「政治家」と「代議士」の違いとは?わかりやすく解説

違いのギモン

みなさんは、政治に関するニュースを、注目して見ることはありますか?

そのニュースの中で、「政治家の~」「~党の代議士(だいぎし)」などという言い回しを、聞いたことがあるかもしれません。

この「政治家」と「代議士」は、混同して使われることもありますが、実は意味が異なっています。

そこで今回は、そんな「政治家」と「代議士」の違いについて解説します。

結論:指す範囲が違う

「政治家」とは、政治を職業としている人のことをいいます。

「代議士」とは、衆議院議員のことを指します。

「政治家」をもっと詳しく


「政治家」に厳密な定義はありません。一般的には、職業として政治に携わっている人のことをいいます。

また、本業としているかどうかで「職業政治家」と「素人(しろうと)政治家」とに分ける場合もあります。

「職業政治家」は、政治を本業とする人のことで、国会議員や地方議会の議員を指します。彼らは選挙によって選ばれ、国民の意見を代表して法律を作り、税金の使い道を決めます。

対して、他に本職を持っており、選挙の時などのみ政治活動に参加する場合には「素人政治家」という呼称が使われます。

「職業政治家」は、大きく3種類に分けられます。

役割選挙方法と被選挙権(※1)
地方議会議員都道府県や市区町村の住民を代表する。

条例(※2)の制定や予算を決めることで、まちづくりや住民の福祉向上に努める。

その地域の住民による選挙で選ばれる。

満25歳以上の日本国民で、その地方議会議員の選挙権を持っていることが立候補の条件。

都道府県知事都道府県のトップ。

条例案や予算案を議会へ提出したり、都道府県のイベントに参加したりする。

その都道府県の住民による選挙で選ばれる。

日本国民で満30歳以上であることが立候補の条件。

国会議員国民全体を代表して、国家レベルの予算や法律を決める。

衆議院議員と参議院議員から成る。

全国民の選挙で選ばれる。

立候補の条件はそれぞれ以下の通り。
衆議院議員:日本国民で満25歳以上
参議院議員:日本国民で満30歳以上

 

  • 被選挙権(※1):選挙で立候補できる権利のこと。
  • 条例(※2):地方公共団体が定める法のこと。例として、東京都で騒音対策などを目的とする環境確保条例など。

 

被選挙権は、議員の資格によって様々ですが、どの選挙であっても、投票できる権利である選挙権は、18歳から持てます。

「代議士」をもっと詳しく


一般的に「代議士」とは、衆議院議員のことです。同じ国会議員でも、参議院議員は「代議士」とは呼ばれません

「代議士」という呼称の歴史は、明治時代にまでさかのぼります。

その当時の大日本帝国憲法下の帝国議会は、「貴族院」と「衆議院」から構成されていました。

「貴族院議員」がその名の通り、皇族や華族などの身分のある人たちや、学者などが「天皇の任命によって選ばれる」のに対し、「衆議院議員」は納税額による制限はあったものの、「国民の選挙によって選ばれる」議員でした。

このような歴史から、衆議院議員のことを、国民を代表する議員であるとして「代議士」と呼ぶようになりました。現在は、参議院も国民の選挙で選ばれますが、「代議士」が指すのは未だに衆議院議員のみです。

まとめ

以上、この記事では、「政治家」と「代議士」の違いについて解説しました。

  • 政治家:政治を職業とする人
  • 代議士:衆議院議員のこと

「政治家」と「代議士」は、差している範囲が全く違いましたね。これで、ニュースで政治家に関する様々な呼称が出てきても、何を指しているのか理解できます。