今回ご紹介する言葉は、熟語の「師事(しじ)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「師事」をざっくり言うと……
読み方 | 師事(しじ) |
---|---|
意味 | 師匠として敬意を払い、教えを受けること |
類義語 | 入門 |
英語訳 | study under somebody(〇〇に師事する) |
「師事」の意味をスッキリ理解!
「師事」の意味を詳しく
「師事」とは、師匠として敬意を払い、教えを受けることです。「師事する」と動詞化して使います。
「事」には「つかえる」という意味もあり、そこから「師匠として相手につかえる」という意味になります。
「師事」しているとき、師匠である相手に対して自分の立場は「弟子」にあたります。相手を心から尊敬し、その技術やセンスに学ぼうとする場合に「師事」となるのです。
「師事」の使い方
- この人の作品を初めて見たとき、ぜひ師事したいと思った。
- あの巨匠に師事していたという噂があったが、彼の作風はその人にどんどん似ていったから間違いないだろう。
上記の例文のように、「師事」は「〇〇に師事する」と、師匠である相手を明確にして使われます。
①の例文では、作品を見たことをきっかけに、師事したい相手を見つけた様子が表現されています。
②の例文では、師事していたという噂が、「彼」の作風の変化によって裏付けられています。特に芸術面では、師事することでものの作り方を継承するというニュアンスで使われる場合があります。
「師事」の類義語
師事には以下のような類義語があります。
- 入門:師匠のもとで弟子になること
「入門」は「師事」と同様に、「師匠について弟子になる」という意味の言葉です。
入門は「入門する」「入門した」と、師匠の弟子になったという事実自体を表現する場合が多いです。一方、「師事」は、「師事する」「師事している」と、師匠の弟子であるという状態を表現します。
特に、「入門した」の場合にはまだ弟子であるというイメージが強いのに対し、「師事した」の場合には、弟子であったが今はそうでないというイメージになります。
たとえば、すでに亡くなっている芸術家などが、年表上で「1905年、〇〇に入門する」と書かれていた場合には、「1905年から(〇〇年まで)弟子入りしている」という意味になります。「1905年、〇〇に師事する」と書かれている場合には、1905年の間に弟子を辞めている可能性が出てきます。
また、「入門」の場合には、「特定の流派や道場に加わる」という場面でも使われますが、「師事」の場合には「特定の師匠につく」という場面のみで使われ、「道場に師事する」と表現することはありません。
なんとなく同じ言葉だと認識してしまいがちですが、使える場面やイメージに違いがあるので、どちらが適切か考えながら使い分けましょう。
「師事」の英語訳
師事を英語に訳すと、次のような表現になります。
- study under somebody
(〇〇のもとで学ぶ)
studyは、単体で使うと「学ぶ」「学習する」「研究する」などたくさんの意味になりますが、 “study under〜” とした場合には「師事する」という定型表現になります。
「師事」を日本語で使う場合でも、必ず誰に師事するのかという対象を入れないと文章が成立しません。そのため、その師事する対象をsomebodyのところに置き換えることで、ほぼ「師事する」と同じ意味になります。
たとえば、 “study under Ms. Sato” とした場合、「学校の佐藤先生の授業を受ける」ではなく「佐藤先生のもとで弟子として学ぶ」というニュアンスになります。単語ごとに直訳しようとすると若干意味のずれを生む場合があるので、注意しましょう。
まとめ
以上、この記事では「師事」について解説しました。
読み方 | 師事(しじ) |
---|---|
意味 | 師匠として敬意を払い、教えを受けること |
類義語 | 入門 |
英語訳 | study under somebody(〇〇に師事する) |
「師事」は字面から予測できる言葉ではありますが、しっかりと正確に意味を理解しておきましょう。