「セックス」と「ジェンダー」の違いとは?わかりやすく解説

違いのギモン

みなさんは「セックス(sex)」と「ジェンダー(gender)」の違いをご存知ですか。

どちらも、「性別」や「性差」を英語訳すると出てくる単語ですね。しかし、「セックス」と「ジェンダー」には明確な意味の違いがあります。

最近では、「セクシュアルマイノリティ」「セクシュアルオリエンテーション」「ジェンダー学」「ジェンダーギャップ」「ジェンダーバイアス」「ジェンダーアイデンティティ」など「セックス」や「ジェンダー」に関連する単語を聞く機会も増えてきました。

この記事では、意外と知らない「セックス」と「ジェンダー」の違いについて解説します。

結論:生物学的な性差が「セックス」で、社会的な性差が「ジェンダー」

生物学的な性別・性差のことを「セックス」といい、それに対し、社会的な性別・性差のことを「ジェンダー」といいます。

「セックス」についてもっと詳しく


「セックス」とは、「生物学的な性別・性差」のことを指す言葉です。

日本では「セックス」というともっぱら、「性行為」を指すことが多いですが、基本的には「生物学的な性別・性差」という意味で用いられます。

つまり、「オス・メス」のような分類をすることができるものが、「セックス」であるということです。

 

「精巣を持つのが男性、卵巣を持つのが女性」「男性のほうが筋肉が付きやすい」「女性のほうが乳房が大きい傾向にある」といったような分類は生物学的な、つまり「セックス」的な分類であると言えます。

「ジェンダー」についてもっと詳しく


「ジェンダー」とは、「社会的な性別・性差」のことを指す言葉です。

ほとんどの社会には「男はこうあるべきだ」「女はこうあるべきだ」「男はこうに違いない」「女はこうに違いない」といった、「男らしさ」「女らしさ」に関連するある種の「規範」のようなものが存在しています。

このような規範に基づく性別・性差のことを「ジェンダー」といいます。

 

「男性は肉体労働」「女性は家事・育児」というような分類は、「ジェンダー」的な分類の典型的な例と言えます。

本来ならば女性も肉体労働をしても良いですね。また、女性だけでなく男性も家事や育児をすることが望ましいです。それにも関わらず、このような観念があるのは、「社会的な性別・性差」、つまり「ジェンダー」的な分類があるからなのです。

 

他にも「男はズボン、女はスカート」「ハイヒールは女のもの」「医者は男、看護師は女」といったものも「ジェンダー」的な分類と言えます。

これらは全て、生物学的な分類に基づいたものではなく、それぞれ社会や文化で決定されたものです。

 

このような「ジェンダー」に基づく価値観は、一概に「良い」「悪い」と言えるものではありませんが、それぞれの社会や文化で作られた「ジェンダー観」がその社会や文化の中で暮らす人々の自由な生き方や思考を狭めている側面があることも事実です。

たとえば、「ジェンダー」に固執して、「女が大工なんてありえない、結婚できないですよ」「男のくせにスカートなんて履くなよ」と言うことは、人に対して抑圧的に作用しますよね。

 

ちなみに、「ジェンダー」が付く有名な言葉として、以下のものが挙げられます。

  • ジェンダーバイアス(gender-bias):社会的な性別・性差に基づく偏見。「男は○○に決まってる」「女は○○に決まっている」
  • ジェンダーフリー(gender-free):その社会や文化の中で作られた「ジェンダー観」に縛られずに自由に生きていくこと
  • ジェンダーギャップ(gender-gap):男女間の格差。
  • ジェンダーアイデンティティ(gender-identity):「性自認」と日本語訳されることが多い。本人が、自分自身をどんな性別だと認識しているか(あるいはしていないか)を表す

まとめ

以上、この記事では「セックス」と「ジェンダー」の違いについて解説しました。

  • セックス:生物学的な性別・性差
  • ジェンダー:社会的な性別・性差

ここ何年かで、「セックス」や「ジェンダー」に関連する話を耳にする機会が増えてきました。

社会全体がそういった問題に対して敏感になっていることの証拠でしょう。

まだまだ、「セックス」や「ジェンダー」にまつわる問題は山積されていますが、そのような社会全体の意識によって少しずつでも問題が解決していけばいいですね。