「生誕(せいたん)」と「誕生(たんじょう)」の2つの言葉を見比べてみましょう。
順番が異なるものの、どちらも “生” と “誕” という文字から成り立っていますね。また、 “何かが生まれる” という大意も共通しています。
このため、「生誕」と「誕生」は似ているように感じられます。
しかし、両者には相違点があるのです。そこで、この記事では「生誕」と「誕生」の違いを解説します。
結論: “生まれるもの” の対象が異なる
「生誕」は、歴史上の偉人に対してのみ使われます。
一方「誕生」は、人・動物・モノなど様々なものに対して使われます。
「生誕」を詳しく解説
「生誕」は人が生まれることを指す言葉です。
ただし、「生誕」はすべての人に対しては使えません。生前大きな功績を残すなどして、 “偉大な人” とされている歴史上の人物のみを対象としているのです。
「誕生」を詳しく解説
すでに解説した通り、「生誕」は歴史上の偉人に対してのみ使われます。しかし、「誕生」が人を指す場合には、あらゆる人が対象になります。
また、動物を指すこともあります。さらに、商品や組織など、生き物でないものが新しく登場する場合にも「誕生」を使うことができます。
このように、「誕生」の指す対象の範囲は広く、人・動物・モノなど様々なものが生まれることを表す言葉だというとがわかります。
「生誕」と「誕生」の使い分け
ここまで、「生誕」と「誕生」のそれぞれの特徴を解説しました。両者の違いを踏まえて、「生誕」と「誕生」の使い分けについて解説します。
以下の2つの文を比較してみましょう。
- 生誕から100年が経った。
- 誕生から100年が経った。
まず、「生誕から100年が経った。」という文について考えます。
この文では「生誕」が使われていますから、 “生まれるもの” の対象になるのは人ですね。また、偉人として称えられている歴史上の人物を指していることもわかります。
一方、「誕生から100年が経った。」という文はどうでしょうか。
「誕生」の “生まれるもの” の対象には、人や動物のような生き物だけなくモノも含まれます。
ですから、 “ロングセラー商品が最初に登場してから100年が経過した” という意味の文である可能性もあるのです。
このように、「生誕から100年が経った。」と「誕生から100年が経った。」は、似ている文章に見えるものの、「生誕」と「誕生」の相違点を考えるとそれぞれ異なる意味を持つ文であることがわかります。
「生誕」はあくまでも歴史上の偉人のみを対象とするため、対象がある程度特定できます。しかし、「誕生」は対象範囲が広いので、主語がなければ対象を特定するのが難しいのです。
「生誕」と「誕生」の英語表記
ところで、「生誕」と「誕生」が英語でどのように表現されるのか気になりませんか。
実は両者とも、英語で “birth” と表されるのです。ですから、英語で “birth” という言葉を日本語に訳す場合は、文脈から判断して「生誕」と「誕生」のどちらなのかということを判断する必要がありますね。
まとめ
以上、この記事では「生誕」と「誕生」の違いについて解説しました。あらためて、両者の相違点をおさらいします。
「生誕」と「誕生」はどちらも何かが生まれるということを指す点は同じですが、 “生まれるもの” の対象に以下のような違いがあるのです。
- 生誕:歴史上の偉人に対してのみ使う。
- 誕生:人や動物、モノなど様々なものに対して使う。
両者の区別を理解したうえで、正しく使い分けるようにしましょう。