心理学用語「系列位置効果」の意味とは？初頭効果・親近効果まで解説

今回ご紹介する言葉は、心理学用語の「系列位置効果(けいれついちこうか)」です。

言葉の意味・具体例・提唱者・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「系列位置効果」をざっくり言うと……

「系列位置効果」の意味をスッキリ理解！

「系列位置効果」の意味を詳しく

系列位置効果とは、物事を記憶する際、その順番によって記憶の度合いに差が生じることを言います。

一般的に、始めの方と最後の方に学習したものが、途中で学習したものよりも記憶に残りやすいと言われています。

これはよく単語などを覚える際に使われますが、音楽や匂いを覚える際にも系列位置効果が働きます。

また、系列位置効果は、2種類に分けられます。始めの方に記憶したものが覚えやすいことを初頭効果、最後の方に記憶したものが覚えやすいことを親近効果と呼びます。

初頭効果

初頭効果は、長期記憶と関連があるとされています。長期記憶とは、比較的長い期間にわたって情報が記憶されることを言います。

例として、英単語を暗記する場面を考えます。始めの方に覚えようとした単語は、覚えた後にも意識の中にその単語が登場することが多いです。

そのため、記憶の中で何度もその言葉が反復され、結果として長期記憶になります。その結果、覚えやすくなっていきます。

親近効果

親近効果は、短期記憶と関連があるとされています。短期記憶とは、数秒から数分の間で情報が保有されることを言います。

先程と同じく、英単語を暗記する場面を考えます。

最後の方に記憶したものは新しい情報のため、新鮮味とともに記憶にとどまります。その結果、覚えられることが多くなります。

しかし、親近効果は短期記憶のため、記憶した後に別のことをするなどした場合、忘れるリスクは高くなっていきます。

「系列位置効果」の具体例

系列位置効果の代表的な例としては、単語の暗記があげられます。

また、発表会などで、最初の方は集中力があるが、途中で集中力が無くなり、終わりが近づいてくるとやる気が出る、というのも系列位置効果です。

系列位置効果の具体例のまとめ

「系列位置効果」の提唱者

系列位置効果については、さまざまな学者たちが提唱しています。

まず、アトキンソン氏とシフリン氏によって、人間の記憶には短期記憶と長期記憶の2種類がある、ということが提唱されました。

次に、ポーランドの心理学者ソロモン・アッシュ氏によって初頭効果が提唱されました。

彼は、被験者を2つのグループに分け、人の性格を表す言葉を並べた文章を読ませました。そして、それを読んでどのような印象を持ったか、ということに対して質問をしました。2つのグループに読ませた文章は、以下のものです。

Aグループの人は、この人物をポジティブだと捉えた人の割合が高くなりました。一方、Bグループではネガティブだと捉えた人の割合が高い、という結果になっていました。

つまり、最初に提示した言葉の方を強く覚えていたということです。これは、初頭効果の表れです。

そして、親近効果についてはアメリカの心理学者、N・H・アンダーソン氏によって提唱されました。

彼は模擬裁判を行い、その中での陪審員の判断と証言の順番についての関係性を調べました。

被験者は2グループに分けられ、それぞれ、以下の形式で裁判が進められました。

結果として、どちらのグループも最後に証言を行った側が勝利するという結果になりました。

このことから、最後に加えられた情報のインパクトを覚えやすいこと(親近効果)が提唱されました。

「系列位置効果」の英語訳

系列位置効果を英語に訳すと、次のような表現になります。

まとめ

以上、この記事では「系列位置効果」について解説しました。

このように、系列位置効果は単語の暗記など、身近なところでも役立てることが出来ます。この効果を覚え、ぜひ勉強などに役立てていきましょう。