「務める」と「勤める」と「努める」と「勉める」の違いとは?

違いのギモン

同じ読み方でも意味が異なる同音異義語というものがあります。「つとめる」もその中の 1つで、「務める」「勤める」「努める」「勉める」の 4つの表記があります。皆さまは、それぞれの意味の違いをご存知でしょうか。

今回は「務める」「勤める」「努める」「勉める」の違いについて解説します。

☆「務める」「勤める」「努める」「勉める」の違いをざっくり言うと……

務める任務や役目を果たすために力を尽くすこと
勤める職場に勤務すること
努める力を尽くすこと
勉める困難に耐えながら努力すること

結論:「務める」は任務、「勤める」は勤務、「努める」と「勉める」は努力

「務める」「勤める」「努める」「勉める」の違いを分かりやすくまとめたものが以下の表になります。

務める任務や役目を果たすために力を尽くすこと
勤める職場に勤務すること
努める力を尽くすこと
勉める困難に耐えながら努力すること

「務める」をもっと詳しく


「務める」とは、任務や役目を果たすために力を尽くすことを指します。「~を務める」の形で用います。英語では “serve” と言います。日常生活における任務だけでなく、演技の役を全うする時も「務める」を用います。

また、「務める」は、仕事や演技の役などのように、具体的なミッションが決められていることに対してのみ使われる言葉ではありません。主観的にやらなければいけないと感じていることを果たす時にも「務める」は用いられます。

例えば、名詞の形を取り、「我が子を一人前に育てることが母親としての務めだ。」という使い方があります。これは、子どもを 1人前に育てるという自分なりのミッションを掲げ、そこに力を注ごうとしていることを指しています。

「務める」の使い方の例

  1. サッカーの試合で主審を務める。
  2. 同窓会の幹事を務める。
  3. 彼は今回の劇でナポレオン役を務める。

「勤める」をもっと詳しく


「勤める」とは、会社などの職場に勤務することを指します。「~に勤める」の形で用います。英語では “work” と言います。

「勤める」は、雇われているという立場が前提の言葉です。個人事業主など、自発的に仕事を行っている状態を「勤める」と言うことは出来ません。

また、「勤める」は、仏道修行に励んだり仏事を営むことも指します。仏道とは、仏教を心得るための修行のことです。

「勤める」の使い方の例

  1. 私の父は広告会社に勤めている。
  2. 看護師として病院に勤める。
  3. 法事を勤める。
➌の法事とは、死者の供養を行う仏事のことを指します。

「努める」をもっと詳しく


「努める」とは、力を尽くすことを指します。「~に努める」や「~しようと(しまいと)努める」の形で用います。英語では “try” や “make efforts” と言います。

役目を果たすことを目的とする「務める」や職場に勤務する「勤める」と違い、「努める」は力を尽くす目的や対象が具体的に定義されておらず、広く使える言葉であると言えます。

「努める」の使い方の例

  1. 作品の完成に努める。
  2. 早く復帰したいのは山々だが、今は療養に努めるべきだ。
  3. 悔しかったが、泣くまいと努めた。

「勉める」をもっと詳しく


「勉める」とは、困難に耐えながら努力することを指します。「~に勉める」や「~しようと(しまいと)勉める」の形で用います。英語では “strive” と言います。

「勉める」は「力める」とも表記されます。「努める」とほどんど同義ですが、「勉める」には無理をしてでも励むというニュアンスがあります。ただ、「勉める」は常用外漢字による表記であるため、通常は「努める」が用いられます。

「勉める」の使い方の例

  1. 全力で復旧作業に勉める。
  2. 人と目が合わないように勉める。
  3. 嘘をついて気持ちを見透かされまいと勉める。

まとめ

以上、この記事では、「務める」「勤める」「努める」「勉める」の違いについて解説しました。
最後にもう一度、下記の表を確認しましょう。

務める任務や役目を果たすために力を尽くすこと
勤める職場に勤務すること
努める力を尽くすこと
勉める困難に耐えながら努力すること

4通りの「つとめる」を使い分けることは一見難しく思えるかもしれません。ですが、読み方こそ同じであるものの、意味は明確に異なっています。違いをきちんと押さえて、上手に使い分けてくださいね。