ず賞して、悪行は必ず罰する)
上記の表現を用いた例文は以下の通りです。
- Mr.Suzuki, who is the president of a growing company, is such a stern person that he never fails to reward good conduct nor to punish evildoing.
(ある成長企業の社長を務める鈴木氏は、信賞必罰を徹底する厳格な人だ。)
まとめ
以上、この記事では「信賞必罰」について解説しました。
読み方 | 信賞必罰(しんしょうひつばつ) |
---|---|
意味 | 功績がある者には必ず賞を与え、罪がある者には必ず罰を与えること |
由来 | 『韓非子 外儲説右上』にて、民衆を統制する方法として説かれたことから |
類義語 | 恩威並行、論功行賞 |
英語訳 | never fail to reward good conduct nor to punish evildoing |
感情にとらわれず、客観的に人を評価することが「信賞必罰」を実行する上で肝心なことです。ぜひ、意味や使い方を覚えてみてください。