今回ご紹介する言葉は、ことわざの「背に腹はかえられぬ(せにはらはかえられぬ)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「背に腹はかえられぬ」をざっくり言うと……
読み方 | 背に腹はかえられぬ(せにはらはかえられぬ) |
---|---|
意味 | 大事なことのためには、犠牲を払うのもやむを得ないということ |
由来 | 江戸いろはかるた |
類義語 | 背より腹、苦しい時は鼻をも削ぐ、時の用には鼻をも削ぐ |
対義語 | 渇しても盗泉の水を飲まず、鷹は飢えても穂を摘まず |
英語訳 | necessity knows no law(必要の前に法律なし、背に腹はかえられぬ) |
このページの目次
「背に腹はかえられぬ」の意味をスッキリ理解!
「背に腹はかえられぬ」の意味を詳しく
「背に腹はかえられぬ」とは、大事なことのためには、犠牲を払うのもやむを得ないということです。また、差し迫った苦痛や危険を回避するためには、何かを犠牲にしても仕方がないことを表すこともあります。
さらに、「背」を他人に「腹」を自分自身に見立てて、切羽詰った状況では周囲の人を省みる余裕などないという意味でも用いられます。
五臓六腑が収まっているお腹を守るためには、背中が犠牲になってもやむを得ないという意味から転じたことわざです。
また、「背中に腹はかえられぬ」は「背に腹はかえられない」とも言います。
「背に腹はかえられぬ」の使い方
「背に腹はかえられぬ」は、以下のように使われます。
- 梅雨真っ只中で傘が壊れてしまった。節約中だったが背に腹はかえられぬ、新しい傘を買おう。
- 彼は一流の弁護士だがどうも昔から馬が合わない。しかし、背に腹はかえられぬ。ここは彼を頼ろう。
- 社員を守りたいが、このままでは経営が破綻してしまう。仕方がない、背に腹はかえられないのでリストラを実行しよう。
「背に腹はかえられぬ」の由来
「背に腹はかえられぬ」は、『江戸いろはかるた』から生まれたことわざです。
江戸いろはかるたは、江戸で誕生した遊戯です。「いろは」の47文字と「京」の1文字で始まる教訓が記された札を用いたかるたです。
その読み札の一つが、「背に腹はかえられぬ」なのです。
「背に腹はかえられぬ」の類義語
「背に腹はかえられぬ」には以下のような類義語があります。
- 背より腹:大事なことのためには、少々の犠牲はやむを得ないこと
- 苦しい時は鼻をも削(そ)ぐ:危険なことが差し迫った状況では、どんな手段でも取れということ
- 時の用には鼻をも削(そ)ぐ:危険なことが差し迫った状況では、どんな手段でも取れということ
「苦しい時は鼻をも削ぐ」と「時の用には鼻をも削ぐ」は、まったく同じ意味を表しています。「削ぐ」を「削げ」ということもあります。
危険なことが差し迫った状況ではどんな手段でも取れというこということは、つまり、緊急事態ではどんな犠牲も気にせずに大切なものを守れということです。緊急の場合には、自分の鼻を削ぎ落とすような非常手段もやむを得ないという意味から転じたことわざです。
「背に腹はかえられぬ」の対義語
「背に腹はかえられぬ」には以下のような対義語があります。
- 渇しても盗泉の水を飲まず(かっしてもとうせんのみずをのまず):どんなに困っていても、決して不正には手を出さないこと
- 鷹は飢えても穂を摘まず(たかはうえてもほをつまず):高潔な人は、どんなに困っても不正なことは決してしないということ
これらのことわざは、どんなに困っていても、どんなに大事なことのためでも「不正を働く」という犠牲は断じて払わないという意味です。
「背に腹はかえられぬ」の英語訳
「背に腹はかえられぬ」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- Necessity knows no law.
(必要の前に法律なし、背に腹はかえられぬ) - You can’t solve a problem without making some sacrifice.
(犠牲なしに問題を解決することはできない) - You can’t make an omelet without breaking eggs.
(卵を割らなくてはオムレツは作れない)
“Necessity knows no law.” は、「必要の前に法律なし」という英語のことわざです。意味は、背に腹は替えられぬと同じです。
“You can’t make an omelet without breaking eggs.” は、「卵を割らなくてはオムレツは作れない」という意味から転じて、「何らかの犠牲を払わなければ目的を達することはできない」ということを表しています。
まとめ
以上、この記事では「背に腹はかえられぬ」について解説しました。
読み方 | 背に腹はかえられぬ(せにはらはかえられぬ) |
---|---|
意味 | 大事なことのためには、犠牲を払うのもやむを得ないということ |
由来 | 江戸いろはかるた |
類義語 | 背より腹、苦しい時は鼻をも削ぐ、時の用には鼻をも削ぐ |
対義語 | 渇しても盗泉の水を飲まず、鷹は飢えても穂を摘まず |
英語訳 | necessity knows no law(必要の前に法律なし、背に腹はかえられぬ) |
何かを守るためには、何かを犠牲にすることもあるでしょう。しかし、欲を言えばどんな犠牲も払わずにすべてを守りたいものですよね。そのためには、常に物事を先回りして考えることが大切です。
危険な芽は事前に摘んでおく、必要だと思われる種は蒔いておくなどの意識が自分自身を守ることに繋がります。
「背に腹はかえられぬ」の意味や使い方を覚え、正しく使えるようにしましょう。