心理学用語「選択的知覚」とは?意味と具体例をわかりやすく解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、心理学用語の「選択的知覚(せんたくてきちかく)」です。

言葉の意味・具体例・種類・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「選択的知覚」をざっくり言うと……

読み方選択的知覚(せんたくてきちかく)
意味多くの情報が与えられる中で、その人にとって重要な情報が選択されて知覚されること
種類カクテルパーティー効果、カラーバス効果、ストループ効果
英語訳selective perception(選択的な知覚)

「選択的知覚」の意味をスッキリ理解!

選択的知覚(せんたくてきちかく):多くの情報が与えられる中で、その人にとって重要な情報が選択されて知覚されること

「選択的知覚」の意味を詳しく

この写真を見て、何が最初に目につきましたか。人によっては、あなたとは違うところに注目した人もいるでしょう。まずカラフルな看板が目につく人もいれば、人混みが気になる人もいるかもしれません。

「選択的知覚」とは、多くの情報が与えられる中で、その人個人にとって重要度の高い情報が、脳によって特異的に選択されて知覚されることです。

人間の周りには膨大な量の情報があふれています。すべての音や映像を平等に処理していると、脳は必要な情報を得ることができません。

そのため、脳は必要な情報を自動的に選び取って認識しているのです。

「選択的知覚」の具体例

「選択的知覚」は、日常生活全般に影響を及ぼしています。

たとえば、人はガヤガヤした空間の中で、特にどの会話に注意を向けていなかったとしても、自分の名前が呼ばれたら反応をすることができます。

また、その人が空腹であれば、普段は気にならない飲食店の看板がやけに目についてしまう、などということも起こります。

これらの現象は偶然ではなく、「名前」「食事のできる店」といった情報に対し脳が「重要な情報だ」と判断し、より注意を向けるようになるのです。

「選択的知覚」の種類

選択的知覚の例には、次のような効果があります。

  1. カクテルパーティー効果
  2. カラーバス効果
  3. ストループ効果

①の「カクテルパーティー効果」とは、パーティーのような大勢の人が集まってガヤガヤとした空間の中でも、会話の相手の話している内容や突然呼ばれた自分の名前を認識できる現象のことです。

電車で他の駅のアナウンスには気づかないのに、自分の降りる駅のアナウンスははっきりと聞こえる、などという場合にも「カクテルパーティー効果」が作用しています。

 

②の「カラーバス効果」とは、自分が意識しているものについて、それに関係のあるものが特に目につく現象のことです。”color”(色)と”bath”(浴びる)という、2つの単語が組み合わさってできている言葉です。

たとえば、「占いなどをきっかけに赤色を意識していたら、赤いものばかりに注目してしまう」というのがわかりやすい例です。「カクテルパーティー効果」と似ていますが、「カラーバス効果」は視覚に注目した効果です。

 

③の「ストループ効果」とは、異なる2つの刺激を受け取ったとき、それぞれの情報が相互に干渉し合い、反応までの時間が長くかかる現象を表します。

たとえば、「」と表示されればその文字が「赤」であるとすぐにわかりますが、「」と表示されると、一瞬文字の青色に釣られてすぐに答えられなくなります。

特定の情報に集中する「カクテルパーティー効果」や「カラーバス効果」とは少し異なり、むしろ情報が混乱してしまうのが「ストループ効果」の特徴です。

「選択的知覚」の英語訳

選択的知覚を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • selective perception
    (選択的な知覚)

まとめ

以上、この記事では「選択的知覚」について解説しました。

読み方選択的知覚(せんたくてきちかく)
意味多くの情報が与えられる中で、その人にとって重要な情報が選択されて知覚されること
種類カクテルパーティー効果、カラーバス効果、ストループ効果
英語訳selective perception(選択的な知覚)

「選択的知覚」には、多くの種類の心理的作用が関わっています。

それぞれの効果をひとつひとつ覚えるのは大変かもしれません。しかし、「選択的知覚」がどういうものか知っておくと、自分が外界をゆがんで認識していることがよくわかります。

隣の人と同じ世界を見ているつもりが、実はその見え方がまったく違うのかもしれませんね。