故事成語「先憂後楽(せんゆうこうらく)」の意味と使い方:例文付き

言葉

今回ご紹介する言葉は、故事成語の「先憂後楽(せんゆうこうらく)」です。

意味・使い方・由来についてわかりやすく解説します。

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「先憂後楽」の意味をスッキリ理解!

先憂後楽君主はいち早く危機に気づき、民衆の生活が良くなってから恩恵を受けるべきだということ

「先憂後楽」の意味を詳しく

「先憂後楽」は、政治家の心構えを表す言葉です。

「先憂」は、「先に憂(うれ)う」という意味です。民衆よりも先に国のことを心配するべきだということです。問題が大きくなる前に気づき、処理することは大切ですよね。

「後楽」は、「後に楽しむ」という意味です。民衆が楽しんだ後で、自らも楽しむという意味です。ある政策がうまくいったとしても、その恩恵を受けるのは民衆が先で、政治家は後回しだという意味です。

この言葉は江戸時代の日本でも好まれました。東京ドームがある「後楽園」や、岡山の日本庭園「後楽園」は、先憂後楽が由来となっています。

 

もとは政治家の心構えを意味していた「先憂後楽」ですが、より幅広い文脈で使われることもあります。「先にいやなことを片付けてしまえば、後は楽しめる」というような意味もあります。

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「先憂後楽」の使い方

  1. 新しい社長は「先憂後楽」が座右の銘で、社員の給料を上げて自分の給料はカットした。
  2. 先憂後楽とは言うが、政治家は自分のことばかり考えている。これでは「先楽後憂」だ。
  3. 先憂後楽と言うように、先に夏休みの宿題を終えたら後はずっと遊べるよ。

「先憂後楽」の由来

「先憂後楽」は、中国の古典に出てくる一説が由来となっています。書いた人は、范仲淹(ハン チュウエン)という政治家です。11世紀に活躍した、たいへん優秀な政治家でした。

彼の書いた文章は「岳陽楼記(がくようろうのき)」と言います。その中の一節に、「先憂後楽」のもととなる部分が出てきます。

居廟堂之高、則憂其民。處江湖之遠、則憂其君。是進亦憂、退亦憂。然則何時而楽耶。

其必曰「先天下之憂而憂、後天下之楽而楽」。乎、噫。微斯人、吾誰与帰。

[出典:范仲淹「岳陽楼記」]

少し長めに引用しました。訳してみましょう。

朝廷で高い役職についているときは、民衆のことを心配する。都から遠く離れたところにいるときは、君主のことを心配する。朝廷に仕(つか)えていても憂い、宮仕えを退(しりぞ)いてもまた憂う。では、いつ楽しめるのか。

その人は、必ず言うだろう。「天下の人の憂いに先立って憂い、天下の人の楽しみの後に楽しむのだ」と。ああ、もしそのような心をもった君主がいなければ、私は誰に仕えればいいのか。

 

立派な君主のあるべき姿を表したこの文章は、名文として知られるようになります。当時の中国では、非常に難しい試験を突破しないと官僚になれませんでした。古典の知識と作文の能力が求められたのです。そこで、作文の模範として、「岳陽楼記」は参考書に載ったのです。

 

この話には、後日談があります。范仲淹はまさに「先憂後楽」を体現したような改革案を朝廷に出します。しかし、既に政治は乱れ始めていて、改革案は気に入られませんでした。彼は左遷されてしまいます。

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まとめ

以上、この記事では「先憂後楽」について解説しました。

読み方 先憂後楽(せんゆうこうらく)
意味 君主は民衆に先んじて心配し、民衆の後に楽しみを得るべきだということ
由来 中国の古典の、模範的な君主の在り方を描いた一節

政治家に限らず、常に周囲の状況を見て行動できるのは大切なことですよね。

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