「斟酌」の意味とは?読み方は?使い方から類語や英語まで例文付きで

言葉

今回ご紹介する言葉は、熟語の「斟酌(しんしゃく)」です。

言葉の意味・使い方・語源・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「斟酌」をざっくり言うと……

読み方斟酌(しんしゃく)
意味心情をくみ取ること。条件を照らし合わせて適当に処置すること。遠慮すること
語源「汲み取る」という意味を持つ「斟」と「酌」を組み合わせた言葉
類義語慮る、手心、推察など
英語訳take something into consideration (考慮に入れる)

「斟酌」の意味をスッキリ理解!

斟酌(しんしゃく):心情をくみ取ること。条件を照らし合わせて適当に処置すること。遠慮すること。

「斟酌」の意味を詳しく


「斟酌」は、以下に示すような、三つの意味を持つ言葉です。

  1. 相手の事情や心情などをくみ取ること
  2. 条件などを照らし合わせて、適当に処置すること
  3. 遠慮すること

 

まず、➀の意味について解説します。どのような場面においても、人にはそれぞれの事情があります。また、それと同じくして人はそれぞれ異なる心情を抱いています。

➀の意味は、そういった相手の事情や心情を考えてあげることと言えます。また、相手の事情や心情をくみ取り、良いように取り計らうことも指します。

 

例えば、約束をした相手が待ち合わせに遅刻したとします。相手が遅刻をした理由が電車の遅延であり、さらに相手はかなり申し訳なさそうにしている場合、相手にはそれなりの事情があったことはもちろん、申し訳ないという気持ちを抱いていることも読み取れるでしょう。

この例においては、相手の事情や心情を考えてあげることは、1つの自然な判断であると考えられます。もちろん場合によりますが、相手の遅刻に対して「斟酌」した結果、この人は相手の遅刻を「許す」という判断をとる可能性が十分あります。

 

次に➁の意味について解説します。➁は、当事者間や、自らが置かれている状況などの様々な条件をあれこれと照らし合わせ、さらにそのうえで、適切な処置や対応を行うことを意味します。

例えば、当事者間であれば、「自分はこうしたい」という条件と、「相手はこうしたい」という条件を照らし合わせ、その上で適切に処置することが、➁の意味で言う「斟酌」です。

また、自らが置かれている状況における「斟酌」については、受験を例にとって考えます。自分の力量や、学校の地理的な問題、そして目指す学校の学力水準などの諸条件をそれぞれ考慮して進学先を判断することは「斟酌」と言えます。

 

最後に、➂の意味についてですが、こちらは単純に遠慮をすることです。

➀や➁の意味には、「事情や条件を考える」というようなニュアンスが含まれていましたが、➂の意味には特に含まれていません。

 

「斟酌」と「忖度(そんたく)」の違い

よく似た意味を持つ言葉として「忖度」があります。「忖度」は、「他人の気持ちを推しはかる」という意味を持つ言葉です。

「斟酌」もほとんど同じ意味をもつ言葉と言っても過言ではありませんが、二つの相違点があります。

 

一点目は、「行動に移す」という意味を含むか否かです。「斟酌」は、相手の気持ちを推しはかったうえで適切に処置をするという「行動」の意味を含みます。対して、「忖度」には、相手の気持ちを推しはかるという意味しか持たず、「行動」の意味は含みません。

二点目は、「忖度」は「遠慮する」という意味は持たないということです。

「斟酌」と「忖度」は、非常に似た意味を持つ言葉ですが、以上のような相違点があるということを押さえておくべきです。

「斟酌」の使い方

  1. テスト前に病気をしていた生徒の採点に斟酌を加える。
  2. 両者の言い分を斟酌して決定を下す。
  3. 嘘をついて休んだ人に何の斟酌をする必要はない。

➀の例文では、テスト前に休んでしまったという生徒の事情や心情をくみ取り、採点の基準を緩めるという意味で「斟酌」が使われています。

➁の例文では、二人の間に自分がいると考えられます。その二人の言い分、つまり条件を照らし合わせ、その上で適切な決定をするという意味で「斟酌」が使われています。

➂の例文では、単純に「何の遠慮する必要はない」の言い換えとして、「何の斟酌をする必要はない」が使われています。

「斟酌」の語源

「斟酌」という言葉の語源は、その言葉そのものにあると言えます。

「斟」と「酌」の漢字はどちらにも、「汲(く)み取る」という意味があります。

 

「斟」は訓読みで「くむ」と「おしはかる」と読み、「分量を探りはかりながら汲む」という意味を持つ漢字です。

一方、「酌」は訓読みで「くむ」と読み、「柄杓(ひしゃく)で汲み上げる」という意味を持っています。

 

「斟酌」は、その似た意味を持つ二字の漢字を組み合わせ、「水や酒の分量をはかりながら汲む」という意味を持つ言葉として使われていました。

次第に、その元の意味では使われることは無くなり、現在では「事情や心情、条件を汲み取る」という意味で使われています。

「斟酌」の類義語

「斟酌」には以下のような類義語があります。

  • 慮(おもんぱか)る:細やかな気遣いをし、処置すること
  • 手心(てごころ):状況に応じて加減すること
  • 推察:推しはかること
  • 勘考(かんこう):推しはかること、考慮に入れること
  • 酌量(しゃくりょう):事情をくみ取って手加減すること

「斟酌」の英語訳

「斟酌」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • take something into consideration
    (考慮に入れる)
  • consider something
    (考慮に入れる)
  • allow for something
    (考慮に入れる)
  • in consideration of
    (~を考慮して)

まとめ

以上、この記事では「斟酌」について解説しました。

読み方斟酌(しんしゃく)
意味心情をくみ取ること。条件を照らし合わせて適当に処置すること。遠慮すること
語源「汲み取る」という意味を持つ「斟」と「酌」を組み合わせた言葉
類義語慮る、手心、推察など
英語訳take something into consideration (考慮に入れる)

「斟酌」の意味や使い方などを理解することはできたでしょうか。

「斟」も「酌」もどちらもあまり見慣れない漢字かもしれません。したがって、初見で「斟酌」という言葉の意味を漢字から推察するのは難しいでしょう。

しかし、どちらの漢字も「くむ」と読み、「汲み取る」という意味を持つ漢字であるということを覚えておくと、知識もより確実なものにできるはずです。